ジャーナリスト

一丁櫓(いっちょうろ)の感動

 私は、瀬戸内海の大崎上島(広島県)の出身である。父親が教員で、この島に赴任してきた。村上水軍(因島)の血筋を引く島娘と結ばれた。その子どもとして私は生まれ育った。
 高校時代までは島っ子だった。夏には全身が真っ黒に日焼けしていた。中学時代の黒んぼ大会で、トップになったことがある。小学校から最大の遊び道具が、一丁櫓の伝馬船だった。


 ジャーナリストとして取材中に、私事にふかく関わる話題が出ることがある。学校や出身地がおなじ、趣味が共通している、身内が近いところにいると、話題として提供したい衝動に駆り立てられる。だが、決して口に出さず、聞き手に徹する。それは長くモットーにしてきた。

  旅先で伝馬船の漕ぎ手をみるたびに、漕いでみたいな、と思う。住まいに近い江戸川の河岸・柴又にいくと、渡し舟の船頭が対岸の矢切(松戸市)にむけて、リズミカルに櫓を漕ぐ光景がある。『やってみたいな』と常づね考えていた。他方で、島を離れてから久しいし、一丁櫓はもう漕ぐことはないのだろう、という思いがあった。

続きを読む...

江戸と東京の大道芸=写真集

 東京・上野の不忍池・池畦『みずどりのステージ』で、7月23日18時半から、「江戸と東京の大道芸」が開かれた。江戸時代からの大道芸、TVで活躍する芸人たちが舞台で、愉快に演じ、楽しませてくれた。


 同月19日に、「うえの夏まつり」のパレードの取材に出向いた。弁天堂で、福岡詩二さんと会った。夏のイベントの幾つかの招待を頂いた。取材活動をしていると、人脈が広がり、大道芸人の方々とも、親しい間柄になる。それぞれから話が聞ける。他人(ひと)を笑わせる。その一芸に身を投じてきた人たちだけに、人間的な魅力がたっぷりだ。

今回は写真で、芸人たちの魅力を紹介したい。

佃川流大江戸玉すだれ『佃川燕也一門』 (右上)


         
津軽三味線『大内和己』 (上)


居合抜き『柳亭風枝』(右上)
alt=

パントマイム『京本千恵美』(上)

    江戸大神楽『丸一仙翁社中』(右)

大正演歌『福岡詩二・詩乃里』


和太鼓『和太鼓 飛翔』(右)

 

松本幸四郎さん、藤間紀子さんに、インタビュー=日本PEN・メルマガ 

 日本ペンクラブ・7月例会が14日、東京會舘(東京・千代田区)で、開催された。今回の講演は、2月の世界フォーラム『災害と文化』で、活躍した神田松鯉(しょうり)さんの講談だった。三遊亭円朝作『怪談・乳房榎(えのき)』だった。

 ふだん講談は生で聞く機会がないだけに、興味深いものがあった。講談師はドスの利いた声、高温、低音と領域が広い。じっくり見ていると、顔の表情が実に変化に富んでいた。

 講談師の語ることだから、真贋は定かでないが、現在、全国に落語家は500人くらい、(東京・350人、上方・150人)、浪曲は200人くらい。講談師は東京で47人いるという。

「これは、どこかで聞いたことがある人数」と神田松鯉が語る。四十七士の赤穂浪士の数と同じ。「実に不思議な縁、こんな少ない人数の商売はめずらしい」という。都道府県が47だから、知事の数とおなじだともいう。

 講談のあと、新入会員が紹介された。神田松鯉さんも、今回が正式な入会だった。愛川欽也さん、松本幸四郎さん、妻の藤間紀子さんなど10人が壇上で、それぞれ紹介された。代表して挨拶に立ったのが、松本幸四郎だった。

続きを読む...

富士山には、根深い対立構造あり。聖護院の修験者(山伏)が百数十年ぶりに入峰修行

 全国の修験者(山伏)は聖護院、醍醐寺、金峯山寺の3派に分かれている。むろん、細かくいうと無数にあるけれど。富士山の山頂はかつて聖護院(京都)の下で、大日堂が建立されていた。明治初(1868)年から出された『神仏分離令』がきっかけに、廃仏毀釈(はいぶつきしゃく)が全国にひろまり、聖護院は熊野や富士山などから追われた。


 明治政府が急激に神道強制を行った、影響は大きく、廃仏毀釈は全国的な広がりを持った。とくに過激派神官らが中心となり、仏教施設の破壊運動にまで発展した。『インドから渡ってきた仏教を打ち壊し、日本からの天照大神(あまてらす おおみかみ)を崇める』いう考えにまでおよんだものだ。

 この折、富士山頂の大日堂は、村山(富士宮市)の浅間神社の境内に移された。他方で、仏像や仏具などは徹底的に破壊された。

 富士山の開山式が毎年、7月1日、静岡県側と山梨県側の各所で行われる。村山の浅間神社および大日堂も一つ。京都・聖護院からは例年数名の修験者が出向いてくる。富士宮市長など多数が参列。開山式は朝10時だった。

 開山式は各TVでも放映されるし、東京からの私は時間的にもムリなので、当初から開山式に出むかなかった。開山式のあとに、つよい興味があったのだ。

続きを読む...

演多亭は多彩な演技で魅せる。わずか千円札一枚で。

 NPOシニア大樂は、6月23日、5周年記念として『08・演多亭』を公演した。場所はシビックホール(文京区)。総合プロデューサーは杉哲男さん。月曜日の午後だったが、約350人の観客席が満員だった。『大入り袋』が関係者に配られていた。


 同演劇はシニアによる、シニアによるものだ。5回目だけに、しっかりフアンがついているようだ。遠く岩手県から交通費をかけて観に来た男性(車椅子で)がいた。関係者とは無縁のひとで、なにかしらの媒体で知ったらしい。それには驚かされた。ちなみに入場料は1000円である。

 出演者の大半はかつて会社員。在職中から趣味で演劇を積み重ねてきた。それが高じてセミプロ、プロへと進んでいる。いまやCDや本を出すほどの腕前ばかり。落語、民謡、演歌、ガマの油売り、音体操、伝統踊り、腹話術、バルーンアート、玉すだれ、のこぎり演奏など多彩だ。

『大盛況』、という最上級の表現は、物書きとして慎むべきだが、千円札一枚で、これだけのものが観られる。やはり、大盛況だろう。
 
 昨年はPJニュースで、出演者たちを紹介した。今回は裏方のスタッフを中心に取材してみた。そこには定年後の生き方、生きがいなどが浮かび上がってくる。

シンポジウムの二次会は、TVの顔ぶれ

 日本ペンクラブと(社)自由人権協会の共催で、08年6月13日、大手町サンケイプラザで、シンポジウムが行われた。タイトルは、言論がアブナイ!「伝えるべきことを伝える大切さ」だった。定員200名の会場が、数多くの報道陣を含め、満員だった。

 第1部は、鑑定医の崎濱盛三さんと、吉岡忍さん(日本ペンクラブ)の対談が行われた。

 崎濱さんは、奈良の少年(当時17歳)が放火し、継母と義弟、義妹が死亡した事件の鑑定を行った。裁判所から預かった少年供述調書をジャーナリストにみせた、刑法の秘密漏洩罪の疑いで逮捕された。起訴されている。不当逮捕だとして、日本ペンクラブは抗議声明を出している。(崎濱さんは裁判で争う)。

 つづいて、映画「靖国」の配給会社のアルゴ・ピクチャーズ代表・岡田裕さんである。新宿の映画館が上映を拒否したり、政治家が圧力をかけてきたりして、社会的にも、言論・表現の自由が問題になった。聞き手はおなじ、吉岡忍だった。

 第2部はパネルディスカッションで、テーマは「伝えることの大切さ」だった。パネリストは、第1部の3名のほかに、原寿雄さん(ジャーナリスト)、伊藤正志(毎日新聞社社会部副部長)が加わった。司会は山田健太さん(同クラブの言論表現委員長)だった。
 言論・表現の自由が、「自主規制」「自粛」の風潮の高まりで、脅かされている。「伝えることの大切さ」をあらためて問い、考える、というものだ。


 進行役は篠田博之さん(同副委員長)で、会場からの質問も、パネリストの手元に渡されていた。

 第1部、第2部とも、私は広報委員の記事担当として、日本ペンクラブ・会報、およびメルマガに書く役割を負う。これらを取材していた。

続きを読む...

時代小説作家・早乙女貢さんのインタビュー記事

 私的な理由だが、亡き伯母の13回忌と、従弟の葬儀とかで、1週間に2度も、瀬戸内の大崎上島も帰省することになった。そんな経緯で、日本ペンクラブ・メルマガの【ペンの顔】の原稿が遅れてしまった。編集の広報委員会・鈴木副委員長にはやきもきさせてしまった。
 


 今回のインタビュー記事は、和服姿がトレードマークの早乙女貢さん(直木賞作家)だった。最も感心させられたことは、高齢だが、50年ほど医者にかかったことがないし、薬も飲んでいないという。悪いところは一つもない。すぐ寝れるし、痛いとか、痒いとかもないという。

「ふだんの仕事ではムリするけれど、仕事以外ではムリをしない。ムチャはしない。この習慣で、バランスが取れているのでしょうね」という。

 国際ペンの大会で、世界各国に出向いているので、エピソードは多い。前編と後編を分けることにした。阿刀田高会長からはじまった、同シリーズで、2回に分けるのははじめてだ。


日本ペンクラブ・メルマガ申込み

私は、この環境問題を、なぜメルマガ記事にしなかったか

 日本ペンクラブの総会が、26日、東京會舘で行われた。総会のあと、緊急講演会が行われた。講師は岡田晴恵さん(同会員、国立感染研究所)で、テーマは「鳥インフルエンザ(H5NI)への警鐘」だった。30分の予定を40分間にわたり、壇上で身振り手振り、熱情的な早口で、この問題を語った。


 岡田さんは今年2月、同クラブの環境委員会研究会で、鳥インフルエンザ(H5NI)について報告を行った。同クラブ会報3月号には、その内容が載った。会報を読んだ会員から、岡田さんの講演を聞きたいという声があり、今回はそれに応えたもの。他方で、4月には十和田湖(秋田県)で、衰弱したり死んだりした白鳥から、毒性の強いH5NIが発見されたことから、緊急講演会となったのだ。

 岡田さんはWHOでは医療問題とともに、危機管理の面からも警鐘を鳴らしている。USAではブッシュ政権の下で、安全保障の面から1兆円もつぎ込み、鳥インフルエンザ(H5NI)の対策に乗り出している、と語る。日本となると、混乱を回避する目的から情報を押さえている、と打ち明ける。

 

続きを読む...

世界P.E.N.フォーラム「災害と文化」の打上げパーティー

 日本ペンクラブ主催の世界P.E.N.フォーラム「災害と文化」が実施されて、約二ヵ月が経つ。 実行委員会委員長だった、阿刀田高会長、吉岡 忍委員長の呼びかけで、08年4月18日(金)に、打上げパーティーがおこなわれた。場所は如水会館(千代田区一ツ橋)。


  17:00~18:30は中国の莫言さん 「秋の水」の記録DVDの上映だった。完成度の高い作品に仕上がっていた。参加者からは、NHKが撮影・編集したもの、と当初受け止められていた。しかし、ペン・メンバーによるものだった。

  18:30~20:30は懇親パーティーだった。作家の出演者、演出者(音楽家、画家ほか)、スタッフが一堂に集まった。約40人ほどだった。

 阿刀田高会長は「計画をたてた時はどうなるか? と思っていました。想像以上の大成功でした。よかったな、といまはしみじみ思います。2年後の国際ペンが東京にほぼ決まるでしょう。今回の経験が役立つだろう、と考えています」と挨拶した。
 
 浅田次郎さんは、鑑賞したばかりのDVDを賞賛してから、「私には経験なく、皆さんに任せぱし。いい経験になった」と述べてから、乾杯した。

 吉岡忍さんは「イヤ、面白かったね。何千万円使って、みんなが楽しく遊んだと思えば、こんな楽しい遊びはなかったね」とジョークを飛ばした。「ペンクラブは活字が中心の世界。他に音楽、芝居、絵画などの世界がある。それらを一緒にできるないか、という思惑が前々からありました。今回の世界フォーラムで、それらを結び付けてみた。楽しかったですね」と述べた。


 高橋千劔破さんの司会で、舞台美術の朝倉摂さん(写真)、コカリナ奏者の黒坂黒太郎さん、事務局長の吉澤一成さん、音楽家の森みどりさん、小説家・出久根達郎さん、高田宏さん、さらなる出席者が次々に紹介された。
 
 

続きを読む...

東京大学・岡部研究室の送別会は、華やかで、楽しく、

 東京大学の卒業式が、3月24日、本郷・安田講堂で学部、大学院生ともにおこなわれた。
東大生産技術研究所(駒場)の岡部研究室(岡部徹准教授)の卒業生送別会が、同日18時から、同研究所の7階ラウンジでおこなわれた。そちらに招かれた。

 卒業したのは大院生(修士)の久保淳一さん、大井泰史さん、堀家千代子さんの3人。それに工学院大学(学部)の桃木宏昌さんを含めた、送別会だった。 この日に韓国・ソウルから同研究室に視察にきたメンバーが加わり、英語が飛び交う、国際色豊かな送別会となった。

 テーブルには多種のアルコール類とともに、白山栄さん(修士1年生)など在校生による、心温まる「チーズフォンデュ」の手料理が添えられた。幹事は宮内彰彦さん(同1年生)と、白山さんの2人。ふたりの幹事ぶりは、社会人に決して引けをとらない、むしろこちらが恐縮する、気配りだった。


 送別会で華を添えたのは、和服姿の堀家千代子さんだ。彼女は御茶ノ水女子大(理学部)を卒業後に、東京大学大学院に進んだ。
「きょうの卒業式は本郷の安田講堂でした。マテリアル工学専攻(修士課程)の卒業生は54名で、そのうち女子は5名でした」と教えてくれた。和服姿、はかま姿は一人ずつ。その和服姿が堀家千代子さんなのだ。

続きを読む...