TOKYO美人と、東京100ストーリー

婚約者は刑事 ④  5回連載(007 用賀) 

婚約者は刑事 5回連載① 【世田谷・岡本】
婚約者は刑事 5回連載② 【銀座】
婚約者は刑事 5回連載③ 【多摩川】からのつづき


井伊佳元(いいかげん)は用賀駅まえから、布施(ふせ)和香奈(わかな)と肩をならべ、砧(きぬた)公園にむかっていた。路面には、万葉和歌が風流な文字で彫られている。3月半ばの木漏(こも)れ日が、それら万葉歌人と戯れていた。
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 清流と古(いにしえ)の風情がたっぷりの『用賀いらか道』だった。歴史好きの井伊には心地よかった。時おり、その和歌を口ずさんでいた。
「わたし人質ですよね。溝口さんはきっと、わたしが誘拐されたものだと信じているわ。いい加減さんの言い方には、ドスがありましたもの」
 彼女は多摩川からここまで、それをなんども話題にしていた。

「犯罪史上、こんなにも笑い顔の人質はめずらしいだろうな」
 井伊の視線が路面の和歌から、和香奈にむけられた。
「いまごろ誘拐事件として、警察はたいへんな騒ぎでしょうね。きっと」
「警察にしゃべると、布施和香奈の生命はないぞ。しゃべったら殺す、と脅(おど)しておくべきだったかな。あいては刑事だ、無意味な要求にしろ」
「そう言えばよかったのに。彼って、どう応えたのかしら?」
「決まっているさ」
「どんなふうに?」
 和香奈が首をかしげた。

 全文(007 用賀)は写真、またはこちら左クリック。(印刷による読書がお勧め)


 写真モデル・奈良美和さん(コーチ/コミュニケーションアドバイザー)
 【本文とはいっさい関係ありません】

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