A025-カメラマン

満開の桜の下で、さりげない日常風景=東京・葛飾

「家のなかにいないで、子どもは戸外(そと)で遊んでな」

 下町の親は、自由に遊ばせてくれる。

「大人になったら、読み書きできればいいんだ。商人の子はそれでいいんだ。塾なんか、金を出して行かなくても」
 そんな親父さんも沢山いる。

 子供の情緒の養育は、下町が一番だ

 
                         【撮影日:2010年4月9日】


 きょう始業式だ。でも、帰ったら、遊ぶぞ。

 下町の町工場が閉鎖になり、そこにマンションが次々と建てられています。山の手の貴婦人たちが移り住んでいます。

 飼い犬とは残飯で食べさせるもの。そんな下町の番犬も、ちょっとペットとは言いにくい。いまや散歩に連れ出しにくい雰囲気になりました。


 親が付き添いの子どもたちはいません。まだまだ下町っ子は自由です。

 でも、ママ、ボクは見ててね。


 ワンちゃんがしっかり見ててあげるよ。

 みんなで、仲よく遊ぶ。いじめなどないよ。

 学校から、帰ったら、なにして遊ぶ? 土手向こうの、小学校が違っても仲良しです。


 草すべりの遊び道具を持ってきたよ。

 ボクは男の子だ。裸で日向ぼっこだ。寒くないさ、4月だもの。

 コデマリも咲いています。桜ばかりじゃないよ。

 パパは会社、ママは花見に名を借りた、おしゃべりごっこよ。


 ワンちゃん、また出会いましたね。共通語は、犬言葉です。

リタイア組のおじさん、おばさんは土手の隅で、お花見だってさ。平日だって、関係ないんだってさ。

 パパは堤防の下で働いているぞ

 パパの給料は振込だから、安心よね。子育てがママの第切なお仕事よ。

 桜の樹も、下町育ちですよ。堤防を造るという名のもとに、仲間の樹はたくさん伐られてしまいました。これ以上は犠牲者を出さないでください。

ちょっと、最後は暗くなったかな。でも、下町っ子は明るい、とても明るい。

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