A075-ランナー

2012年元旦は、奥多摩の山を走る

 元旦の昼前には奥多摩駅(標高343m)に着いた。外気温は6度だった。ジャージに着替えると、鋸山林道の大ダワ(約1000m)にむけてランニングで登りはじめた。多摩川に架かる、弁天橋を渡ると、ヒノキや杉の森林を蛇行する舗道である。

 奥多摩~五日市に抜けるルートだが、道路が完成しても、環境問題から、いっさい使用されていない。公共事業のムダの典型的な道路だ。車が通っていない分、(御前山の登山者を迎えるタクシーは過去に一度見た)、ひとり占めである。時おり、崖上からの小石の落石が散乱している程度だが、危険度はない。

「最後のラン登山がどの山だったのかな」
 雲取山か、函館山か、箱根の山か、榛名の山か、記憶は定かではない。
 第2回東京マラソンに出場した。それ以前はランニングで山に登る練習も取り入れていた。大会から遠ざかると、ふだんの練習量は少なくなった。がむしゃらなラン・メニューもなくなった。

「一年の計は元旦にある。今年こそはフル・マラソンに再チャレンジするぞ」
 今回は、そんな格好いものではなかった。
 大晦日の除夜の鐘、初日の出の取材撮影に行くかな、という計画を立てていた。天気予報は曇り。太陽の出ない、初日の出など取材価値がないな、と気持ちは失速した。
「除夜の鐘もやめた。朝起きて、気ままに奥多摩の山でも登るかな」
 そこで下山後に汗を流せる、奥多摩町営「もえぎの湯」をネットで検索すると、元旦から営業だった。
 
 登山となると昼食用のバーナー・コッフェルとか、食糧とか、装備とかが必要だ。
 一方、ランニング登山ならば、ペットボトル1本と小銭(万一のために)さえあれば充分。奥多摩の低山ならば、ランで登れる。つまり、横着な発想から決めたものだ。


 高度が増してきて北面になると、北風が冷たい。標高700メートルくらいから、雪の残りが見え隠れしていた。それでも、汗はかく。目標の大ダワは2時前に着いた。零℃だから、休憩を取ると、一気に身体が冷えてきた。

 下山はスピードが出せる。快適だ。東京には震度4の地震があったらしいが、まったく気づかなかった。
「もえぎの湯」は2時間・700円の入浴料金。登山者が多かった。入浴後、休憩所でのんびり「ビールセット1200円」を注文する。元旦特別サービスで、生ビールが2杯付きで、おせち料理だった。随分得した気分になれた。

 今回はまったく想定外の元旦ランニング登山だった。春先には他の山をチャレンジするかな。ふだんの練習はいつも10キロだけれど、ロング走も試みるかな、と思わぬ元旦の計となった。

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