『元気100・エッセイ教室』第6回・11月度エッセイの書評
読み手の側から、『詩』と『エッセイ』の違いについて考えてみた。韻文(詩)と、散文(エッセイ)のちがいはあるが、作者の想いを文字で伝えることには共通性がある。
詩では若手が書いた作品おいて、個性豊かな表現で驚かされることが多い。過去にない新しい表現方法との出会いがある。愛とか、恋とか、苦しみとかは、いま進行するものを詩うほうが強いインパクトとして伝わってくる。それは技法ではなく、若者たちの鋭い感性から生まれてくるものだ。
エッセイは、人生経験が豊かな、年配者の作品のほうが勝ると思う。苦節の人生を自らの力で克服してきた、あるいは夫婦や家族と共に乗り越えてきた、という人生の深みが感じられる作品が多い。奥行きのある喜怒哀楽が含まれている。作品を読み進むにつれて、感動、感激などが湧きあがってくるものだ。
苦悶の渦中にいると、筆には力みが加わる。かえって上手に伝えにくい。ところが、年配者のエッセイとなると、書いている今と、出来事の間には長い歳月の距離が保てている。それゆえに書く上で、力みとか、気負いとかが薄まり、余裕が生まれているのだ。
若者の書いた詩と、年配者が書いたエッセイとは両極にあるのかもしれない。年配者のエッセイには、苦しみの時代を書き残す。作者の記録として描かれた世界が強く出てくる。