コロナ感染者のGPSマップをつくるべきだ。日本国憲法「国民の生命と財産を守る」の精神で
新型コロナウイルスが全世界に爆発的にまん延してきた。ことし(2020)年内にも、世界の感染者数が1億人、死者1000万人も、あながち誇大な数字に思えないほど勢いを増してきた。
最先端都市のニューヨーク市が、イタリアが、イギリスの首相までが、とおどろくばかりだ。
先進国はコロナとの戦いで、戦場化している。どのように阻止するか。それぞれの国が民とともに統一戦線を張っている。
世界中を見渡すと、スマホとケータイの普及率が高い。先進国のみならず、各国で感染者のGPSによる位置情報の提供をもとめはじめた。これまでのように、陽性者を隔離するだけでは、このコロナウィルスは抑制できない、と判断したからだ。
個人主義からの脱却である。個人の機密など言っていたら、「一人を守って、一万人の犠牲者をだす」という考えだ。
わが国でも、古来から「小異を捨てて、大同に就く」という格言がある。
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先般は国民的な人気者「志村けん」さんが急死した。えっ、回復を期待していたのに、とだれもがおどろいた。
ある老タクシー運転手さんに取材してみた。
「ショックですよ。コロナ感染者を乗せて、ぼくが死んだら、元も子もないから、会社にきょう3月いっぱいで辞めると、退職届を出しているのです。この商売をやっていて、だれが感染者か、わからないのはメチャクチャ怖いですよ」
先進国の一部では、GPSで感染者がどこにいるか、それが地図上(赤点の動き)で、わかるシステムを導入してきたらしい、と教えると、
「日本は新しいことに遅いからね。新しい仕組みを作ると、決まって、だれかが反対する。声のおおきな反対者が一人でもいれば、やらないのが役人だ。役人は御身大切。GPSなんて、お役人が一番抵抗勢力になるだろうね」
老タクシー運転手は、さらに都知事の発表なんて、なんの役にも立たない、暗い戦争時代の「大本営発表」とおなじですよ、と言い残して立ち去った。
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4月1日の参議院予算委員会で、「陽性者がどこにいるか、それをGPSマップで教えるべきでないか」という質問が出てきた。
なかなか前向きな質問だと、思わず聞き入った。
政府関係者には、そこまで認識していなかったようだ。おどろきの表情だった。「検討に値しますが、個人情報との兼ね合いがありますから」と濁った口調だった。
「やっぱりな」と私は思った。
個人情報保護法よりも、日本国憲法が優先する。子どもでも知っている。政府関係者は法律の優劣も知らないで、よく当選してきたものだ。
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東京都民は1100万人である。毎日、60人以上が出ているといわれても、都民は確認の方法がまったくない。
感染者が何区のなに町にいるのか。一切わからずだ。
合計400人÷人口11、000、000=人口比は0・0000363%か。
この数字からは、なにも読み取れない。
いまの都政の行政マンは単なる感染者の集計マンにすぎない。私たちが目で見えて、肌で感じて、アクティブに行動できる情報になっていない。
隠すことことが日本国民のためだ、と信じ込んでいた軍人政治家たちと、都知事や区長たちの精神構造は実によく似ている。戦時中の「国民総動員令」とおなじ発想だ。いたずらに、一億総引きこもり人間をつくっている。
「不要・不急の外出は自粛せよ」と大本営発表だ。
実際はミッドウェー、ガダルカナタ、硫黄島の陥落していた。それに似て、23区の区別の感染者の実態すらいっさい教えない。
私たちが従順なのか、為政者が過去の歴史から学んでいないのか。突然、焼夷弾(コロナウイルス)が落ちてくる。不安とは恐怖になるのだ。政治家が最も恐怖を煽っている。
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4月1日、俗にいう町医者の内科。眼科なども、自主休業している。あるいは開業の時短だ。看護師や事務員が病院勤務に、怖くて来ないのかもしれない。通院患者のなかに、コロナウイルス患者がいるかもしれない。コロナウイルスの地域情報がないから、彼女たちは不安で怖くて、勤務すら尻込みしている。
東京都民は町医者もかかれない兆しさえ感じる。病院が閉まっていると、隣接する薬局もガラガラの空席状態だ。
これも子細な情報がないからだ。
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海外滞在の邦人が、感染者となって帰国してきている。空港の検疫で、陽性反応が出てくる。帰国者たちの危機感、対策意識はどうなっているのか、と詰問したくなる。
海外帰国の感染者が増えては、国内に住む者がいくら防禦しても「笊(ザル)に水」だ。虚しくなってしまう。
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「日本人だから、母国の日本に帰ってくる」
それは絶対的な権利だ。
「イタリア、スペイン、フランス、アメリカから、今頃、のこのこ帰ってくる」
世界にまん延してきた初期段階で、かれらはなぜ速やかに帰国しなかったのか。その判断に問題はなかったのか。日本在住の家族は、大勢が迷惑するからと、早め帰国をうながさなかったのか。
おなじ日本人ならばこそ、甘い顔せず、そのていどの苦言は述べても良いのではないか。
この問題は重要だ。まだ多くの海外邦人が帰国を望んでいる。その対策はできているのだろうか。現地の大使館は、帰国希望者の邦人らには、コロナウイルス検査を受けて、「陰性の証明書」をもって帰国させるべきだろう。
いまのままでは蛇口の壊れた水道とおなじ。止まるところを知らずである。コロナウイルスの撲滅の根幹を断つ。それには厳しい検疫と義務を課すことである。
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ひどい海外旅行者になると、3月に入ってから、子どもが学校休校になったからと言い、スペインに家族旅行に行く。ウイルスで危険なナイル川に物見遊山に出かけているのだ。
こんな論外なひとなど、個人情報保護法で守る必要があるのか、と言いたくなる。
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海外帰国者の感染者の存在は、地域ごとに仔細に教えるべきだ。個々人のプライバシーよりも、地域住民の生命の方が優先されるべきだ。情報の即時開示である。
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コロナ感染者が半径100メートル以内にいたとすれば、幼少年は児童公園で遊ばせないだろう。1キロ以内にいたら、レストランとか、買いものとか、その地区は当座のところ避けておくだろう。
住民は行動の範囲をみずから決めて、通学・通勤・病院通い、買い物などを決めるだろう。
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GPSでマップによる感染者の位置情報の提供は、国民の命を守る有効な手段の一つだ。このシステムは、NTTドコモ、AU,ソフトバンクなどに協力を求めれば、すぐにでもできるはずだ。
電波とは国民の財産のひとつである。このさいは国民のために有効利用するべきだ。
個人情報を口にするのは、行政関係者に多いのが特徴だ。『苦情がくる』それに対応するのが嫌なのだ。クレーマーにたいして弱腰なのだ。
公務員は税金で雇われて、民の奉仕のためにあるもの。役人の自己防衛や逃げのために個人情報保護法があるのではない。
個人情報保護法は刑法でも、民法でもない。一般に行政法だと言われている。日本国民の生命と安全は『憲法』によって守られている。
政府が先頭に立って、勇気をもって、「GPSを使ったち密な情報提供」をおこなう。「小異を捨て大同に就く」。日本国憲法の精神に則り、わが国を大勢のたいせつな命を救ってもらいたい。
それをもって国民が不安や恐怖やうっ屈から解放されるのだ。