A025-カメラマン

夏の風物詩・浅草「ほうづき市」=写真散策シリーズ

 7月に入ると、梅雨の大雨と、真夏の炎天下が数日ごとに交互する。

 7月9日(月)、10(火)は、東京・浅草寺の境内で恒例のほうずき市が行われた。


 浅草は東京スカイツリーの人気で、ずいぶん人出が多くなった。

 戦前、戦後は繁華街と言えば浅草だった。高度成長期から銀座、渋谷、新宿、池袋に客が奪われ続け、長期にわたって商店街や仲見世は閑散としていた。

 いまではツリー様さまである。


 ほうづき市はどの露店も一鉢が2500円で決まっている。あとは売り子の腕次第。

 とはいっても、男性客はおなじ価格ならば、美人の売り子と考えるのが世の常だろう。

 ほうずき市の露店は毎年きれいな女性を揃えているのが特徴だ。


 7月9日(月)の午後2時になると、外気温が30度を超えた。

 売り子の女性は頭に手拭いを載せ、熱射病を防いでいる。


 ほうずきを買い求める客も、いきな和服姿だ。やはり、浅草だと思わせる。


 売り子は熱心にほうずき鉢の育て方を説明する。半分冷やかしの客も、ついつい財布のひもを緩めてしまう。

 年齢に関係なく、女性には弱いようだ。

 少女の売り子もいた。小学生か、せいぜい中学一年生だろう。



 暑さのもとでは、露店の人気はアイスキャンデーやラムネに傾いてしまう。

「自家製だよ」と売り込んでいた。


 売り手と買い手の呼吸が合えば、商売が成立する。

「毎度、ありがとう」という笑顔が、来年の商売につづく。


 売り子のまわりにはカメラマンが人気女優並みに取り巻いている。一眼レフ、デジカメ、ケータイカメラと、植木鉢の数よりも、カメラの数が多そうだ。

 不思議なのは、あまりにもプロ級に構えている人がいると、「邪魔しては悪い」と思うだろう、妙に遠ざかっている。

 むろん、実力はわからないのだが。

 浅草は国際色豊で、外国人観光客が多い。大正風のいでたちでも似合う町である。



 五重塔と、葦のスダレとが古風な情感を醸し出している。


 男女とも明るく笑顔も絶やさず、客の迷惑にもならず、適度な呼び込みをしている。

 親方が満足そうな表情で、売り子をねぎらっていた。


 ほうずきの売り方も、ディスプレーに左右されるようだ。

 奈良法隆寺・柿のイメージに思えた。


 女性のねじり鉢巻き姿が随所で見受けられた。

 ほうずき鉢の値段が均一だから、ともかく声を出して売り込む。熱意で売る。そうした気迫が感じられた。


 植物も熱射病になる。露店主がていねいにほうずき鉢に水をかけている。

 一鉢ずつに愛着がある。そうした水のまき方だった。


 


 この4人の売り子のまわりが最もカメラマンが多かった。正面から撮影すると、露店の内部に小道具が積み上げられているので、背景が雑然とする。

 それを気にする人はアングルが難しそうだ。

「カメラマン」トップへ戻る