30回「元気エッセイ教室」作品紹介
冒頭のレクチャーは、「悪文の研究について」とした。
私が小説を学びはじめた30代初めのころ、「講談社フエーマススクールズ」に通いはじめた。直木賞作家・伊藤桂一氏から、執筆の根幹を築ける指導を受けた。当時、教室に提出した作品の講評は小説家、編集者、批評家と多彩だった。大変勉強になった。
小説現代の川端編集長から「あなたは悪文だが、作品は面白い。ただ、編集者によっては頭から悪文を受け入れない人がいるよ」とアドバイスを受けた。
「悪文とは何か」。自分にそう問うてもわからない。答えられない。長く悩んだ。そこで、小説の神様といわれた、志賀直哉の長編『暗夜航路』を原稿用紙に書き写すことをおこなった。日々に原稿用紙で3、4枚ずつ、3年はほど続けた。ずいぶん根気がいった。それで悪文から脱皮できたと思っている。
エッセイは「悪文」を気にすることはない。文章が劣っていても、内容(素材)に深みがあった、感動させたりすれば、味のある良品となるからだ。文章よりも、素材の切り口の勝負なのだ。
文章作法からみた「悪文」の条件はありえる。
①誤字脱字が多い。
②区切り符号、改行、段落などの使い方が正しくない。
③慣用語の使い方を間違っている
④借り物の表現が多い。自分の目で見た文章ではない。
⑤センテンスが長すぎて、主語と述語のかかり方が悪い。
⑥文と文のつなぎが悪い。
⑦修飾語が長すぎる
文章を書きなれてくると、書き上げた後の推敲で、「悪文」の大半が改善される。そのためにも、「良い読み手」を求めてください、と強調した。
今回は30回目ということで、受講生は気合が入っていた。作品のテーマ、書き出し、結末、ストーリーは4大要素だ。今回はできるだけ「書き出し」と「結末」を結びつけた、作品紹介としてみたい。