A045-かつしかPPクラブ

潮汐(ちょうせき)  田代 真智子

『まえがき』

「汐の満ち引き」「満潮」「干潮」などの言葉は、知っていたが、実際にこの目で確認してことはなかった。平成29年は天候不順の日続いた。

 8月下旬の暑い日に、かつしかPPクラブの取材旅行で広島に行くことができた。2017年8月20日から、2泊3日のハードなスケジュールではあったが、多くの風景を目にした。

 初めてみる安芸の国、一生に一度は訪れたかった宮島で「干潮」から「満潮」までを過ごした。時の流れをこの目で実感することができたのだ。

汐が引いた浜辺でたたずむコサギ

 宮島に到着したのは、8月20日午後3時頃。フェリーから見えた厳島神社の鳥居は、想像していた姿とはほど遠く、なんと鳥居の足がむき出しで、周囲にはたくさんの人が居るではないか!

        汐が引いている状態、干潮である。

 そもそも干潮と満潮は何故起きるのか、それは、月と太陽の引力により引き起きる。
 満月と新月の頃は、潮の満ち引きの差は最大となる。大潮である。差が小さい時は、小潮となる。

 地球は1日に1回転しているので、干潮と満潮は一日に2回ずつ来ることになる。

 この海面の周期的な上下の変化を潮汐(ちょうせき)という。この8月日、私達は潮汐をこの目で確認した。

 月と地球は約27日に1回の円運動をしている。月と地球は、それぞれ万有引力で引き合い、それぞれの相互運動による遠心力が働いているため、一定の距離が保たれているという。
 解るような、わからないような、宇宙の神秘である。

≪潮の種類≫
大潮(おおしお)~ 潮の潮汐作が大きい状態。
新月や満月の前後数日間

中潮(なかしお)~ 大潮と小潮の間の期間

小潮(こしお)~潮の潮汐差が小さい状態

長潮(ちょうしお)~月の上弦、下弦が1~2日過ぎた頃で潮汐差が一段と小さい。
 若潮(わかしお)~小潮末期の長潮を堺に大潮に向かうので潮汐差が次第に大きくなる状態。

 長潮の翌日、潮が若返るということから若潮。

干潮の厳島神社:15時48分(地元では遠浅という) 満潮の厳島神社(海面に神殿が映る)

 汐が満ちるまで、大願寺に行き、勝海舟と木戸孝允の会談の部屋の前で150年前の時間と空間をかいま見た。

 その後の足早に参拝受付が終了する時刻間近の厳島神社境内を見学し、豊国神社の五重の塔、千畳閣を観て夕日の沈む厳島神社の大鳥居を観に戻った。   

 大願寺の九本松(廿日市市天然記念物)



   厳島神社の能舞台では、茶道家元による献茶式が斎行される。



豊国神社の五重の塔(日が傾き始めた)


千畳閣(重要文化財。豊臣秀吉が逝去したため未完成となった)



    18時12分 (夕陽が山陽道の山波へ沈みかける)


 宮島は潮汐によって時の流れが確認できる。たどり着いた海岸は、数時間前とは全く違う空間が広がっていた。

 満ち始めた海を観ている多くの人は、ほとんど外国人である。

 この超日本的風景の魅力は、国籍問わず、多くの人に受け入れられているのだ。
『あとがき』

 美しい夕日は、自然の山や海、都会の中など様々な場所で眺められるが、海に沈む夕日を観て、汐の満ち引きが「太陽」「月」「地球」という宇宙と関連があると考える人がどれだけいるでしょう。

  8月20日の日の入り時刻18時52分

 今回の取材で、汐が満ちてくる水面を観ていて、地震や台風などの自然災害を思い出さずにはいられませんでした。宇宙の神秘とも言える力が起こすから天災というのでしょうか。


  宮島は日本最大の外国人観光客がたくさん訪れるところです。

 東京に生まれ育った私には、滅多に味わうことができない体験を記録に残すことができ、有意義な取材でした。

            写真・文  田代 真智子


【HP管理者より】

 田代記者の取材が昨年8月でした。真夏の取材が真冬の掲載になり、記者には申し訳ないです。宮島は4シーズン通して、素晴らしい景観と歴史の地です。潮汐(ちょうせき)は毎日楽しめます。季節を問わず、ぜひ訪ねてください。

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