小説家

世界P.E.N.フォーラム「災害と文化」の打上げパーティー

 日本ペンクラブ主催の世界P.E.N.フォーラム「災害と文化」が実施されて、約二ヵ月が経つ。 実行委員会委員長だった、阿刀田高会長、吉岡 忍委員長の呼びかけで、08年4月18日(金)に、打上げパーティーがおこなわれた。場所は如水会館(千代田区一ツ橋)。


  17:00~18:30は中国の莫言さん 「秋の水」の記録DVDの上映だった。完成度の高い作品に仕上がっていた。参加者からは、NHKが撮影・編集したもの、と当初受け止められていた。しかし、ペン・メンバーによるものだった。

  18:30~20:30は懇親パーティーだった。作家の出演者、演出者(音楽家、画家ほか)、スタッフが一堂に集まった。約40人ほどだった。

 阿刀田高会長は「計画をたてた時はどうなるか? と思っていました。想像以上の大成功でした。よかったな、といまはしみじみ思います。2年後の国際ペンが東京にほぼ決まるでしょう。今回の経験が役立つだろう、と考えています」と挨拶した。
 
 浅田次郎さんは、鑑賞したばかりのDVDを賞賛してから、「私には経験なく、皆さんに任せぱし。いい経験になった」と述べてから、乾杯した。

 吉岡忍さんは「イヤ、面白かったね。何千万円使って、みんなが楽しく遊んだと思えば、こんな楽しい遊びはなかったね」とジョークを飛ばした。「ペンクラブは活字が中心の世界。他に音楽、芝居、絵画などの世界がある。それらを一緒にできるないか、という思惑が前々からありました。今回の世界フォーラムで、それらを結び付けてみた。楽しかったですね」と述べた。


 高橋千劔破さんの司会で、舞台美術の朝倉摂さん(写真)、コカリナ奏者の黒坂黒太郎さん、事務局長の吉澤一成さん、音楽家の森みどりさん、小説家・出久根達郎さん、高田宏さん、さらなる出席者が次々に紹介された。
 
 

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ノンフィクション・08年・学友会 昭和の大学生

 あれから何ヶ月が経ったのだろうか。節分、バレンタインー、桃の節句、桜の開花宣言、いまや染井吉野が散りはじめている。1月17日の「学友会」の新年会から約3ヵ月が経つ。
 山屋はルーズな男だから、『穂高健一ワールド』に寄稿する、学友会のノンフィクションはまだ書き上げていない。一行も手を付けていないのだ。
「つつじが咲くころだ。どこ吹く風で、いつまで書かないのだ」
 元焼き芋屋が執拗に督促する。
「今回の学友会も、写真を消したんじゃないか」
 元蒲団屋が疑う。

「写真は間違いなくある」
 山屋のことばに、信憑性はあるのか。普段がふだんだから、まわりは疑う。
「それなら、証拠を示す意味でも、書きなよ」
 元蒲団屋は、山屋のほほ被りを見逃さない態度をとった。
「来年といっしょにしたら? 2年の合併記事にしたら」
「だめだ」
「書けばいいんだろう」
「3ヵ月前の記憶がどこまで確かなものか」
 山屋が記憶の消滅を良いことに、自分に都合よく、虚構(フィクション)で書かないだろうか。そんな恐れが多分にある。

 春の低気圧の通過で、猛烈な風雨となった。八ヶ岳は大荒れだ。登山が中止になった山屋が、ようやく書きはじめたようだ。

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第19回 『元気100エッセイ教室』作品紹介

 冒頭の30分間レクチャーでは、エッセイには大づかみに四つのジャンルがあると分類してみた。『エッセイの書き方は一律でなく、ジャンル別に展開のコツがある』と話した。それらを常に念頭において書くと、読者に感動を与える作品につながる、と強調した。

① 経験エッセイ
   負の経験を素材にすると、読者の共感を呼ぶ。:告白したい体験、懺悔の気持ち、醜いと感じた自分など、それらをあえて選んで書く。

② 旅エッセイ
   情景描写が豊かになる書き方をする。風月花鳥を挿入したり、擬人法を取り入れたり、・短歌、俳 句、詩などで、気の利いた言葉があれば、取り入れてみる。

③ 記録エッセイ
   対象(出来事)は絞りに絞り込む。ストーリーで書くと失敗しやすく、単なる記録文になる。ひと伝えに聞いたことは、まず失敗する。自分が体験したこと、見聞したことで書く

④ 日常生活エッセイ
    主人公(私)は前面に出す。まわりの人物(妻、子)は舞台装置にしてしまう。濃密な文体で書く。センテンスにリズム感を持たせば、読者は引き込まれてくる。

 今回の作品紹介は、前回に続いて書き出しに拘泥してみたい。教室では毎回、どの作品においも、書き出しにたいするコメントを入れている。導入文、リード文。それらの役目は重要だ。
 作品の素材や内容がよくても、書き出しで失敗すると、読者が読んでくれない。成功すると、途中で多少の破綻があっても、最後まで読んでくれるものだ。

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世界PENフォーラム『災害と文化』は大成功

 日本ペンクラブ主催・世界PENフォーラムが終わった。打ち上げ会、二次会では、阿刀田高さん、吉岡忍さんなどを柱とした、実行委員は異口同音に『大成功だった』と語っていた。出演者とともに、実行委員はみんな良い顔で酒を飲む。酒の枡に、それぞれが記念にサインしあっていた。

 同フォーラム開催中の広報委員は手分けして、写真撮影、記者受付、出演者とNHK・インタビューのセッティング、そして記事を書くことになっている。
 舞台の照明が強すぎて、写真撮影は不満足で、納得できないものが多かった。3日目からは三脚をつかった。それでも、上手くいかなかった。


 NHK・15分インタビューのセッティング役が私にまわってきた。井上ひさしさん、新井満さん、出久根達郎さんなど出演者と、ショート・タイムだが、一緒できた。

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第18回 『元気100エッセイ教室』作品紹介

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 今回のレクチャーは、読む側に立った「読者の特性」と、書く側に立った「作者の特性」の2点について話した。

 エッセイにかぎらず文学作品は、他人に最後まで読んでもらう。これが大前提だ。そういう書き方がもとめられる。
 初期の段階では、作者の自分をよく見せたい、上手く書きたいと思うばかりに、『恥ずかしくて、他人に見せるのがイヤ』という人が割りにいるものだ。そういう人は日記を書けばよい。少なくとも、エッセイを書く発想がスタートから間違っている。

 読者が共感できる作品とはなにか。他の人生の追体験がでる内容のものだ。少なくとも、作者の自慢話を聞きたくて、エッセイを読むのではない。仮に1度はがまんして読んでも、2度目は読みたくなる。

 作者の姿勢としては、作中の「私」を飾ったり、メッキしたり、きれいな衣服を着せたり、鎧兜で身を守ったりしないことだ。

    ①「私」の目線を低くする。
    ②「私」を冷たく突き放す
    ③「私」をいじめ加減で書く
    ④「私」の素裸をさらけ出す

 この4点を念頭に書くことだと説明させてもらった。

 完成度の高いエッセイとは、面識のない読者でも、最後まで読んでくれる作品だ。読者の立場から作風の好き嫌いはあるが、それでも途中で投げ出させず、最後まで読ませてしまう。読者が最初に扉を開く、作品の書き出しは重要。読者をどれだけ引き込めるか。

 今回の作品紹介は、書き出しに絞り込んでみる。そして、受講生にむけた【講評】を紹介する。

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第17回 『元気100エッセイ教室』作品紹介

縦書きで、印刷できます・作者別も可能です


 30分間の冒頭レクチャーは、「題名」について取上げてみた。
 

 本を買うか否か、作品を読むか否か。読者は「題名」自体で決めたり、書き出しの数行と合わせて判断したりする。読者が作品の最初に出会う「題名」が悪ければ、手に取らず、作品を読まずになったりする。

 過去からプロ作家による、「エッセイ作法」「小説作法」の書籍は多く出されている。『題名』となると、どれも決定打がない。
 この「題名」はクセモノで、定石はない。作品の内容がよくて感動すれば、「題名」は光ってくるものだ。

 そこで、タイトルのチェック・ポイントタイトルを決めるまでサブタイトルの3点つについて、講義をした。

 今回のエッセイ作品には、良い題名が多かった。それらも事例研究とした。

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新企画・『TOKYO美人と、東京100ストーリー』は4月上旬から掲載

 ここ数年はジャーナリストの活動に傾斜していた。多くの人に接し、多くのことを学び、さらには活動範囲がずいぶん広まった。知識、精神面で得るものが大きかった。他方で、なにかしら自分自身の気持ちのなかには、物足りなさがあった。それは「小説」の執筆に向かい合っていなかったことだ。

 小説を書き始めから30年間。執筆活動の集大成として、「短編小説を100編」を書くと決めた。その日から、途轍もなく、集中力、アイデア、体力と気力が自分に要求された。これまで登山、マラソンなどをやって持久力はあるほうだから、精神面ではやれるだろうと思っている。ただ、漠然と書き散らせば、ストーリーやアイデアが枯渇し、行き詰まる。そこで、主人公は1人と決めた。


 小説で描く美人の顔となると、『鼻梁が高い、目鼻立ちがはっきりした』という表現で、ワンパターンになってしまう。100篇も書けば、みな類似的。これでは読者がついてこない。これをクリアするためには、「小説+写真」でいこうと決めた。これならば、ポートレート撮影が好きな自分の領域で処せる。当然ながら、10人が10人の顔はみな違う。読者も、次はどんな女性かと興味をもってくれる。

 小説では背景となる場所が重要だ。主人公が全国を飛び回れば、バリエーションはある。それでは写真撮りは不可能だ。東京のメジャーな場所を使う。東京ならば、100ヶ所ぐらいあるだろう、と決めた。これらの着想から、『TOKYO美人と、東京100ストーリー』というメインタイトルが浮かんだ。

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「ペンの素顔」第4回は浅田次郎さんのインタビュー記事

 日本ペンクラブ・メールマガジン「P.E.N.」は、「ペンの素顔」を掲載している。第1回の阿刀田高会長からはじまった。高橋千劔破常務理事がインタビュアー、鈴木康之副委員長が編集、穂高健一がインタビュー記事を書いている。


 昨年は、二番手として下重暁子副会長、三番手は井出勉国際委員長と続いてきた。

 08年の新年第1回は、浅田次郎専務理事である。インタビューの場所は、日本ペンクラブ(東京・茅場町)。浅田さんは冒頭から、「世界P.E.N.フォーラム「災害と文化」をぜひ成功させたい」という意欲に満ちていた。

 浅田さんはエネルギッシュな作家だ。「他人(ひと)がやりたいと言ったことは、そのひとに譲りなさい。誰もやりたがらないことは、自分が進んでやりなさい」という信条が根幹になっていた。

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Powerpointの家庭教師を依頼

 家庭教師を頼む。それは人生かえりみても、初めての経験だった。
『元気に百歳』というクラブで、中西成美さん(新日鉄OB)がパソコン教室を開いている。中西さんに、個人指導をお願いした。1月に2度ばかり、自宅にきていただき、Powerpointを教わった。

 シニア大樂の講師なかまでも、Powerpointを使った講演をおこなうひとが出てきた。従来は紙資料の配布、そしてOHPのスライド、いまやPCとプロジェクターを組み合わせたPowerpoint時代だ。


 日本ペンクラブの世界P.E.N.フォーラムの打合せが、12月にスペース・ゼロ(渋谷区)でおこなわれた。吉岡忍さんが中心になり、朝倉摂さん、エプソンの技術者と打合せするようすを取材した。プロジェクターを使い、災害の写真や動画をスクリーンに写す、という内容だった。このときも、Powerpoint時代だとそれを痛切に感じた。


 12/30に、愛用のノートパソコンの開閉シャフトが折れてしまい、元旦にPANASONICのCF-T5を購入した。中西さんが自宅にいらっしたとき、『マイクロソフト2003』のテキストを用意してくれていた。しかし、Vistaとなると、手順などが異なる。その面では、中西さんに苦労させてしまった。

 

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第16回 『元気100エッセイ教室』作品紹介

 今回のレクチャーは、『エッセイは他人のことばでなく、自分のことばで書く』という点を強調させてもらった。
 世のなかには、文章を書くのが苦手だという人がずいぶん多い。理由のひとつに、言葉の不足を挙げる。それは間違っている。他方で、気取った文章を書こうとするからだ。自分の言葉で、気取らずに書く。それが読者に心を打つ作品を書く原点なのだ、と。

 多くのものが子どものころから、「本を読みなさい」といわれ、それなりに読んできたはずだ。小、中学校でも、教科書以外でも読まされてきた。ときには名文を暗記させられたものだ。作文のなかで、「一蓮托生」「鵜の目、鷹の目」「百花繚乱」などを使えば、先生が利口だとほめてくれた。

 作文から踏み出し、エッセイの創作で、それらの用語を使うと、駄作になってしまう。それは他人の借物の文章、文体であるからだ。つまり、他人の軒下を借りた、創造性のうすい作品で、魅力が乏しくなってしまうのだ。

 エッセイは「私」とか、自分とかをしっかり見つめる創作活動だ。作者みずからが、文章とか、言葉とかを創りだす心意気が肝要だ。

次の4点は避けるように、極力使わないように、とを強調させてもらった。

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