A045-かつしかPPクラブ

プラネタリウム 番組作り (上) 郡山利行

【はじめに】

 宇宙には、神秘的な魅力とロマンがあります。数千光年も数万光年に思いをはせても、現実的には星座や星雲の彼方まで行くことは不可能です。それを唯一かなえてくれるのが、プラネタリウムです。

 館内のドームに映し出される天体の中で、私たちは愉しく遊び、心が一体化することができます。
 家族でも、学校教育でも、あるは恋人同士でも、共に宇宙の彼方にでかけられます。身近な月や太陽の運動までも、興味深く知ることができます。


 プラネタリウムの内部。番組を上映しながら映像を説明する解説者席。葛飾区白鳥の地から、宇宙の果てまで自由に行ける、宇宙船の操縦席のようです。≪画像は博物館HPより》


 プラネタリウムの映像は、一体どのようにして作られるのでしょうか。東京・葛飾区立『郷土と天文の博物館』の新井学芸員から、ハードとソフトの両面、そして運営について聞くことができました。
 取材(写真含む)は2020年10月7日の午後です。

 
【博物館のプラネタリウム】

 新井達之(たつゆき)さんが博物館の天文分野を担当されています。1964(昭和39)年生まれ、56歳です。

 彼は、小学3年生の時、母親に連れられて大阪のプラネタリウムで、星の世界を見て、『自分が今住んでいるこの場所が宇宙なんだ』と気づいて、すごく感動したという。

 そのことがきっかけで、天体が好きになり、中学、高校、大学でと天文の世界に入り込み、その後1990年6月に現職に就いて、30年間のこんにちに至っています。

「私達は、博物館の職員だからこそ、プラネタリウムの運営にかかわるすべての情報の入手や、番組の制作などを、職員たちの手作業で行っています。これは使命として、開館以来まったくぶれていません」と、新井さんはモットーを語られた。

 新井さんの原点が、『この場所が宇宙だ』ということなので、プラネタリウムで、観客に宇宙を体感してもらいたい想いで制作した番組が、≪かつしかから宇宙へ≫です。

 この番組は、プラネタリウムのリニューアルなど、大切な節目のたびに、改訂版として作り続けられています。
 新井さんにとり、すべての番組作りへの、想いの原点となっています。


「ここに並んでいるパソコンを使って、番組を作っています。すべての番組が、私達のオリジナルです」と、新井さんは強調されました。
 そこで、プラネタリウムで上映する番組の一部分を、実際にパソコン画面で展開してもらいました。


 土星を見たいです、と依頼すると、すぐ画面に映像が現れた。土星の表面から離れて、輪の中を通過していく場面は驚異的で、高速の宇宙船の窓から眺めているような光景です。

                     【つづく】

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