ジャーナリスト

戦争プロパガンダで 日本人の意識が変わった=国会でゼレンスキー、プーチン大統領、双方の主張を聞き、冷静に判断すべき

 戦争の宣戦布告(同日の演説)で、為政者らはいずれも平和ためだと声高にいう。
「われわれは戦争を望んでいるわけではない。ひたすら平和解決を望んでいる。和平を目的としてあらゆる努力を惜しまない」
 聞く方は感動的である。
「この戦争は自国の防衛のためのもので、苦渋の決断です」
 開戦には、決して積極的ではないとつけ加える。
 その実、裏では暴力的で残虐な計画がおおむね隠されている。武器商人の利益が潜んでいたり、領土拡大の野望があったり、あるいは権力や宗教の色合いが色濃くあったりする。

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 戦争の火ぶたが切られると、双方とも為政者から虚偽と欺瞞とウソが飛び交う。もっともらしく言い放たれる。真実は終戦までおおむね判らないことが多い。情報を自分に有利に使う。それら作為的な大嘘をプロパガンダという。

 これは戦争当事国だけでなく、報道する側においても国営放送が自国に不都合な点を隠す。民放がスポンサーの不利益だと忖度する。これも一種のプロパガンダだともいえる。

 一例をしめすと、私がふいにNHKニュース番組を見たとき、ウクライナのゼレンスキー大統領がことし(2022)3月16日、米議会でオンライン形式で演説している光景が報じられた。
「あれ冒頭の大切なスピーチが削除されている、なぜだ? NHKにとって何が不都合なのだろう」と不可解だった。
 TVが最大の情報源の年配者などは、ネットをみず、これでは正確な情報が得られない、と私は批判的な眼になった。

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 ゼレンスキー大統領が冒頭でこう述べていた。

『1941年12月7日の(日本による)真珠湾攻撃を思い出してほしい。空が戦闘機で黒くなった。2001年9月11日米同時多発テロを思い出してほしい。あなた方独立国家が空からの攻撃で、街が戦場になった。我々はロシアによる空からの攻撃で毎日、毎晩、この3週間、同じこと(米国が経験した空からの攻撃)を経験している」と述べた。その上で「ウクライナに飛行禁止区域を設定してほしいと願うのは、過剰ですか」と問いかけた。

 NHKはそこまでをすべてカットしていた
 かたや、ゼレンスキー大統領がキング牧師の有名な演説『私には夢がある』という言葉を引用していた。きょうの私は、私には必要なものがあると申し上げます。私は空を守る必要があるのです」と述べた。

 そして、ウクライナの都市へのミサイル攻撃による死者や負傷者を映した生々しい映像が流れた。
 スピーチの最後はジョー・バイデン大統領に英語で語りかけ、「あなたは一国のリーダー、偉大な国のリーダーだ。世界のリーダーにもなってもらいたい。世界のリーダーであることは、平和のリーダであることだ」と締めくくった。
 
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 NHKがなぜ冒頭の肝心スピーチを流さなかったのか。

 同大統領の演説のあと謎が解けてきた。かれこれ2-3時間も経つと、SNS上で『真珠湾攻撃が9.11と同じくくりでテロ扱いされた』とゼレンスキー大統領にたいする批判が、数千通の投稿となり、批判ごうごうとなった。
 NHKの報道編集局はおおかた生々しく報じれば、ゼレンスキー大統領批判に「火に油を注ぐ」と思ったのだろう。これまでウクライナは侵略された被害者であり、視聴者の同情を中心テーマに報じてきた。
 ところが一気に、それが真逆になった。報道関係者が日本人に不都合なことは流さない意識がはたらいたならば、これは情報操作である。
 もとより大平洋戦争の戦時下で新聞・ラジオが、軍部に気づかい日本人に不都合な負け戦の戦況を流さないという姿勢、つまり「日本式のプロパガンダ」が今日まで底流で生きているのだと私は思った。

「SNS」を取り上げてみたい
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① 「日本の真珠湾攻撃は、軍港などの軍事施設を標的にしたのであって、民間人を標的にしたわけではない。日本は戦後どれだけアメリカとの関係を保つことを努力してきたことか。それを一瞬で壊しかねないことを平気で言いながら、ゼレンスキー大統領は日本にも援助を求める。この外交は無神経すぎる」

② 「ゼレンスキーは、相手の心情とかを考えず軽々しく発言しちゃうところがある。ウクライナ政府側が正しいことを主張していたとしても、結局はロシアが怒ったから侵略行為につながっているわけでしょう」

③ 「確かに真珠湾攻撃は良くない攻撃でした。日本も反省しています。これが演説をさせてほしいとお願いしてくる国の取る言動でしょうか?お願いする相手に失礼だと思います。日本国民の心情を考えると国会での演説は認め難い」

④ 「ウクライナ国民はロシアからの侵攻を受けて気の毒だと思います。でも、これはゼレンスキー氏のNATO加入の表明が少々強引だった部分が要因の1つになかったでしょう。フィンランドやスウェーデンもNATOには加入していません」

⑤ 「日本がアメリカを攻撃したのは事実。日本で演説するときには、東京大空襲や原爆の被害に言及するんだろうな。ソ連、ロシアの脅威を語るのに、終戦間際の不可侵条約破棄せずに攻撃したことも、満州での蛮行を持ち出す必要がある」

⑥ 「日本人の多くに、ウクライナを支援する気持ちを萎えさせた。アルカイダは無差別テロ。真珠湾攻撃は、敵の軍艦、敵基地攻撃。死傷者が出たのは同じだが、本質は違う」

⑦ 「わが国の政府や国会を挑発したり、同調を求めても、戦争当時国の一方に加担することはわが憲法の平和協調義務に反するから不可能だ、ということは理解しておいた方がいい」

⑧ 「日本の国会でやる時はちゃんと関東大空襲出してくださいね。それなら納得します」

⑨ 「ゼレンスキーの大統領としての資質。言葉の質が軽い。ウクライナ国民の安全を考えればロシアへの返答の拒否一辺倒はゼレンスキーの独りよがりだと思う。侵略されてウクライナ国民はゼレンスキーを支持しているというけど、停戦終戦ともなり興奮が覚めれば、本当にこんな大きな犠牲を被る必要があったのかと考え直すでしょう」

⑩ 「リルタイムでゼレンスキーの演説を聞いていて、真珠湾攻撃が出てきたところは、ああ、出た〜と思ったと同時に少なからず動揺した。同時に、そういう感情が湧いた自分自身も意外で、複雑な気持ちになった」

⑪ 「第二次世界大戦では、日本は原爆を2発や無差別大空襲を受け大量の民間人が殺戮された。ロシアにも侵攻され、未だに返らぬ国土が存在する。当時の戦勝国ルールに今も縛られているし、いつまでも過去の行為を反省させられ非難され続けている。ゼレンスキー大統領がドイツも経済優先だと批判されているが、経済を軸に復興したドイツを簡単に批判できるだろうか」

⑫ 「ゼレンスキーに対し正直懐疑的になりました。日本には原爆が落とされている問題を含め、日本がなぜあの当時アメリカに戦争をしかけなければならなかったのか? 歴史的な別の問題がある。戦時、日本で死んだ多くの人に対してあまりにも失礼過ぎる。ゼレンスキーはそれを理解していないで、この発言はいささか日本人全体に対して喧嘩を売っているとしか思えない」

⑬ 「日本の報道はウクライナで起きている戦争に同情しているだけで、結局やっている事はネタとして消費しているだけではないか」

⑭ 「日本人がウクライナの歴史を知らないように、真珠湾攻撃のイメージが無差別攻撃のように思われてるのかもしれない。真珠湾攻撃は事実だが、民間人を標的にしてはいないから、例に出されるのは不適切、不快、となる」

⑮ 「クライナを応援しているが、守るために寄付金で戦闘機を買ったり他国の武力を使ってロシアを攻撃してしまったら、核を落としたアメリカと変わらない。ロシア市民を殺してしまったら、きっとゼレンスキー大統領も偉大な英雄ではいられなくなる」

⑯ 「ゼレンスキーは日米開戦の歴史的事実も知らないで、真珠湾を引用したのは、日本はどうせアメリカに追随する国だと高をくくっているのでしょう。日本の国会で話をするなんて、無神経では」

⑰ 「NATOに入りたかったのは、自国の平和のためだったのに現状は戦争。挙句、停戦条件に中立国化でもいいと言ってる。落ち着く先がそれなら、今回の戦闘が全く意味のないことになる。一歩引いてみるとゼレンスキー大統領が世界大戦を引き起こしたがっているようにしか見えない。一般の国民は内心 終戦だけを願ってるんだと思うんだけど。力強さも大事だが、引くことも大事」

⑱ 「民間人を標的にしたジェノサイドという意味であの戦争から引用するなら、民間人攻撃を厳禁した真珠湾攻撃ではなく、東京大空襲、ヒロシマ、ナガサキが適切だが、まさか、アメリカ議会で持ち出すわけにはいかないからね」

⑲ 「ゼレンスキーは大統領選挙でロシアに支援を受けたにも関わらず、当選するやNATOに秋波を送り続ける態度がプーチンの怒りを沸点に達したことは、開戦時からみんな分かっていた。裏切られたと感じたプーチンの怒りも少し理解できた気がする」

⑳ 「日本人(黄色人種)は人間とは見なされずに核を実験的に投下されたわけだし、詳しい事情が分からないまま、日本がこれ以上ロシアを刺激するべきではないと思います。ゼレンスキー大統領のやり方に流されていくと、今の戦争がさらに世界に広がって行くと思われます」

21 「この戦争を止められるのはプーチンとゼレンスキーでもある。戦争を続ける事でリスクがあるのはプーチンとウクライナ国民だ。ゼレンスキーは国民や各国をあおって戦争を辞める気はないと思います。ウクライナの人々はかわいそうだが、冷静にゼレンスキーの評価を考えた方が良いと思います」

22 「ロシアが悪いのは百も承知だが、やはり双方の意見を聞くべき。それが平和のために議論するって事でしょう。国会で、プーチンの話も聞いてみたい」

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 ゼレンスキー氏がこの3月23日に日本の国会で演説すると固まった。SNSではさっそく、
「日本を戦争に引きこむような発言はやめてくれ。日本はウクライナの同盟国ではない。ロシアの標的にされたくない」
「真珠湾と9.11はまったく違うから。間違わないように」
「日本の立場からすれば、ウクライナは中国や北朝鮮の軍事強化に協力した国家だ。その結果、中朝にさえ警戒しなければならない事態になった」
「日本の最高機関で、ゼレンスキー氏が演説すれば、ロシアを全面的に敵にまわす。日本が参戦国とみられる。北方領土問題を考えると、リスクが大きすぎる」
「アメリカの言いなりで、ロシア制裁への参加やウクライナの肩入れは、憲法の平和精神に反する」
「日本は戦後70年近くロシアと時間をかけて北方領土問題や平和条約締結を議論してきた経緯がある。ウクライナは時間をかけて、ロシアと議論してきたのか」
「真珠湾攻撃の発言はとうてい容認できません」
「演説後、議員が拍手すれば、ゼレンスキー氏を支持していると受け止められる、極東でロシアと日本が緊張関係におよぶ」
「ロシアにたいして非常に危険だ。演説に反対だ」

 ゼレンスキー大統領が米国議会で冒頭に「真珠湾攻撃」を引き合いに出したことから、大半が上記のような反発となり、国会で演説反対とか、なぜやるのか意味が判らないとか、ちょっと反対かな、居心地が悪いとか、SNSには怒涛(どとう)の如く巻き起こっています。 
      

【参考資料・開戦時の議会での演説】 

 ドイツ・ヒットラーが議会で、
「ポーランドで、100万人ドイツ系住民が迫害を受けた。住居を追われている。ポーランドは国家総動員令を発してドイツに挑発している。不本意ながら、もう堪忍袋の緒が切れた。戦争の責任はポーランドにある。ドイツではない」
 このような演説をしている。

 東条英機は、1941年(昭和16年)12月08日に、
「宣戦の御詔勅が発せられました。アジア全域の平和は、これを念願する日本帝国のあらゆる努力にもかかわらず、遂に決裂のやむなきに至ったのであります。これまで政府はあらゆる手段を尽くし、対米国交調整の成立に努力してまいりました。彼(米)は従来の主張を一歩も譲らざるのみならず、かえって英蘭比と連合し、支那より我が陸海軍の無条件全面撤兵、南京政府の否認、日独伊三国条約の破棄を要求し、帝国の一方的譲歩を強要してまいりました。これに対し帝国は、あくまで平和的妥結の努力を続けてまいりましたが、米国はなんら反省の色を示さず、今日に至りました。もし帝国にして彼らの強要に屈従せんと、帝国の権威を失墜、支那事変の完遂を切り得たるのみならず、遂には帝国の存立をも危殆(きたい)に陥らしむる結果となるのであります。事ここに至りましては、帝国は現下の時局を打開し、自存自衛を全うするため、断固として立ちあがるのやむなきに至ったのであります」。
 

 アメリカのルーズベルト大統領
「副大統領、下院議長、上院議員及び下院議員諸君。昨日、1941年12月7日――この日は汚名と共に記憶されることであろうか。アメリカ合衆国は大日本帝国の海軍及び空軍による意図的な奇襲攻撃を受けた。
 合衆国は、同国との間に平和的関係を維持しており、日本の要請により、太平洋の平和維持に向け、同国の政府及び天皇との対話を続けてきた。
 実際、日本の航空隊が米国のオアフ島に対する爆撃を開始した1時間後に、駐米日本大使とその同僚は、最近米国が送った書簡に対する公式回答を我が国の国務長官に提出した。この回答には、これ以上外交交渉を続けても無駄と思わせる記述こそあったものの、戦争や武力攻撃の警告や暗示は全くなかった。
 次のことは記録されるべきであろう。ハワイから日本までの距離を鑑みれば、昨日の攻撃が数日前、あるいは事によると数週間前から周到に計画されていたことは明らかである。この間、日本政府は、持続的平和を希望するとの偽りの声明と表現で、合衆国を故意に欺こうとしてきた。
 ハワイ諸島に対する昨日の攻撃は、米国の海軍力と軍事力に深刻な被害をもたらした。残念ながら、極めて多くの国民の命が失われたことをお伝えせねばならない。さらに、サンフランシスコとホノルルの間の公海上で、米国艦隊が魚雷攻撃を受けたとの報告も受けた」


 プーチン大統領・国民向け演説 2022年2月24日、この日にロシアがウクライナを侵攻

「ロシアはNATOの東方拡大へつよく危機感をもっている。1980年代末、ソビエト連邦は弱体化し、その後、完全に崩壊した。私たちロシア人はしばらく自信を喪失した。あっという間に世界のパワーバランスが崩れたのだ。
 NATOが1インチも東に拡大しないと我が国に約束した。しかしながら、西側諸国の無責任な政治家たちが露骨に、無遠慮にNATOの東方拡大し、その軍備がロシア国境へ接近している。
 この30年間、私たちが粘り強く忍耐強く、ヨーロッパにおける対等かつ不可分の安全保障の原則についてNATO主要諸国と合意を形成しようと試みてきた。しかしながら、NATOは、ロシアのあらゆる抗議や懸念にもかかわらず、ロシアの国境のすぐ近くまで迫っている。
『政治とは汚れたものだ』とよく言われる。そうかもしれないが、国際関係の原則に反し、道徳と倫理の規範に反するし、ここまでしない。ここ数年で、アメリカ国内で真の「うその帝国」ができあがっている。正義と真実はどこにあるのだ?
 さかのぼれば、国連安保理の承認なしにベオグラードに対する流血の軍事作戦を行い、ヨーロッパの中心で戦闘機やミサイルを使った。数週間にわたり、民間の都市や生活インフラを、絶え間なく爆撃した。
 リビアに対して軍事力を不法に使い、リビア問題に関する国連安保理のあらゆる決定を曲解した結果、国家は完全に崩壊し、国際テロリズムの巨大な温床が生まれた。リビア人道的大惨事にみまわれ、いまだに止まらない長年にわたる内戦の沼にはまっている。
 この地域全体の数十万人、数百万人もの人々が陥った悲劇は、北アフリカや中東からヨーロッパへ難民の大規模流出を引き起こしている。
 シリアにもまた、同じような運命が用意されていた。シリア政府の同意と国連安保理の承認が無いまま、この国でアメリカと西側の連合が行った軍事活動は侵略、介入にほかならない。
 何の法的根拠もなく行われたイラク侵攻だ。その口実とされたのはイラクに大量破壊兵器が存在するという信頼性の高い情報をアメリカが持っているとされていることだった。
 アメリカの国務長官が、全世界を前にして、白い粉が入った試験管を振って見せ、これこそがイラクで開発されている化学兵器だと断言した。
 あとになって、それはすべてデマであり、はったりであることが判明した。イラクに化学兵器など存在しなかったのだ。国連の壇上からもウソをついたのだ。信じがたい驚くべきことだが、事実は事実だ。その結果、大きな犠牲、破壊がもたらされ、テロリズムが一気に広がった。
 国際法を軽視した例はこのかぎりではない。
 90年代、2000年代初頭、ロシア南部の分離主義者や傭兵集団を支援していたとき、コーカサス地方の国際テロリズムを断ち切るまでの間に、私たちはどれだけの犠牲を払い、どれだけの損失を被ったことか。にもかかわらず、何の根拠もなく、私たちロシアを敵国と呼ぶ。
 2021年12月、私たちは改めて、アメリカやその同盟諸国と、ヨーロッパの安全保障の原則とNATO不拡大について合意を成立させようと試みた。アメリカの立場は変わらい゛、自国の目標を追い求め、私たちの国益を無視している。
 2014年にウクライナでクーデターを起こした勢力が、権力を乗っ取り、お飾りの選挙手続きによって、権力を維持し、紛争の平和的解決を完全に拒否した。
 終わりの見えない長い8年もの間、私たちは、事態が平和的・政治的手段によって解決されるよう、あらゆる手を尽くしてきた。すべては徒労に帰した。
 NATOによるウクライナ領土の軍事開発は受け入れがたい。NATO諸国の軍によって強化され、最新の武器が次々と供給されている。NATOが東に拡大するにつれ、我が国(ロシア)にとって状況は年を追うごとにどんどん悪化し、危険になってきている。
 しかも、ここ数日、NATOの指導部は、みずからの軍備のロシア国境への接近を加速させている。私たちにとって受け入れがたいことだ。
 ドンバスの人民共和国(ドンバスウクライナの東南部に位置する)はロシアに助けを求めてきた。ドンバスには数百万人の住民に対するジェノサイドがある。これを直ちに止める必要があったのだ。
 第二次世界大戦の際、ヒトラーの片棒を担いだウクライナ民族主義一味の虐殺者たちが、無防備な人々を殺したのと同じように。彼らは公然と、ロシアの他の数々の領土も狙っている。さらに核兵器保有までも求めている。そんなことは絶対に許さない。
  これを受け、国連憲章第7章51条と、ロシア安全保障会議の承認に基づき、また、本年2月22日に連邦議会が批准した、ドネツク人民共和国とルガンスク人民共和国との友好および協力に関する条約を履行するため、特別な軍事作戦を実施する決定を下した。
 その目的は、8年間、ウクライナ政府によって虐げられ、ジェノサイドにさらされてきた人々を保護することだ。そしてそのために、私たちはウクライナの非軍事化と非ナチ化を目指していく。また、ロシア国民を含む民間人に対し、数多くの血生臭い犯罪を犯してきた者たちを裁判にかけるつもりだ。
 ただ、私たちの計画にウクライナ領土の占領は入っていない。国連憲章第1条に明記されている民族自決の権利を取り消すものでもない。私たちの政治の根底にあるのは、自由、つまり、誰もが自分と自分の子どもたちの未来を、自分で決めることのできる選択の自由だ。希望するすべての人々が、この権利、つまり選択の権利を行使できるようにすることが重要であると私たちは考えている」


『註釈』
 プーチン大統領の侵攻は、ウクライナの「非武装化」と「中立化」、2014年にロシアが併合した南部クリミアでの主権承認などを求めるもの。
 額面通りにとらえれば、ロシアの国境のすぐ近くまでNATO軍を入れるな、という国土防衛(自衛権)である。

       SNSコメント:Yahoo!ニュースより   
       イラスト:中川有子

国際ペン ― 世界の作家のウクライナに関する声明 ― ノーベル賞受賞者、作家、芸術家

 世界中のノーベル賞受賞者、作家、芸術家は、1000人以上が署名した前例のない手紙でロシアのウクライナ侵攻を非難します

 文学と表現の自由の組織であるPENインターナショナルは、世界中の1000人以上の作家が署名した手紙を発表し、作家、ジャーナリスト、芸術家、ウクライナの人々との連帯を表明し、ロシアの侵略を非難し、流血の即時終結を呼びかけました。
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クライナの友人や同僚に

 私たち世界中の作家たちは、ロシア軍がウクライナに対して解き放った暴力に愕然とし、流血の終焉を緊急に求めています。

 私たちは無意味な戦争を非難し、プーチン大統領がモスクワの干渉なしに将来の忠誠と歴史を議論するウクライナの人々の権利を受け入れることを拒否したことで団結しました。

 私たちは、作家、ジャーナリスト、芸術家、そして最も暗い時間帯を生きているウクライナのすべての人々を支援するために団結しています。私たちはあなたのそばに立ち、あなたの痛みを感じます。
                   
 すべての個人には、平和、自由な表現、自由な集会の権利があります。プーチンの戦争は、ウクライナだけでなく世界中の民主主義と自由への攻撃です。

 私たちは、平和を求め、暴力を煽っているプロパガンダを終わらせるために団結します。

 自由で独立したウクライナがなければ、自由で安全なヨーロッパはあり得ません。

 平和が優先されなければなりません。
             
         (イラスト:中川有子) 
 
【原文・英語】

Nobel Laureates, writers and artists worldwide condemn Russia's invasion of Ukraine in unprecedented letter signed by over a thousand
Sunday 27 February 2022 - 5:30pm
Read the briefing in full
Nobel Laureates, writers and artists worldwide condemn Russia's invasion of Ukraine in unprecedented letter signed by over a thousand

PEN International, the literary and free expression organisation, has released a letter signed by over 1000 writers worldwide, expressing solidarity with writers, journalists, artists, and the people of Ukraine, condemning the Russian invasion and calling for an immediate end to the bloodshed.

Read in Ukrainian, Russian, Arabic, French and Spanish.

To our friends and colleagues in Ukraine,

We, writers around the world, are appalled by the violence unleashed by Russian forces against Ukraine and urgently call for an end to the bloodshed.

We stand united in condemnation of a senseless war, waged by President Putin's refusal to accept the rights of Ukraine's people to debate their future allegiance and history without Moscow's interference.

We stand united in support of writers, journalists, artists, and all the people of Ukraine, who are living through their darkest hours. We stand by you and feel your pain.

All individuals have a right to peace, free expression, and free assembly. Putin's war is an attack on democracy and freedom not just in Ukraine, but around the world.

We stand united in calling for peace and for an end to the propaganda that is fueling the violence.

There can be no free and safe Europe without a free and independent Ukraine.

Peace must prevail.

「良書・紹介」 明治に育った『或る船長の生涯』=山崎保彦 (著者・90歳にて)

 山崎保彦さんが、『老船長のLOG BOOK』につづいて、第2作目を出版された。題名は『明治に育った「或る船長の生涯」(大成丸学生航海修行日誌)』で、ことし(2022年)1月10日に発売された。

 著者は山崎保彦さんは90歳である。平易な文章で濃密な内容をもって父・彦吉の人生を世に送りだした。それはとりもなおさず、明治、大正、昭和中期までの海洋・海運および日中戦争の貴重な目撃証言である。
 
                *

 明治時代は近代化、西洋化で海洋国家を目指した。ところが、江戸時代の長い鎖国の影響から当時は大型の外洋船もなく、機関知識も、航海術すらもなかった。

 そこで政府は欧米の先端技術を導入し、造船業を盛んにする。なおかつ高度な操船ができる上級船員を養成することが急務だった。全国から最優秀な生徒が官費であつめられた。
学生たち.jpg かれらは招へいされた外国人教官の下で、英語による航海学・機関学を学んだ。実習は欠かせない。沿岸の練習船において、未熟な学生らの海難事故が多々あった。


 かつて幕末に勝海舟が咸臨丸(オランダから購入)で太平洋を横断したように、東京高等商船学校の学生らは、学び得た高度な操船技術を、その実力をいよいよ試すときがやってきたのだ。

 官立(国立)の東京高等商船学校の帆船・練習船(大成丸)が、明治43年10月26日に横浜港から後藤新平逓信大臣らに見送られ、初の世界一周の航海にむかった。

 その1期生として山崎彦吉(著者の父)が乗船していた。それから15ヶ月、3万6000海里の大航海に乗りだしたのである。暴風雨のなかでも毎日、義務として英文で「商船学校学生航海修業日誌」を正確に記す。現存する日誌は、学生が必死に克明に書きつらぬいた筆跡である。

 その貴重な資料をもとに、山崎保彦さんが英文を日本語にして書き綴った作品である。作中で、読者にわかりやすく東京商船大卒の中川有子さんが随所にイラストを挿入している。
 彼女は帆船の練習船に乗船した経験から、イラストはとてもリアルでビジュアルである。練習船の大成丸とはどんな練習船か。現在、横浜みらい博物館に係留されている帆船・日本丸だと想像してもらえばわかりやすい。
 
出版社 : 紙とペン書房

定価  : 1400円+税

 第1章 彦吉の生涯

 第2章 練習船大成丸世界一周(彦吉の航海日誌)
 
2022.1.30.yamzzaki.JPG               *

 
 第一部の「彦吉の生涯」について、

 現・東京海洋大学のHPによると、官営(国立)の東京高等商船学校は、明治・大正・昭和を通して難関校として有名である。俗に「陸士・海兵・高等商船」と受験生から呼ばれ、陸軍士官学校・海軍兵学校と並び称されるほど、全国から秀才が集まったと記されている。

 練習船・大成丸に乗船し世界一周した彦吉は、超エリートの東京高等商船学校を卒業すると、大正2年4月5日から国策会社の日新汽船に入社した。それは男爵・渋沢栄一が、揚子江流域の航海権を欧米と競う新会社として設立したものだ。むろん、航海士として日新汽船に入社するのは狭き門である。

                   *

彦吉船長 ①.jpg 山崎彦吉の勤務地は上海で、天津、大連など海域を航行する船の航海士であった。このころ中国において排日運動が盛んになりはじめていた。やがて昭和になると、第一次上海事変、さらには満州事変へと戦争が激化してくる。彦吉の日々は生死の境目に立つ航海である。
 
 商船は砲撃の対象になるし、昭和7年には日新汽船は民間事業として成立できなくなった。希望退職が募られた。父・彦吉はすでに結婚し広島を定住の地としており、帰国する。

 しかしながら、旧日本軍は揚子江流域にくわしい彦吉をふたたび上海にひきもどした。
 揚子江水先案内人(マリン・パイロット)として招へいされたのだ。上海港に出入りする民間船・軍用船を問わず、乗り込む水先業務である。やがて、第二次上海事変、さらに本格的な日中戦争へと進んでいく。まさに戦時一色である。

 昭和20年になると、日本側には船舶がなくなり、戦局が最悪になり、揚子江水先案内人の仕事もなくなった。彦吉は帰国を決意した。交通機関も満足になく、難行苦行で朝鮮半島の先端へ、さらに佐世保にわたり、列車で妻子がいる広島・宇品の自家にたどり着いた。

 苦労はそればかりか、翌8月6日は原爆の投下による大惨事である。悲惨な光景の町とか、恩師の娘さん・女子学生の死とかが、保彦氏の筆で客観的に描かれている。
 決して大げさな用語はない。それだけに事実の悲惨さがかもし出されている。

 ちなみに晩年の彦吉は、呉と江田島を結ぶ小さなフェリー船の船長になる。やっと平和な父の姿があった。
                   *

 息子の保彦氏も東京商船大学卒で、外国航路の大型船の船長や、大阪湾の水先案内人を務められた方である。
「航海日誌は事実しか書けません。どんな暴風雨のなかでも、冷静に記録します。ですから、フィクションは書けないのです」
 それだけに父親・彦吉が残した数々の日誌、手帳、手紙に冷静な目で向かい合ってより忠実につづられている。

 これらは日中戦争の下で、民間の商船エリートが正確に遺した史料としても第一級であり、加えて貴重な歴史証言といえる。山崎保彦さんはとてもよい仕事をされたと思う。


「関連情報」

①『明治に育った「或る船長の生涯」(大成丸学生航海修行日誌)』

 出版日 :令和4(2022)年1月10日
 出版社 : 紙とペン書房
 定価:1400円+税

 【お問い合わせ先 geihanshi@gmail.com 住所、氏名、電話番号、注文数】
  
②『老船長のLOG BOOK』

 出版日 :令和2(2020)年12月10日 (2版)
 出版社 : 紙とペン書房
 定価: 1600円+税

 【お問い合わせ先 geihanshi@gmail.com 住所、氏名、電話番号、注文数】
  

ヤマサ醤油がすごい。世界で一社しかない「新型コロナワクチン原料供給」=HPから

「ヤマサ醤油」(本社・千葉県銚子市)が、新型コロナウイルス対策として、世界中で使用されているmRNAワクチンに欠かせない原料(シュードウリジン)として主要な供給元になっている。

head1 (2).jpg それも世界に一社しかない、と私は聞いておどろきだった。

 私が社会人になったばかり会社員時代に、顧客のひとつがヤマサ醤油だった。月に一度は銚子に訪問していたから、より親しみをもっている。

          ☆

 ここ数か月は、日本人がなぜコロナワクチンの新規感染者が極度に少ないのだろうか、と疑問を持っていた。欧米では一日に数万人単位の感染者数である。おなじ東洋人の韓国でも半端な患者数ではない。
 しかし、日本は100人前後だ。あまりにも違いすぎる。

 菅元首相が記者会見でしばしば「専門家の意見を聞いて」と話されていた。その専門家はこの秋の新規感染者の激減にたいする医学的な見地を示さなかった。
 わからなかった。それが本心であり、正解だろう。
 
 最近、ふたたびオミクロンの拡散の恐怖(?)話題が出てくると、専門家はのこのこTV出演し、あれこれ語っている。実に、内容が乏しい。
「この学者は、新型コロナウイルスの研究などロクにしないで、テレビに出まくっている。足を運ぶのはスタジオでなく、研究室だろう」と批判したくなる、過去の名誉教授の肩書だけで生きているタレント・学者を多くみかける。

           ☆

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 菅元首相が一人百万人接種という途轍もない目標をかかげた。総裁選を投げだし、コロナ対策に没頭してきた。
「百万人など、できないだろう」と私のみならず、日本人のほとんどは否定的な目でみていた。
 渡米した当時の菅首相は、ファイザー社などから、大量の供給を仰いだ。河野大臣もヨーロッパ諸国からワクチンを引っ張ってきた。菅=河野コンビは、一日百万人を実現させた。むろん、それには医療機関の医師や看護師たちの甚大な協力があったからだ。
 いまや世界各国から日本ミステリーとまで言われている。
「なんで、日本だけがワクチンが手に入るのだろう?」
それが不思議だった。
 
 新型コロナウイルス対策として、mRNAワクチンに欠かせない原料メーカー「ヤマサ醤油」のシュードウリジンの存在があったからだろう。
「ファイザーにしろ、モデルナにしろ、日本政府の要求を受け入れておかないと、『ヤマサ醤油』から供給を止められるか、絞られる」という不安がある。
 日本が最優先の出荷国になったのだ、と私は理解におよんだ。

         ☆

「ヤマサ醤油」HPから、「シュードウリジン」に関して一部抜粋してみます。(写真はすべて引用です)

 mRNA合成用原料のシュードウリジン

 ヤマサ醤油の医薬・化成品事業部では、核酸系うま味調味料の製造開始を発端に、核酸化合物に特化して60年以上事業展開してきています。1970年代からは医薬品原薬の製造販売も開始しています。
 以前は研究用試薬として数多くの核酸化合物を合成し販売していましたが、その一つとしてシュードウリジンを1980年代から販売しております。

2021.12.26.01.png 古くから製品として持っていたこともあり、今話題のmRNA(メッセンジャーRNA)の合成用素材として以前からご使用いただいております。
 体内に存在する通常のmRNAは配列をなしている4つの核酸化合物の一つがウリジンであるのに対して、治療薬やワクチンとして開発されているmRNAはウリジンのかわりに修飾核酸(シュードウリジンやその他の誘導体)が使われています。
 尚、シュードウリジンはRNAの一つであるtRNA(トランスファーRNA)などの構成要素としてもともと体内にも存在します。
※tRNA:RNAの一種で、遺伝情報からタンパク質が合成されるときに、アミノ酸をリボソームに運ぶ役割をもつ。

 新型コロナウイルスワクチンのmRNAは、コロナウイルスの突起部分(スパイクタンパク質)のmRNAを投与すると、そのmRNAによりスパイクタンパク質が細胞内で生成され、結果それを攻撃する抗体が作られるという仕組みです。
 通常のmRNAですと自然免疫により減少し蛋白質が作られにくくなるところ、ウリジンを修飾核酸に置き換えたmRNAの場合、この免疫機能を回避できるようになり、十分タンパク質が作られます。


bubl01_ph04.png mRNA自体は今回の新型コロナウイルスの開発以前から、他のワクチンや治療薬として研究開発されております。

 ヤマサ醤油では研究段階からシュードウリジンを提供してきております。

 その流れのなかで2020年に新型コロナウイルスワクチンの開発が始まり、おなじ用途のmRNA製造用でも、ご利用頂くようになっています。

 2020年12月初め、新型コロナウイルスワクチンのmRNAが、世界で初めてイギリスの規制当局から、緊急使用の承認を受けましたが、ヤマサ醤油ではまだどうなるか分からない秋の段階で、承認された場合に備え、増産体制を整えました。

 未だ需要は増える見込みであり、また将来ふたたびパンデミックが起こった際にも無理なく供給ができるよう、さらに製造能力拡張をふくむ体制整備をおこないます。     

投票権は18歳から。若者よ、政治を変えられるのはあなたたちだ=国政選挙にいこうよ

最近は、若者が投票行動への静かなうねりをみせている。SNSで、若者どうしが呼びかけている。新たな時代の変化だ。
 外国ではアフガンでも、上海でも若者たちが、血をながしても投票権を得るために生命をかけているんだよ。

 日本だって女性が参政権・投票権を得るために、50余か国を相手に4年間も戦争し、「国破れて山河在り」の結果として、得られた貴重なものだよ。

 一票では、なにも変わらないなんて思わないで投票に行こう。ハロウィーンで渋谷に行くにしても、まずは期日前投票で選挙しておこうよ。
 
2021.10.28.001 kotukai.jpg

ヤフコメなどSNSから、それら若者の確かな選挙行動の変化を知ることができる。私が気にとめた書き込みを列記してみた。

① 一人ぐらい投票してもしなくても何も変わらん。そうじゃないんだよ。投票率を上げることで、政府にプレッシャーをかけられるだ。


②、投票しないことは権利放棄です。皆がそうしてきたから、一部の人に好き勝手にされた。そうされては困るから、きちんと権利を行使して主権を守りましょう


③ 若者が選挙に行かないと、投票率の高い高齢者寄りの政治になってしまう。いまは、高齢者層に媚びた内容に偏っていると思う。
若年層は投票しないから、後回しだったり、負担を強いたりする政策になっている。ものすごく損していると思いますよ。


④ 自分の選んだ政党が選ばれなくても、投票率の高さをしめせれば、当選した政治家らにも「好き勝手してたら、次はやばいかも。若い世代は投票率が高いから大事にしないと」と今後にプレッシャーをかけられるよ。


⑤ 高校での政治教育を何十年もおざなりにした。学校内で模擬選挙をやろうよ。
政治を理解させる時間、討論する時間をカリキュラムに入れようよ。


⑥ 氷河期世代は、今こそ投票に行くべきです。政治家は私たち世代に眼をむけてくれなかった。
搾取され続けてきて20年以上収入も増えず。苦しんできたし、死ぬまで、いまのまま働けと言われつづけるのは辛すぎる。
 結婚、子育てを諦めてしまうまえに、とりあえず私たち世代の投票率をUPさせよう。


⑦ マスコミやメディア、ニュースには偏りがあると思う。出演者は当たり障りない言葉ばかり。テレビは政治を題材にとったドラマなど殆どやらないし、スポーツやら芸能ばかり。
政党の偏重報道になるのは問題だけど、若者の投票率が上がれば、私たちの生活にモロに影響がある政治関連が上がってきます。


⑧ 数日前に行った期日前投票は、会場が賑わってたので期待してます。


⑨ 夏の横浜市長選は、投票所まで行きました。炎天下の中、外で長蛇の列でした。


➉ 若者で全国で投票率を70%にすれば、政府や役人も若者を国民を怖がります。真の国民の為の政治に必ずなります。


⑪ ニューヨークタイムズは「一つの党が60年間も政権の座に居続ける事が、民主主義国家として他の先進国から奇異に映っている事を日本人は気づいているのか?」と書いてます。
 そのアメリカは2020年の投票率は66.7%です。国民所得が日本を追い抜いた韓国は66.5%の投票率でした。


⑫ 「一人の力では何も変えられられない」そうじゃないのです。若者の皆さん! 投票率を70%にしましょうよ。

 SNSを見ると、若者たちの投票率70%が合言葉のようです。そして、無党派層は80%に、という表現が多いようです。
 今回の衆議院選挙、来年の参議院選挙を通して、『若者投票率70%の合言葉』が市民権を得るほど、静かなブームを起こしています。

 若者の合言葉が社会の常識になれば、政治家たちの公約政策の実行度をチェックする、アフターフォローの厳しい眼が光る社会へと政治が進化していくでしょう。

GNP1%の軍事費を2%にする。これでは国民に真実が伝わらない

 最近は、安倍晋三元首相が言いだした「悪夢の民主党政権」が独り歩きをしている。
「権力を握った者は保守的になる」ということわざ通りで、正義は自分の側にあり、反対勢力を「悪」とするものだ。

 これまで、安倍氏が国会などで何度もつかったので、大勢のひとたちの脳裏に「悪夢の民主党政権」ということばが刷り込まれている。

 山口県=長州のイメージから、この発言は歴史的によく似た実例がある。

 薩長閥の明治政府が、富国強兵策の自分たちを「善」として高々と謳(うた)いあげた。かたや、封建支配の徳川政権を「悪」とした。この近代思想というか、刷り込みによく似ている。

         ☆
 
 家康が江戸に幕府を開いてから、徳川政権は海外とはいちども戦争をしなかった。ただ、薩摩藩は薩英戦争、長州藩は4カ国連合艦隊と下関戦争をおこなった。
 この薩摩と長州の2回あるのみである。

 戊辰戦争で勝利した薩長が、明治に新政権をとった。
2021.10.24.001.jpg かれら薩長閥の政治家たちは、おなじ思想(欧米列強なみの軍事力をもつべきだ)から、台湾出兵、日清戦争、日露戦争、第一次世界大戦、シベリア出兵、満州事変、日中戦争、太平洋戦争と、その終戦まで10年に一度の海外戦争をおこなってきた。

 この間に多くの戦死者をだした。全国の都市・農村部の各家庭はことごとく生活を崩壊させられた。
 260年間にわたり戦争をしなかった徳川政権と、77年間にわたる戦争国家の薩長閥支配とどちらが「悪」だったのか。

 封建制度はたしかに民主的ではないし、良い制度とはいえない。しかし、庶民にとっては貧しくても、治安は安定していた。
「男は外で威張っているが、家のなかは女房が威張っている」という構図も、庶民感覚らすれば、「悪」ばかりとは言い切れない。

         ☆
            
 夫婦仲が悪くて離婚する際、妻がもってきた嫁入り道具、持参金はすべて女房に渡さねばならない。たとえ老婆になっても厳格な封建ルールだった。それは女の権利を保障するものだった。
 TVドラマで見るように、「三行半」は男が突き付けるものでなく、「わたし、あなたと離婚して、別の男と再婚するから、三行半を書いてちょうだい」という脅し文句が一般的だった。

 結婚して10年も、20年も経てば、持参金も嫁入り道具も生活費として使い切っている。それでも払わないと男が言えば、町奉行所に訴えることができた。
 男は借金してでも用立てて、別れる女房に渡さねばならない。こうなると、男はかんたんに別れられないし、女房には頭があがらないものだ。


 頭ごなしに江戸時代は「悪」と決めつけなくて、こうした夫婦の視点からみてみると、明治時代からの徴兵制度の下で、「勝ってくるぞと勇ましく、国を出てから」と、女は涙を隠し、夫や息子を外地に送りだした77年とどっちが幸せなのだろうか。


 明治時代から昭和中期の我が国は、有能な外交官を育てる教育投資よりも、武勇の将兵を育てる軍事訓練により力を注いできた。
 そのツケが、外交による解決でなく、国際連盟だったとか、日独伊三国同盟とか、戦争における解決の道だった。

        *

 もっとさかのぼってみよう。朝鮮半島問題から日清戦争がおきた。遼東半島の三国干渉(ロシア、ドイツ、フランス)で清国に返還する、という立ち位置から日露戦争がおきた。
2021.10.24.002.jpg  
 当時、外交解決をのぞむ政治家もかなりいた。しかし、多くの日本人は熱くなり、清国と戦争だ、ロシアと戦争だと言い、声高に戦争を主張した。新聞がそれを後押しして、海外戦争を導いていった。

 戦争の発端は国民の声である。そういう戦争解決の政治家たちを選ぶのは選挙権のある国民である。ここは自覚するべきである。
 
 太平洋戦争の終結から、今年はちょうど77年である。第二次世界大戦後に一度も戦争をせず、軍人(自衛官)がひとりも戦場で死んでいない稀有な日本になった。
 いまや、中国・台湾、南シナ海の派遣、尖閣諸島で、きな臭いにおいがする。わたしたちは熱くなりはじめている。自分たち一人ひとりは、戦争に向かっていないか、とつねにじぶんを検証することが大切である。

 緊迫した国際状況だから、GNP1%の軍事費を2%にする。さりげなく言われている。これでは国民に真実が伝わらない。

『2020年の日本の軍事費は5.3兆円で世界9位です。今回の選挙で公約として、倍増しにして10兆6千億円にします。将来の付として、税金で負担してもらいます』
 堂々と皆にわかりやすく実金額で伝えないと、たった1%かと誤った理解を与えてしまう。

 徳川政権のように260年間にわたり、戦争をしない歴史をもった国家だ。
 もし5兆円つかうならば、世界に通用する外交官の養成(語学力、リベート力)の教育投資した方が有益ではないか。という意見も出てこよう。


「悪夢の民主党政権」とか、安倍政権・菅政権の踏襲は「悪魔の政権じゃないか」という概念の応酬でなく、国民により真実で正しい用語で政治論争をしてもらいたいものだ。

【現代風刺】政府「頼むからお盆の帰省は止めて下さい」=ヤフーコメより②

国民50 「専門家と相談しながら、最終的には判断したい」

国民51 「帰省を中止する権限は私には無い。帰省して絆を取り戻す」

国民52 「どうやったら感染者数を減らせるのか。帰省数をごまかすなど、真剣に考えたい」

国民53 「よく帰省について聞かれるわけですけれども、実は私自身、57年前の帰省時、高校生でした。いまだに鮮明に記憶しています。例えば、奥様は魔女と言われたテレビドラマ…(以下、思い出話が続く)」

国民54 「ワクチンも二回打ったし、マスク消毒、手洗いうがいを完璧にして、安心安全に旅行します」


国民55 「帰省できた者には金メダルを授与する」

国民56 「先手先手で帰省する。今回が最後の帰省です」

国民57 「みなさんの安心・安全をまもり帰省を守ります」

政府  「国民の命より、電通の利益を優先させた。帰省はまったく問題ない」

ガス  「感染者数の増加においてはですね、安心安全、直行直帰ちゅうことです。」

国民58 「緊急事態宣言という名のスガ、ユリコの騒ぎには騙されません。安全に帰省して家族との絆を守ります」

国民59 「帰省する事は、私の判断では決められない」

国民60 「帰省で田舎の家族にうつしたらどうするのか?」「仮定の質問には答えられない」

国民61  「私も帰省を諦めるのは簡単ですが、こんな時だからこそ家族一致団結のもと、安心・安全な帰省をやり遂げて見せます!」

国民61 「帰省させないのは、失礼じゃありませんか!」

国民62 「帰省出来るんじゃないかと、そこのところは私の責任でそう思ってます。」

国民63  「そこは大丈夫だと思ってます」

国民64 「いずれにしろ帰省します」

国民65 「実家に帰ったが、帰省はしていない」

共産党 「帰省はしますよ、そりゃあしないとあれだから。コメントは差し控えたい、今でも帰省は反対です。」

国民66 「無観客で帰省します」

国民67 「アルマゲドンでも起きないかぎり帰省します」

国民68 「不要不急だと全く思わないので、帰省します」

国民69 「私は、9月の連休に強い危機感をもって帰省に挑みます!」

国民70 「勇気を出して帰省する人々には、戦時中の出征兵士に対する出陣式のように、東京駅や羽田空港、バスタ新宿で日の丸を振って壮行式を斎行すべきです」

国民71 「人生いろいろ。帰省もいろいろ」

国民72 「新型コロナの影響が長引く中で、家族や親族、地元の友人の皆さんに、まさに勇気と感動を与えてくれた」

国民73 「この夏は「黙食」しました。五輪開会式見て「黙祷」しました。あと「黙帰省」をして「3黙」を守ります」

国民74 「キセルはしませんから、帰省させてください!」

国民75 「私はできる!帰れる!」

国民76 「 濃厚接触しない電車で帰省します」

国民77 「鉄道会社、バス会社を全て止めて、道路も閉鎖すれば、帰省できないんじゃないのかな。そのくらい政府は考えて欲しいです」

ガス 「帰省によって感染拡大したら、どう責任を取るのか」 国民「仮定の質問には答えられない」

国民78 「2週間の自宅隔離後、帰省します」

国民79 「今すぐ帰省を控えるという意義は、私には見つからない」


                          【了】  


《管理者より》

 この社会がおかしくなっていると、誰よりも早く感じ見抜くのは、政府でなく、国民です。為政者が民の声を抑圧すれば、平安の落首、落書き、江戸時代などは狂歌になって現れています。

 わが国の政府が、「お盆の帰省は止めて下さい」と県を越えた帰省の停止を呼びかけても、世界をまたぐアスリートは来ているじゃないか、と政府不信の高まりは増しています。
 若者を中心として、「ヤフーコメ」などで「狂歌に似たことば」を投げつけてくる。それは現代版の抗議です。

 きょう(8月5日)、東京都の新型コロナウイルスの新たな感染者は5042人です。5000人を上回り、昨日に続いて過去最多を更新しています。
 わが国の首相は記者会見で、いまなおも「感染爆発」に関する質問にたいして、『仮定の質問にはコメントを差し控える』と回答を拒絶しています。これが国民の心にとどく言葉でしょうか。

『批判の声を聴かず、国民にとどく言葉をもたない政権は危機にもろい』 (ローマ時代のセネカの名言)

『国民の信頼を失ったら、政治そのものが成り立たなくなる。政治が絶対に失ってならないものが国民の信頼だ』 (孔子)

                      【了】

【現代風刺】政府「頼むからお盆の帰省は止めて下さい」=ヤフーコメより①

国民1 「中止の考えはない。強い警戒感を持って帰省に臨む」

国民2 「バブル方式で帰省する。感染拡大の恐れはないと認識している」

国民3 「帰省を中止することは一番簡単なこと、楽なことだ。帰省に挑戦するのが国民の役割だ」

国民4 「安心安全な帰省に向けて、全力で取り組む」

国民5 「コロナに打ち勝った証として、帰省する」

国民6 「(帰省は)今更やめられないという結論になった」

国民7 「『帰省するな』ではなく、『どうやったら帰省できるか』を皆さんで考えて、どうにかできるようにしてほしい、と思います」

国民9 「家族に感動を与えたい。帰省はコロナ禍収束の希望の光」

国民10 「我々は帰省の力を信じて今までやってきた。別の地平から見てきた言葉をそのまま言ってもなかなか通じづらいのではないか」

国民11 「(帰省中止要請は)自主的な研究の成果の発表ということだと思う。そういう形で受け止めさせていただく」

国民12 「言葉が過ぎる。帰省中止を決める立場にない」

国民13 「帰省が感染拡大につながったエビデンスはない。中止の選択肢はない」

国民14 「(帰省について)政府は反発するだろうが、時間が経てば忘れるだろう」

国民15 「帰省することで、緊急事態宣言下でも帰省できる、ということを世界に示したい」

国民16 「帰省について限定的、統一的な定義は困難」

国民17 「実家を訪問するという認識。帰省するという認識ではない」

国民18 「 帰省して勇気と感動をもらいました!」

国民19  「仮定の話にはお応えできませんが、高い危機感を持って、関係機関と連携しながら、何としてもやりぬきます」

国民20 「私がこの帰省を自分の責任のもとに、しっかりと対応することが、私の責任で、私はできると思っています」

国民21  「国民の帰省に政府が協力してくれている」

国民23 「帰省は家族の行動の問題なので、専門家の意見は聞く必要がない。自らの判断で決めました」

国民25  「国民の命を守るために、安心安全な帰省を実施します」

国民26 「あのう、ご指摘は当たらないと思います。帰省します」

国民27  「実家を訪問するという認識。帰省するという認識ではない」

国民28  「引き続きまして、高い緊張感で注視しながら帰省します」

国民29  「帰省して絆を取り戻します!」

国民30   「昔、帰省される方の中に、東洋の魔女という方がおられました。幼少だった私は、帰省する彼女の姿にえらく感動したものです」

国民31 「今更やめられない、という結論になりました」

安倍晋三 「実家に帰ったということであり、帰省したという認識ではないのであります。こんな人たちに負けるわけにはいかないのであります。ゴニョゴニョゴニョ」

バッハ  「日本の人達は帰省が始まると、歓迎だけでなくサポートしてくれると私は確信している」

政府   「こういう時、普通は帰省しませんよね」

国民32  「経済も優先しなければいけない。皆で帰省することが経済回復に繋がります」

国民33  「電車を利用するなど、なるべく密にならないように注意しながら帰省する。安心安全につとめたい」

国民34  「家族で決めた。帰省のオペレーションの話なのです」

国民35  「帰省を望んでいる国民は、しっかり頑張っている。帰省しないという意義を私は見つけられない」

国民36  「安心安全な帰省に向けて全力で取り組む。コロナに打ち勝った証として帰省する」

                       【②につづく】


《管理者より》

 ヤフーニュース『東京都で新たに4166人の感染確認 過去最多 重症者は3人増の115人』(2021年8月4日)の記事に寄せられた読者のコメント(ヤフコメ)から、抜粋しました。
「現代版の狂歌」として紹介します。投稿者たちの原文を尊重しています。

※ 国民の約7割強が反対したオリンピックが強行された。政府がいまなお「オリンピックはコロナ感染拡大と無関係」と詭弁をつかう。
 
「東京2020オリンピック」を「帰省」に置き換えた「現代版狂歌」から、政府や政治家たちのことばが、日本国民の心理と行動につよく影響を与えています。

 学生は年に一度として親元に帰る。家族は一家して、お墓参り、老両親に孫を見せに行く、という8月お盆の行動を取る。
 
※日本政府と東京都がコロナ禍の下で、オリンピック開催の意義を国民に示さなかった。政府が耳にタコができるほど発信した「安心・安全」政策に、だれもが、そんな言葉に耳を貸さず、もう信じていない。

 政府が思惑でオリンピックをやるならば、われら故郷を大切にする国民は8月お盆の民族大移動(数千万人)へとすすむ。
 昨年(20210)はまだオリンピックの1年延長という施策から、コロナ対策の本気度をくみ取り、民族大移動の帰省は自粛すると耐えた。


 しかし、そこから1年間の政府と東京都よる、その場・その場の取り繕い、ごまかし、誠意のない発言のくり返しから、国民は政治家たちに信頼が裏切られたと、大勢の胸に痛く焼き付いてしまったのです。
 私生活でも、嘘をたびたび聞かされると、腹立たしくもあり、やがて疲れます。国民はコロナに疲れたのではなく、為政者のウソと方便に疲れたのです。

 不信感の累積からの脱皮。ことし(2021)の民はオリンピックTV観戦よりも、近遠距離の故郷志向へと変異してしまった。それがコロナ感染爆発を引き起こす根源となったのです。

「現代版狂歌」から、その心理的な側面からみた感染拡大の実証(エビデンス)ができます。国民は甘くなかった。

IOCのブランデージ会長・バッハ会長=「黒い9月」のさらなる悪の連鎖を起こさないか

「平和の祭典」。きれいなことばの響きの裏には、報復と復讐の恐ろしい連鎖がある。「東京2020オリンピック大会」はコロナに関係する緊急事態下で、開催の是非をめぐって国論が二分した。

 開会式の直前になっても、運営面の方々から不祥事が起きた。しかし、IOCのバッハ会長、日本国政府は、無観客による開会式に踏み切った。NHK、全世界の国営級で、約4時間にわたり放映された。
 私も大きな騒ぎになった開会式だから、TVを観ておく必要がある、と最初から最後まで一部始終ていねいにみていた。

                *

 開始式の冒頭に「ミュンヘン・オリンピック大会」(西ドイツ)のイスラエル選手殺害事件の犠牲者、およびコロナ犠牲者に対して追悼式の黙祷がおこなわれた。東京会場は無観客でもあり、静寂な雰囲気が伝わってきた。

「えっ、ずいぶんハイ・リスクなことを背負うのだな。こんな追悼式のセレモニーを日本で催して、日本政府、JOC、バッハ会長らはだいじょうぶなのかな」
 と私は思わずつぶやいてしまった。

 いま、日本国民はTVを観て、金・銀・銅だと歓喜に沸いている。

 しかし、政治家や大会関係者らは、イスラエル・アスリートの追悼式の後が気にならないのだろうか。

「日本赤軍の岡本公三(こうぞう・熊本出身)は、いま英雄として生存しているんだ。日本赤軍の壊滅宣言はまだ出されていない? もしや、この東京2020オリンピック会場にパレスチナ武装組織『黒い9月』の連鎖と報復から、かれら日本赤軍がある日、突然、会場に現れないだろうか」
 私は内心ひやひやしている。
 
 この大事件は1972年8月、オリンピック開会式から10日目に起こった。とてつもなく重大な国際事件だった。関係者はそれを失念しているのか、勉強不足ではないだろうか、と思う。             


【ミュンヘン・オリンピック大会事件の経緯をたどってみよう】     

 1972年5月30日、岡本公三ら複数の日本赤軍が、テルアビブ空港(イスラエル)で自動小銃を乱射し、民間人を26人を殺す。ロビーを血の海にした痛ましい事件が起きた。
 ただひとり逮捕された岡本は、裁判で終身刑になった。捕虜交換後、出所して現在は、レバノン政府が岡本公三の政治亡命を認めている。

              ※

 岡本公三らのテルアビル空港乱射事件から、約3か月あと、同年8月26日から『1972年ミュンヘン・オリンピック大会』が17日間の予定で開催された。
 開催日から10日が経ったときにイスラエル・アスリート殺害事件が起きたのだ。

 アラブのテロリスト8人が覆面をして、自動小銃と手りゅう弾などで武装し、ミュンヘンのオリンピック選手村に侵入し、イスラエル選手の宿舎のアスリートやコーチを人質に取ったのだ。そして「黒い九月」と称するかれらは犯行声明文を出した。


 イスラエルに監禁されているパレスチナ人、日本赤軍の岡本公三、ドイツ赤軍幹部、あわせて234人の釈放を要求してきた。期限内に解放されないと人質は射殺する、と。

 そこには、日本人の岡本公三の名前が具体的に出ている。それほど、岡本と日本赤軍はこの問題から重要視されて注目されていた。つまり、日本人が深くかかわった事件なのだ。

         *

 イスラエルは国防軍部隊の派遣すると、西ドイツ政府に申しでた。西ドイツは他国の軍隊の自国での活動を認めなかった。

 当時のドイツは第二次世界大戦の戦後処理が完了しておらず、国内の領土が西ドイツ、東ドイツ、と分割されるなど、ナチス・ドイツ時代の暗い影が色濃く残していた。西ドイツ政府は 軍備も武装も積極的でなかった。
 それゆえに西ドイツはテロ対策の特殊部隊をもっていない。地元警察がこの事件の処理に当たった。
 かたや、各TV局がこの事件を生中継しており、「黒い9月」側のメンバーには、政府側の情報が筒抜けとなっていた。

              *

 西ドイツの作戦は、『テロリストと人質を空軍基地に移動し、そこからルフトハンザ航空で、カイロに逃亡させる』というところまで事態を運んでいった。
 その先、手違いもあり、地元警察が「黒い9月」と銃撃戦をおこなう。装備に不十分な警察が逃げ出してしまった。かたや「黒い9月」のほうも基地内のヘリコプターを自爆させた。手足がつながれて目隠しされたアスリートたちは逃げ出せず、全員が死んだ。(一名は選手村から脱出していた)

               *

 この間、IOCのブランデージ会長は、「テロごときに脅されて辞めるような脆弱な祭典ではない」とつよい信念で、競技の継続を訴えた。
 ドイツ国民は中止をもとめて猛反対した。各地でデモも起きた。ブランデージ会長は反ユダヤ的な言動だったといわれている。「何としてでも、大会は中止しない」と言い放った。わずか数日の間があったが、競技を継続させた。

               *

 これだけで終わらなかった。IOCのブランデージ会長の強気と反ユダヤ的な態度と思想が、イスラエル側をより刺激させた。
 この事件のイスラエル報復作戦がすさまじく、シリア・レバノンの空爆をおこなう。そのうえ、イスラエル諜報特務庁(モザト)を発足させて『神の怒り作戦』と称し、「黒い9月」を支援したり、関係したりした人物をヨーロッパ各地から探しだし、暗殺していく。その数は20人以上だともいわれている。

                  *  
 
「目には目を」アラブ側も、民間航空機のハイジャック事件などを起こす。「復讐と報復」の連鎖になった。中東戦争の原因にもなっている。

 この根本には第二次世界大戦が起因となった民族・宗教問題の根深い対立があるのだ。当時、日本赤軍がそこに加担していたのだ。
              *

 その後において現代まで、ドイツ政府は「ミュンヘン事件」公式の調査・検証がなされていない。この問題は長く尾を引いてきた。
 その証拠に、4年に一度のオリンピック大会が開催されるたびに、イスラエル側が『アスリートの犠牲者追悼』を求めてきた。いずれの開催国(都市)も、関わり合いを避けてきた。IOCは45余年間にわたり一度も追悼式を行わなかった。それが由縁である。

            *

 このたび「東京2020オリンピック大会」で、49年目にして初めて「ミュンヘン大会犠牲者の追悼式」がおこなわれた。
 追悼式を決めた日本政府の菅首相、JOCの橋本会長、バッハIOC会長らは、このミュンヘン大会後の「復讐と報復」の連鎖がもはや終了したと確信をもって、東京2020オリンピック大会・開会式に追悼式を催したのだろうか。

 全世界の人々はTVで実況中継を見ている。イスラエルも、アラブの国々のひとも。日本の立つ位置をどう見なしているのか。

 ミュンヘンオリンピック大会のイスラエル選手殺害事件には、当然ながら、岡本公三たち複数の日本人の左翼思想革命家がつよく関わっていると知っているはず。それを承知で、日本政府やIOCは初の「追悼式」を行ったと見とみなすかもしれない。とても、気にはなるところだ。

 極左テロ組織の日本赤軍といえば、多くの日本人には、「あさま山荘事件」、「旅客機同時ハイジャック」「商社マニラ支店長誘拐事件」など痛ましい国内外の事件が数々に焼き付いている。
 かれら日本赤軍はアラブ諸国で英雄視されたうえで、現地人らは日本赤軍の自爆テロを模倣し、幼い子供らも命と身を犠牲にしている。それはいまなお現代まで続いているのだ。
 わが国において、警察庁・公安の発表と報道がないので、日本赤軍の存在はわからない。消滅しているのか。ならばよいが。岡本公三のように「英雄」として存在する人物もいる。かれらが組織テロをおこなっているとすれば、何をするかわからない。この認識が一般的だろう。

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「東京2020・オリパラ」の大会が終了したあと、200余国のアスリートたちがそれぞれ帰国していく。それら民間機がハイジャックされないか、と心配になる。これは単なる杞憂(きゆう)だろうか。
 
 オリ・パラの選手と関係者たちが、無事に母国に帰れるまで、日本政府、JOC関係者、バッハ会長らは責任を背負うべきだ。特に、バッハ会長はドイツ人にして、より事件の重さと追悼式の位置づけを知るはず。IOCのブランデージ元会長も、決して良い判断だったと思えない。今回の追悼式を開催させたバッハ現会長は、この点のリスクをよくよく重く受け止めておくべきだろう。 
 
 日独がともに同盟を結び、敗戦を背負ってきた。この歴史は消えていない。
 
 日本人はミュンヘン・オリンピック大会から、この双方の痛ましい犠牲者の霊を背負っている、と忘れてはならない。
 開会式に端を発して最後の最後まで何が起こるかわからない。警備をふくめて緊張感をもって臨む必要がある。すべてのアスリートの身を守ってあげるのが、国際的な責任だ。

 メダルの数とか、アスリートからの感動や感銘、安全安心をもって成功だった。ワクチンとスポーツでコロナに打ち勝ったとか。安易に打ち揚げてはならない。「東京2020オリンピック大会」の成功とはすべてのアスリートたちの無事の帰国をもって行うべきだろう。
  
                            「了」
 

『古い体質の自民党をぶち壊す。厚労省を破壊して民営化する』=政治家よ、小泉純一郎元首相を見習え

 最近の私はSNSをよく読みます。若者が無記名で、心の奥底から、千差万別の意見を述べています。若者たちの政治不信はとてもよく解ります。
「政治家は歴史からもっと学ぶべきだ」
 崇高な歴史学者が語っています。

 それゆえに、100年前のスペイン風邪に現代の新型コロナ禍に置き換えて、政治や世情をみています。スペイン風邪はまる3年間にわたり、世界を恐怖に陥れ、全世界で約4000万人の死者を出しています。日本も数十万人の方が、このウイルス感染病で亡くなっています。
 第一次世界大戦などやっていられないと、休戦協定が結ばれました。

 スペイン風邪は2年目が最も強烈な感染で、死者をより多く出ました。いま、わが国の新型コロナ禍は、従来のコロナウイルスから、イギリス型、厄介なブラジル型、免疫機能の低下がはげしいインド型の変異株の侵入へと状況が変化しています。まさに、日本国内で、これら変異ウイルスがまん延し、スペイン風邪の2年目の兆候となりつつあります。
 このままでは欧米の感染数字、死者など、万単位が他人事でなくなります。わが国の政治家は、そう考えたくないと、対策がほとんどできていません。危機管理から逃げています。人災となるかもしれません。

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 昨年度から国、都道府県の為政者たちは『不要不急の外出を止めましょう』と唱えつづけいます。コロナ過の2年目がこれから拡大するのに、さも、目先、目先で、終息できる口振りです。ワクチンが万能薬のように、アナウンスメントしています。
 しかし、夏から秋、さらに冬へと感染拡大が拡がるでしょう。スペイン風邪の歴史から疫病の真の怖さを学ぶべきでしょう。

「人間は、自分の行動を不要だと思うひとなど、皆無である」
 人々は考え、そして意志が起きる、それをもって行動に移す。
 街行くひとは、みな目的があります。『不要不急』などと自分にあてはめるひとはいない。こんな庶民にひびかないキャッチフレーズはいかなる官僚がつくったのか。

 国民への自粛要請ばかり。2、3か月で収束できると嘘を言い、結果として「おわび」の連続である。民の信頼を失い、政治不信に陥りはじめている。

「国民にとどく言葉をもたない政権は、危機にもろい」
 古代から言われた政治の格言です。

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 国民の不満はどこにあるのでしょうか。政治家の嘘と、その場その場の取り繕いにあります。諸悪の根源は「厚生労働省」です。 
 小泉純一郎元首相は『古い体質の自民党をぶち壊す。郵政を破壊して民営化する』と、ワンフレーズでわかりやすかった。

 しかし、現代の政治家は厚労省と医療関係者と利権で結ばれている。『厚労省をぶち壊す。民営化する』と言い出せない。

 厚労省の業務は官営でなくとも、民間でもできます。医療の許認可でも、ハローワークでも、社会保険庁でも、国家試験を通った人物でなくとも、民間人でもできます。官営はスピード感の欠如で、物事の停滞を起こします。
 いま厚労省の実態は 国民の安全にためにあるのでしょうか。……、国内ワクチンの研究・開発・認可はさせないばかりか、妨害している。
 

 アメリカの製薬会社に1社に絞りこみ、ワクチン一本は20万円で国民に接種する。製薬メカーから、最終の接種まで、中間搾取はいかなるものか。おそろしく高価格で、緊急という名の下で査定も、見積もり合わせもない暴利でしょう。
 なにしろ、出どころは国の予算=国民の税金ですから、湯水のごとく使いまくる。

 製造コストはおそらく一本300円ていどではなかろうか。インフルエンザのワクチンでも2千円、3千円ですから。コロナ・ワクチンは世界規模の大量生産だから、もっと安いかもしれない。

 厚労省は競争原理を導入させない。メーカーから輸送、保管、接種の医療関係者まで、ぼろ儲けの構図です。
 イギリスでは急いで危機を回避するために、ボランティアに講習会だけで注射器をもたせる。日本では厚労省があるかぎり、許可しないでしょう。

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 江戸時代において漢方医学が、開国しても、優秀な西洋医学を入れさせなかった。だから、長崎港からコロナ、麻疹が入り、日本国内に疫病の渦となり、数十万の死者が出ても、漢方医らは、幕府に「蘭方(おらんだ)医学の禁」を出させた。
    
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 現在の日本医師会など、「医療崩壊」と叫び、厚労省に圧力をかけている。競争原理を排除しておけば、医療も、薬剤も、関係者産業は豊かな収入を確保できる。日本医師会は、ワクチン接種にたいして、「協力せよ」と大号令すらかけない。むしろ、接種に非協力者の医師は数知れない。
 問題なのは、政治家が医療利権で甘い汁を吸える。だから、厚労省の破戒を言いだせないのです。


 新型コロナが約3年かかり終息したとしても、次にエボラ熱のような、強烈なウイルスが日本に入ってくる可能性がある。

 政治家がいま厚労省をぶち壊しておかないと、次の野生動物を源にした強烈なウイルス疾病においても、日本はまたおなじ過ちをする。厚労省を壊せば、国内の製薬会社を参入させ、2社、4社、さらに6社と競争激化すれば、安価で良質なものができる。

 いまここでコロナ過を根本で断ち切るには、まず現代の政治家が、『厚労省をぶち壊す。民営化する』と叫ぶことです。

 国鉄がJRになり、電電公社がNTTになりました。私たちの知る政治家たちは、こうした官僚制度の悪弊をぶち壊してきたのです。
 やる気があるか、どうか。ただ、それだけの問題です。