フランス国営放送が流した、8月15日とは?
私は目黒カルチャースクールで、「上手なブログの書き方」を教えている。ブログは読みやすく、ビジュアルに、と指導している。文字ばかりで日記風に書いたならば、誰も連続して読んでくれない、と。
写真を貼り付けなさい。文章も磨きなさい。取材を入れなさい。この3項目が指導の最大ポイント。そこで毎回、文章教室のように課題を与え、短文を提出してもらい、添削している。
受講生の一人・久保田雅子さんは絵画に精通した方だ。同教室には、写真を学びたい、と入ってきた。「文章は苦手です」と言いながらも、文章の課題(宿題)に対応している。作中には芸術的な鋭い感性が見て取れる。
彼女は2年前の8月15日に、フランスにいた。同国の国営放送が同日に、アメリカ制作の「日本の終戦」(タイトルは推量)を放映していた。彼女は思わずデジカメで撮影し、そこに深い関心を寄せたのだ。
どの国の人もそうだろうが、異国で母国の報道や雑誌にふれると、望郷の念に駆り立てられる。彼女の場合はそれとはやや違う。
「フランスの第2次大戦終戦記念日は5月8日。8月15日はカトリックの祝日で、聖母の被昇天の祭日である。フランス放送局が、あえてアメリカ制作の「日本の終戦」を流したのか、と疑問を持ったのだ。
作品は疑問のままで終っている。私は「最近は日本国内で、こうした報道が少なくなってきたな。日本国民が背負った、戦争の痛みは避けて通ってはならない。メディアは積極的に、勇気をもって語り継がないといけない」という思いを強く持った。
久保田さんには転載を依頼し、【ジャーナリスト】で、全文を掲載させていただいた。
(写真提供:久保田雅子さん、フランス国営放送のTVより)