男と女の邪念こそ、生きる原点、長生きの秘訣=渡辺淳一
日本文藝家協会の総会が5月17日、アルカディア市ヶ谷(私学会館)で行われた。夕刻6時から同会員や出版・放送関係者などの懇親会が開かれた。同会員である渡辺淳一さん(作家・医学博士)が、20分間のミニ講演を行った。
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タイトルは「無題」でしたが、年老いても性に対する邪念が大切です、と強調された。講演内容を紹介します。
男と女の側面でもある、邪念(じゃねん)は正直なものである。
外科医として病院勤務をしていましたころ、病棟に、ある男性患者がいました。元小学校校長で、半身不随でした。
女看護師が、「あの患者はいやらしくて嫌だ、先生(渡辺氏)、注意してください」と言われた。朝、脈をとるときは決まって手を握り返す。ベッド周りのことを行っていると、胸元を覗き込む、と訴えてきたのです。
「半身不随の患者だし、胸を見せてやっても、いいじゃないの」
というと、私は批判されました。
婦長ともども、策を練り、胸が覗けない制服姿で対応した。すると、その患者は2週間後には死んだ。
「胸を見せていれば、もっと長生きできたはず。見る執念が生きる原点だったと思う」
女性も同様で、性の邪念がある。大腿骨を骨折した老婆がリハビリで、ハンサムな整体師をなにかと独り占めしていた。「ほかの患者さんもいるのだから」と注意しても、拘泥して指名する。
イケメンに対する執念から、女性は1か月で完治し、退院して行きました。男にしろ女にしろ、知性よりも、邪念が大切。生きる原点だから、恥じることはまったくない、と渡辺さんは強調した。
