A010-ジャーナリスト

区民記者の時代へ、第1歩。『かつしかPPクラブ』が活動開始

 平成22年春から、「かつしか区民大学」がスタートした。講座の一つとして、市民記者養成「私が伝えるかつしか」が1年間(8回講座)にわたって行われた。受講生は20人(定員)。私は講師として、写真の取り方、文章の書き方、取材方法など、座学と課外活動など実践的な指導を行ってきた。

 毎回、受講生には作品提出を義務づけ、添削を行って力量を高めてきた。全員が葛飾区内を歩き、インタビュー記事を書ける技能を身につけた。

 卒業生のうち12人が同年12月に、「かつしかPPクラブ」(浦沢誠会長)を発足させた。最初のP=PHOTO(写真)、次のP=PEN(ペン)。
 活動方針は、区民の目線で葛飾を取材し、小冊子やネットなどで報道していくもの。他方で、「報道の質的向上を高める」、という信条のもとに、定期的な講座も開いていく。

  初代会長:浦沢誠さん(写真・右)



 第1回講座が2月18日、同区東立石で開催された。事前に、私の手許には「年末・年始」をテーマとした取材作品が届いていた。パワーポイント、およびビデオカメラなどを使い、それら作品の総評と、個別の講評を行った(器具協力:同区教育委員会・生涯学習課)。

【総評として】
 メンバーは寒風の深夜から、除夜の鐘、初日の出、初詣の情景と、記事の素材を追いかけている。『記事は足でかけ』という格言どおり、取材がしっかりできている。インタビューも多く、目を惹き、読み応えがあった。神社仏閣などは歴史、史実なども列記しているので、記事には厚みがあった。

 写真については、区民の顔に迫る、という気迫が弱かった。顔の表情はもっと大きく切り取り、初日の出や初詣から、区民の2011年の期待を伝えてほしかった。

 個人情報保護法の制定後、世間は過剰反応を示しており、各メディアのプロ記者でも苦慮している。同様に、区民記者の腰が引けてしまうのだろう。今後の課題だろう。

 東京下町の葛飾には、数多くの伝統行事、豊富な催し物、下町情緒たっぷりの商店、花咲く菖蒲園、一級河川など、人にも自然にもめぐまれている。東京スカイツリーも高くなり、葛飾の風景に近づいてきた。

 情報発信はもはやメディアだけのものではない。だれもが報道できる、市民記者の時代になった 
 同クラブの今後の活動方針として、「穂高健一ワールド」、SNS「かちねっと」(葛飾)、各ネットで、区民記者たちの取材記事を発信していく。いま現在、その準備に取り掛かっている。

(撮影:滝アヤ)

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