A070-TOKYO美人と、東京100ストーリー

着物美人の撮影は霧雨、そして快晴=写真小説の舞台裏

 4月1日から、写真小説『TOKYO美人と、東京100ストーリー』がスタートした。第1作目はタイトル「新妻の悩み」で、3回連載。現在は(002 浅草)まで掲載している。近日中には、(003 隅田川)を載せる予定である。


 1作ごとに、女性モデルは違う。それが特徴の一つである。


 2作目は5月1日に掲載予定。タイトルは、『婚約者は刑事』で、ミステリーだ。これは5回の連載である。400字詰めで、約150枚の中編小説だ。

 写真小説の裏舞台にも少しふれてみたい。
 これまで殆どの小説は作品が完成したときに、イラストを描いてもらうのが常だ。そして、書籍や雑誌に掲載されていた。それが映画化されると、俳優のイメージが重なり合っていく。つまり、イラストレーターの絵とか、映画監督がつかう俳優とかが、読者の描く人物像になる。それは執筆中の作家が描く登場人物とはまったく別ものだ。


『TOKYO美人と、東京100ストーリー』の特徴は、まず写真撮影を先行させることにある。撮影は原則として作者自身がおこなう。その写真から、人物(マドンナ役)の特徴を立ち上げていく。同時に、作品のジャンル、テーマ、構成を組み立る手法だ。従来の小説の執筆方法とは180度ちがう。

 撮影場所は、東京都内の有名処、メジャーなところと決めている。モデルの彼女たちから、撮影してもらいたい場所を聞く。(撮影ずみの場所は他に変更してもらっている)。
 服装はすべて彼女たちに任せているので、洋服から和服まで、幅が広い。むろん、持ち物、小物、アクセサリーなども、彼女たちの考えによるものだ。

 マドンナ役の彼女たちには、最初の企画段階から参画してもらっている。つまり、『あなたは写真のモデル、穂高は書く人』という境目を極力なくしたい、と考えている。

 撮影した後は即座に、PCに落とし込み、双方で「スライドショー」をみて確認する。彼女たちがもつ写真上の雰囲気、イメージから、小説のジャンルを決めている。

 モデルにはみずから登場人物の名まえ、職業なども考えてもらう。それら彼女たちの意見や希望は極力、尊重している。タイトルは小説では重要なものだ。それらの意見交換もおこなっている。
 小説は作者が好き勝手にシチュエーションを決められる。彼女たちの意見が足かせ手かせになる面がある。それは承知の上で、彼女たちに参画してもらっている。

 小説は執筆のうえで、ストーリーほど見えないものはない。「人物を立ち上げると、勝手に動きだす」。これだけは書いてみないとわからないものだ。


 第2作目は、前述のとおり『婚約者は刑事』で、撮影場所は多摩川、世田谷の高級住宅地である。現在、彼女のみならず取材協力者にも、掲載上の承諾などを取りつつ執筆している。

 第3作目は写真モデルの彼女からの提案で、タイトルは『心は翼』と決めた。作風はファンタジーだ。撮影場所は、六義園、元岩崎邸、明治神宮である。

 第4作目のモデルは撮影のとき、大切にしている香水を持参してきてくれた。彼女の意見からタイトルは『香水のなぞ』と決まった。撮影場所は上野公園、池袋、飛鳥山公園である。作品はミステリー調だが、「父娘の愛」をテーマにすえたいと考えている。

 第5作目はモデルと撮影前の打合せで、『狙われた若女将』(仮題)サスペンスと決まった。大づかみな内容が決まったうえで、根津神社、小石川後楽園、それに神楽坂へと撮影場所にむかった。


 これら作品は、毎月、1作(3回連載)ずつ、「穂高健一ワールド」および「穂高健一の世界」の特別コーナーで掲載していく。上記、第3作~第5作はストーリーの接点(リンク)の関係で、入れ替わる可能性もある。
 


 いまやインターネット時代だ。既成の小説家がホーム・ページで、「新しいスタイルの写真小説」を読者に無料で提供し、楽しんでもらう。それをめざすものだ。
 他方で、読者には、著作権に違反する行為は厳に慎んでほしい。それを願う。


             掲載写真のモデルは、野中郁子さん(1級カラーリスト)。
             撮影日は霧雨の後、快晴。光と影が繊細な表情を作ってくれた。
 

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