A025-カメラマン

写真で観る、情熱、発散、熱気=東京・大井どんたく(下)

 熱気がからだいっぱいに満ちている

 琉球の踊りには、

 首里王朝の盛衰がある

 何かを訴えている

 彼女はそれを演じている



 名優が日本舞踊を踊る

 指先からつま先まで、無駄がない

 微妙な手の動かし方

 指のさばき方がごく自然だから、

 名優なのだろう
 


 楽しく踊っている

 内心は緊張かも知れない

 でも、観る側には、満悦した踊りに思える



 集合写真を撮るわよ。集まってちょうだい。

 皆来て、来て、はい、パチリ

 後ろの看板「お知らせ」が気になるけど

 そんな背景など関係なく

 「どんたく」の想い出写真になればいいのだ、

 

 沿道で踊る肢体の艶っぽさ

 肩や手の美しさも気高い、

 和服の衣装が、裾でちらっと乱れて

 
 こんなふうに表現すると、時代小説になってしまいそう


 元宝塚のすっきりした名男役が

 すらっとした女の立ち姿の踊り手になる

 魅せてくれる、日舞の神髄を


 

 眼の輝きは、熱気に満ちている

 勝気そうな瞳には、とどめもない興奮がある

 心持開いた口許からは、琉球ことばが出てくる

 太鼓の音は、カメラでは撮れない。

 観る写真から、音が伝わってくるかな。

  


 「琉球」という言葉を消して、

 「沖縄」にしてしまった、

 日本人の罪の意識が芽生えた。

 この青年の踊りから、意外にも、そんな気持が生まれてきた

 カメラマンのまえで、颯爽(さっそう)たるダンサー

 彼女の妖しき笑顔を取っているのか、艶なからだを撮っているのか。

 背筋を走り抜けるような、そんな写真が撮れるかな。
 
 
                              撮影:2014年8月24日
                                  大井町駅前中央通り

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