婚約者は刑事 ⑤ 5回連載(008 数寄屋橋)
婚約者は刑事 5回連載① 【世田谷・岡本】
婚約者は刑事 5回連載② 【銀座】
婚約者は刑事 5回連載③ 【多摩川】
婚約者は刑事 5回連載④ 【用賀】からのつづき
この人物はこの犯行とは関わりない。そう思われる人間から疑ってみる。これが捜査のセオリーのひとつ。井伊佳元(いいよしもと)は肩をならべる布施(ふせ)和香奈(わかな)に、溝口刑事も対象外ではないといった。
「かれは本庁捜査一課の刑事ですよ」
和香奈の目がつよく否定していた。
ふたりはフラワーランドからの帰り道、春早い砧(きぬた)公園に入った。向かう先は田園都市線の用賀(ようが)駅。そして、事件現場の銀座の画廊だった。
「警察官がすべて善人だ、とは決まってない。この世には悪い警官もいる」
「溝口さんにかぎって、ゼッタイ猫事件の犯人じゃありません」
「事件の捜査に、絶対はない。お腹が空いたな。安いところでラーメン、張り込んで寿司でもいい」
「消化不良の話はしないでください」
「消化が気になるなら、ジアスターゼーの多い大根、お袋の味の煮物などもいい。環八まで出れば、トラックが多いから、定食屋があるかもしれない」
「わたし、怒っているんです。溝口さんを犯人扱いにするなんて」
彼女が唇を尖らせた。
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写真モデル・奈良美和さん(コーチ/コミュニケーションアドバイザー)
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