第89回 元気100エッセイ教室 = 心に響くことば
映画を見たり、本を読んだり、ラジオを聴いたりする。心に響くことばがあれば、それは感動作品です。
「人間の心は、相手のことばで動く」
ことばひとつで、その人の為なら死も厭わない。ことばひとつで殺意すら持ってしまう。ことばは愛情の表現になったり、凶器になったりします。このように、心を傷つければ、心に響くことばもあります。
相手を生かすも殺すも、ことばしだい
作品が盛り上がったときに、読み手の胸にジーンとしみ込むフレーズが、感動すべき、心に響くことばです。
・病気の子供を抱えた若い母親が、「この子を助けてください」と涙して訴えた。
・戦場の砲弾の恐怖のなかで、「おまえは生きて故国に帰れ、傷ついた俺をかまうな」
・過疎化の故郷に帰省した時、「誰かが村を守らないと、おまえらの故郷がなくなるだろ
う」
・父親に怒られるかと思いきや、「離婚は恥ではない。問題は次の生き方だよ」と優しく接してくれた。
・職場の鬼上司から、「男は誇りが大切だ、そんな仕事をしろ」と怒鳴られた。
これだけでは心に響くことばだと言えません。懸命に生きる姿を描き切ったストーリー(流れ)が必要です。作品が盛り上がれば、心に響くことばが生まれます。心にとどめ置きたいことば、として強く印象に残ります。
・愛、惜別、信頼、努力、痛切な願い、絆、真剣、信念、叱責、危機、
いずれも心に響くことばが潜んでいます。それを引き出すのが作者の技量です。
作者には過去の体験のなかで、忘れ難い、心に響いたことばが必ずあるはずです。それを素材にして、エッセイを書いてみてください。
感動作品が生まれる土壌(ネタ)があります。