A025-カメラマン

春だ、飛びだせ、楽しもう、新宿御苑=写真で散策

 3月15日、広い公園で飛び跳ねる女子高生たちがいた。

 春がきた。3月半ばともなれば、それを体感で感じられる。老若男女が、解放感が楽しめる季節だ。

 東京・新宿御苑(御苑)は、新宿駅(JR、メトロ、都営)から徒歩で約12、3分の距離にある。都会人たちのオアシスの公園だ。

 

 保育園の園児たちが、気勢を上げて、先を争って懸命に駆けている。

 「天真爛漫」、月並みなことばだが、子どもたちの楽しげな光景が園内の一角にあった。

 むろん、走らない人もいる。

 芝生で春日差しを浴びて。

 ふたりの心は太陽よりも、隣りに寝る人ぞ、かもね。

 こちらの若いカップルはベンチで読書しながら、真面目な表情で、お話のさなかだった。


 春にはいろいろな過ごし方がある。寒かった冬が通り過ぎたいま、心からエンジョイするならば、戸外が最適だ。

 孤独よりも、連れがいたほうが良さそうだ。


 3月15日、えっもう枝垂れ桜が咲いているの。そんなおどろきを覚えた。

 昨(2012)年は確か、梅と桜が同時期に咲き、それも3月の後半だったと思うけど。

 13年は雪が多かった割に、春は温かそうだ。


 絵画とか、スケッチとか、絵をたしなむ人たちが園内のいたる所にいる。

 春をどう描いているのか、とのぞき込んでみる。

 絢爛(けんらん)な花が殆どないせいか、地味が画作が多かった。

 

 白いモクレンは満開だ。

 赤い服を着た女性がポーズをを取っている。

 赤白の丁合はよかった。

「うまく撮れた?」
 そんなふうに、彼女がくり返し、一眼レフをのぞき込む姿が微笑ましかった。


 カップルは広々した芝生で、好きなところに場所を取っている。

 新宿御苑の良さは芝生が自由に入れることだ。だから、カップルなどは心を開いて語れる場所なのだろう。


 母子で、日差しを浴びて。そして、写真を撮ってもらう。

 成長記録として、子どもが大人になれば、

「母が、御苑に連れて行ってくれたんだ」

 そんな良き親子の触れ合いになるだろう。

 レストラン沿いの花壇には、色彩豊かな花が咲く。

 食事しながら、訪れた春を楽しむ。こうしたレストランでランチタイムもいいかもね。

 大樹はまだ冬籠りだ。

 女性が、樹皮に耳を付けていた。樹木が春の陽を吸収し、温かいのかな。

 樹霊から、
「いま枝から芽を吹きだしているさなか。もうすぐ花咲くからね。また来てね」
 と声が響いているのかな。

 双方に違いない。


 春の盛りに向けて、花の種類と彩が日増しに増えている。

 花壇は手入れがされているので、花はずいぶん咲きほこっている。


 女高生に近づけば、胡坐(あぐら)を組んでいる。躾(しつ)けをあれこれ言うつもりは毛頭ないけれど、写真として見栄えはよくないしな。

 公園の芝生の広さを出すためには、人物を遠景とし、ど真中においてみた。

 「日の丸写真はおこなわない。中央にマスクをしている人を避ける」
 ふだんフォトエッセイの指導で、それはいつもくり返して言っていることばだ。

 まさに、この構図の撮り方だ。

 
 

 スイセンが見ごろだった。

 木製ベンチに座り、ゆっくりした時間の流れを楽しむ。

 それも人生の在り様の一つだろう。


 友人と肩を並べて、将来の歩みや人生や哲学を語る。

 こうした過ごし方は、生きていくうえで、大切な栄養分となるだろう。


 落葉の裸木は妙に造形美をかもし出していた。

 青空がキャンバスで、絵になるな、と感慨を覚えた。


  この写真にタイトルをつけるとすれば何かな?

 「大樹」と「都会」と結合させる。

 どこか違うな。


 桜が咲いた。春だ。飛びだそう。

 ひと足早い花見見物だ。

 飲酒が禁止の公園だけに、ソメイヨシノが咲けば、とても良い憩いの場になる。あと1週間かな。

 内閣総理大臣主催の「桜をみる会」などが開催される、由緒ある公園だ。

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