長野県・上高地で、4月27日(水)12時から、河童橋のたもとで、第48回開山式が行われた。同開山式の実行委員長は松本市長である。北アルプスの登山基地だけに、当日は約3500人が上高地に入っていた。
穂高連峰の白い峻峰は例年よりも雪が少ない。稜線と谷筋が実に鮮明であり、(上高地がすべて雪で埋まった白一色よりも)、カメラマンが最も狙いたい、上高地のシャッターチャンスの景観にあたった。
春の花はいつもよりも10日早いと予想されている。このさき二輪草、シャクナゲは早めに咲いて上高地をさらに彩るだろう。
式典のスタート10分前から、アルプホルンの演奏がはじまった。旋律が豊かな自然美の山間にひびく。
そして、 開山式の神事が、奥穂高を正面に据えて行われた。穂高神社の神主が登山の安全を祈る。
ことしは世界で初めて、国民の祝日「山の日」が8月11日にスタートする。第1回全国記念大会が上高地で行われる。
この点でも、注目度が高く、TV、新聞社など大勢のメディアが取材していた。
梓川の河岸、河童橋の橋上からも、大勢が聴き入っていた。
主催者は説明のなかで、上高地の四季を語っていた。
『春』 裸木から新芽が出て、柔らかな若葉に包まれる。清らかな花も咲きはじめる。
『夏』 登山シーズンで、国内外からやってきた、大勢の北アルプス登山者でにぎわう。
『秋』 紅葉が9月末に標高2800㍍あたりから、日々、急いで降りてくる。上高地は燃えるカラマツで真っ赤に染まる。10月半ばから末頃が最も見ごろになる。
『冬』 11月15日は閉山式で、豪雪のなかに上高地は眠る。
安全登山に対する留意点が、関係者から述べられた。
① 梓川の川底が持ち上がり、1年に1-2㎝ずつ上昇している。
大水の氾濫による危険度が増す。雨が降れば、北アルプスの各地に設置した水量計に注意を払ってほしい。
② 10年前にはここ焼岳が噴火した。
御岳山噴火による大災害が記憶に新しい。活火山の登山には充分気を付けてほしい。
③ 2011年6月には、上高地の釜トンネルの出入口で土石流が発生し、1200人が足止めになった。山崩れなど、自然の猛威はいつ襲ってくるかわからない。
熊本・大分の大地震が連日報道されている。登山者はつねに安全登山を心掛けてほしい。
上高地の象徴の一つ・焼岳の噴煙は見えなかった。風向きで、煙りはきっと飛騨側に流れているのだろう。橋の上では、鏡開きが行われた。
曇天で、雲行きはあやしかったが、式典のあと、帰路につくまで、雨が降らなかった。ただ、高所の稜線には厚い雲がかかってきた。
上高地は、国外からの登山者やハイカーが増えてきた。穂高連峰の絶景は、国境超えて、人々を魅了するようだ。
欧米人は半袖姿の薄着だ。女性も、暑いと上着を取る。日本人は、防寒着なのに……。
マレーシアからきた女性ふたりは、スカーフを巻いたお国自慢の姿である。色彩豊かな高山植物に似合っていた。
まさしく、上高地は国際色が豊かになってきた。