A025-カメラマン

チューリップ53万本、その数に惹(ひ)かれて佐倉へ=写真散策シリーズ

 千葉県・佐倉市はマラソンのメッカである。私はかつて「さくらマラソン」42.195キロのフルに出場したことがある。真冬の大会だから、寒くてつらいものだった。

 オランダ風の風車の周辺もコースに入っていた。3シーズンごとにお花畑になる。チューリップはその本数が膨大で、壮観だろう、という認識があった。いちどは訪ねたいところだった。

 4月26日に出かけてみた。

 駅ポスターなどには「さくらフェスタ」108種類53万本のチューリップが楽しめる。期間は2012年4月1日(日)~同月29日(日)だった。 

 京成電鉄の佐倉駅から、送迎バスが出ているはずだ。

「イベントが終わったから、22日で無料バスは終わっていますよ。タクシーしかないですね、この時間帯は」
 そう教えてくれた駅員には、お礼を言いながらも、
(イベントが終わったから、送迎バスを止めるなんて……。期間を水増しだ)
 と腹だたしさを覚えた。

 多くの人はもうチューリップはOFFだと知っていたのか、風車のまわりは閑散としている。

 人出がないだけに、幼い子を連れた母親には、安心して散策に来れるところらしい。

 53万本の膨大な数をうたう割には、トータルデザイン力が弱いなと感じられた。
 小中学生などが、学校から教師に連れ添われてきて、長方形の区画の畑に、ただ植えて咲かせた。
 種別の豊富さは別にして、そんなデザインの変化の乏しさが感じられた。

 立体感や円錐形などの起伏もないし、京成電鉄のスカイライナーが通れば、背景として、そちらに目移りしてしまう。

 菜の花は元気で長持ちしている。遠景には印旛沼の湖岸に沿った、ポプラ(?)と桜並木が見える。

 チューリップを一度に開花させると、短命で、フェスタが終わってしまうから、当然ながら植えた時点から開花時期をずらしている。

 一度に、ワンルックで53万本が観られるわけではない。早ければ蕾(つぼみ)のチューリップが多いはず。遅くになれば、やたら枯れたチューリップを観ることになる。8割がた終わっていた。


 午前中は小雨まじりで、人出も少なかったこともあるのだろう。昼食が取れるベンチはがら空きで、苦労することはなかった。

 会場の出入り口近くには、訪れた人がいきなり枯れたチューリップが多くて失望させないためだろうか、彩りを添える他の草花を咲かせていた。


 立体感を出せるものがなく、写真散策の被写体としては面白くない。風車と鉄塔ばかりではワンパターンとなってしまう。引き揚げるにしても、駅への循環バスまで、まだ2時間余りもあった。

 せっかくここまで来たし、もう一回りしてみようか。チューリップ畑に似合いそうな人を求めて。

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