A045-かつしかPPクラブ

真剣チャレンジ「第7回わいわいフェスティバル」 = 隅田 昭

 まえがき

 平成28年5月14日(土)から15日(日)にかけて、テクノプラザかつしかにて、『第7回わいわいフェスティバル』が開催された。

 葛飾アクセサリー工業会の主催で、栃木県芳賀郡市貝町の協力のもと、地元企業自慢の逸品と、新商品を発表するために行われている。

 実行委員を務める、財津史郎さん(44才)から話をうかがった。
 「春はこのイベント、秋は産業フェアがメインで、出展数は30団体です。この週末2日間は、約2千人の入場者を予定しています」
 今回は新たな試みにもチャレンジしている。アクセサリーを製造する企業が、楽器メーカーとコラボを組んで、三味線を開発したのだ。

「SAKURA前戦」に所属する、菅谷弥生さん(写真・青の衣装)と、関 聡美さん(同・赤の衣装)の若い劇団員だ。

 足立区を活動拠点に、全国各地でちゃんばらとダンスを融合させた、独自の殺陣(たて)パフォーマンスで、観客の人気を集めている。


         本番は表情も変わる

 演技前には屈託のない笑顔を見せていたが、いざ本番が始まると真剣そのもので、観る者を引きつける、迫力の演技に圧倒された。

 会場ではセリフを伴わない、主人公の成長物語を披露した。そのあと、即興のちゃんばら体験教室も行われ、会場は和やかな雰囲気に包まれた。


 パフォーマンス終了後に舞台裏の控室で、演技指導や脚本、総合演出を担当する、伊緒里(いおり)優子さんから話を聞いた。
 公演では劇団員のアクションが激しいので、ナレーションを入れるなど工夫をした上で、独自のパフォーマンスを重視している、と話す。

 最近は海外公演も多く、外国人には特に、忍者パフォーマンスのウケが良いそうだ。まず海外で人気に火がつき、逆輸入されるサクセスストーリーを夢見ながら、彼女たちは日々厳しい稽古に取り組んでいる。


         額に汗して華やかに


 特設ステージでは、『葛飾諏訪太鼓』に所属する子供たちが、額に汗をかきながら、自慢の腕前を披露していた。
 代表の宮坂薫さんの話によれば、女児を必ずチームに入れて、華やかさを演出させるのがミソで、会場も盛り上がるという。
 記者は迫力のある演奏に胸を躍らせたが、
「チームのバランスとしては、まだ60点の出来栄えです」
 と宮坂さんは評価する。

 去年の12月に入ったばかりの佐藤佑介くんは、まだ幼さが残る小学2年生だ。それでも上達が早いらしく、立派にこなしていた。

 母親の亜也さんは45才とうかがった。彼女はヨガやバレーボールなど多数に所属している。その遺伝もあるのか、息子の佑介くんも、柔道や剣道、水泳教室の合間に太鼓を習っている。

 立石のライブフェスタには、毎年出演しており、7月には大田区のビアガーデンで披露する機会もある。また、プロ集団『あまのじゃく』と称するチームが演奏する、太鼓ライブと共演する予定も決まっている。
 これから暑い季節をむかえ、練習にもいっそう熱が入るだろう。


    伝統文化を伝えます


 会場の一角で心が和む、古都の調べが聞こえた。演奏しているのは『文化筝音楽振興会』で師範を務める、増渕喜子(よしこ)さんだ。

 世間一般で知られている「琴」という文字は、簡略化した文字だ。あくまでも「筝」にこだわり、日本独自の伝統文化を守っている。

 稽古で使われる琴は1m83cmあり、子供には持ち運びが難しい。そこで広く普及させるために、増渕さんはコンパクトな筝を開発しました、と説明してくれた。

 和筝は絹糸を張るが、オリジナルの音色に近いテトロンを使う。朝廷の宮廷音楽で使った、伝統の和楽器に比べても、ひけを取らない、と増渕さんは胸を張る。
 小学校にも出張授業の活動を続けており、杉並チャリティーコンサートや宮城、佐渡などでもライブ演奏を披露するほど、普及していると語った。

 体験コーナーでは、ドレミの音階の代わりに、小学生でも理解できるように1から10までの数字と、3つの漢字が並んでいた。
「さくら さくら」など簡単な曲調であれば、誰にでもすぐ軽快なメロディーが奏でられる。

 2020年の東京五輪には、未来を背負う子供たちが箏を演奏する姿を実現させたいと、増渕さんの指導は並々ならぬ情熱がこもっていた。


          盛夏を彩る和の心


 ハクビ京都きもの学院では、盛夏に向けた、浴衣の着付け体験コーナーを開催していた。会場で初めて着付けを頼む、若い女性が初々しい。

 通常は月額9千円で着付けの講義を行うが、今回はイベント開催のために7,560円で、なおかつ好きな浴衣もプレゼントする大盤振る舞いだ。
 この日は柏校から出張してきた4人の講師が交替で、帯の結び方から立ち振り舞いまで、ひと通りのレッスンを実演していた。

 以前と比較して、最近の変化した傾向を講師のひとりに伺った。
「着物を身につける習慣は、やはり少なくなりました。ただ、人生のイベントとして、入学式や卒業式などでは、逆に増えていると感じます。
 最近では、ご夫婦やカップルで、初詣や花火大会に着る方が増えています。なかには男性の方がおひとりで教室に通われて、結婚記念日のサプライズで妻を驚かせたいという、面白いご要望もありました。
 古くは中森明菜、最近では椎名林檎が着物を使った、斬新なファッションで一世を風靡させました。若い女性は、従来のスタイルにとらわれず、独自にアレンジした着物を着こなしている方も多くなっています」


           道産子の淡彩画家


 会場を縦横無尽に撮影している、専属の男性カメラマンがいた。記者が取材を申し込もうと近寄ったところ、その男性は日本全国を旅行しながら自然の風景を水彩で描く、プロの画家であった。

 男性の名前は村上 伶(さかし)さんだ。

 道産子淡彩画家を名乗り、奥戸に居を構える。村上氏の名刺には、今までの経歴や、個展のスケジュールが、裏面にビッシリと書かれていた。

 北海道の十勝出身で、最初は油絵を描いていたが、旅行をしながら絵画を制作するうち、道具も少なく、エコでもある水彩画にたどり着いたという。
 いちばん好きな自作の絵画は、故郷を描いたハマナスやスズランをモチーフにした作品と語る。逆に建物を描くのは大変だ、と苦笑いした。

 記者には全く絵心がないが、ドライブがてらの風景撮影が趣味で、旅先ではしばしば一心不乱に、水彩画を描かれている方を見かける。
 この会場でパフォーマンスを演じる人々や、仕事に打ち込んでいる方はみな、いきいきとした表情で、毎日が充実しておられるのだと感じた。

     いざ本番 精魂をこめて

  迫力ある太鼓の根が、会場いっぱいに拡がっていた。観客は、心から陶酔していた

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