A045-かつしかPPクラブ

「書道の美、理容師の美」=秋山与吏子

加藤仙郷さん


 書道は墨の濃淡、墨のかすれ、線の太さ細さ、ゆっくり角度を変えるには、スーと筆を立ち上がるようにして力を抜きながら、ふぁ~ふぁーと書く。
 最も大切なのは、紙の白さに黒で書く線の美しさ、バランスよく紙との調和がポイント。そこに書の品位さが表現されるのではないかと思う。

 昨年から今年にかけて、16万字書き指にタコが出来てしまった。今書くのは、汚く、いやらしく、オモシロイ字を書きたいが・・・型にこだわりだして篆書を始めた。
 1冊の篆書を一通り書くのを1回にして、今450回になろうとしているとかたる。


書の表現

臼井望岳さん

 書(しょ)を書(かく)ようになってかれこれ、50年になる書写から離れ、手本通りでなく自分流に書くと、楽しいし、あきない、興味がわき、書いた後でここはどうしよう、考えると放りだすことが出来ない。
 書道は芸術、美しく書くことである。



藤原久美子さん

 私は書道を始めて半世紀になります。

 書くときは常に形にこだわり、角度、速さと、深さに、軽く書くか早く書くか、線の強弱、墨の濃淡、滲み、かすれ、さまざまな技術や方法を使い、美しくなるようにかいています。
 晴れやかな藤原さんの表情には、それらを駆使した堂々たるものを、感じ取りました。


瞬間芸術

 絵と違って、書道は数秒から数十秒の完成作品、付け足すことも、削り取ることも出来ない、一発勝負の瞬間芸術だと思います。

 筆の穂先に集中し、思いを一気に書く。穂先に自分の思いが流れこむような、素晴らしい時、これが書道の美しさだと思う。たどり着く道ではないかと思う。

 気分の乗らない時、体調が思わしくない時、そんな時の作品は、穂先がただ紙の上を黒く塗っているだけ、心身共に健康でないと、心をひきつけるような、美しい字には出来上がらないと思う

サインポール


 理容師のしんぼるの、サインポールは、白は白衣を、青と赤は動脈と静脈を表している。髪をカットしたり、シェビングすることにとどまらず、歯の治療や傷の手当まで行う、中世期の頃の、理容師は外科医を兼ていて、理容外科医でもあった。
 昔の日本は髪結い文化でしたが「断髪令」が発布され、ここから近代理容業の始まりでした。


理容師 杉山正さん

 お客様の好みに応じて、その方の魅力を十分に引出し、いかにその方にぴったり、美しく仕上がった時に、「ありがとう」と言う言葉が返ってきたとき、理容身寄りにつます

講習会


 理容師の組合員が講習会を開き、今年はどんな風なスタイルがいいかと、皆さんで意見を交換して、こんな風にして、はやらしたい。
 昔は7・3にきっちりとわけるスタイルだが、今は7・3に分けても、いかにもくずしたようにそれでいてそろえて自然になるようにセットする。


美しく仕上げる

 お客様に対して、手を抜くことなく、精一杯努力して、お客様の注文には、出来る限り添えるように努める。
 しかし、お客様の要望が、その髪では似合わないなぁ!と思うが、そんな時自分との戦い知恵との戦いです。
 そこは伸ばしたいでしょうが、切るのは切りますが、ちよっとカールさせると、いい感じになると思いますよ。常にお客様の好みとの挑戦です。

 美しく仕上げて、次に来てその髪型が守られていると、(あぁ、やったかいがあった)と思う。理容師とは常に美との戦いでしょうねと語ってくださった。


あとがき

美についての取材で思った。
 ちょと凝視してみると、美と言うものは、すべてが持っており、それらを認めないでやり過ごしていたことを感じとった。

 書道の美や、理容師の美は、常に頂点に立っている。それらに向かって精一杯頑張っているものの、捕えたと思ったら両手から、するっとどこかに行ってしまう。

 美とは追いかけるものではないでしょうかと思った。

 

               撮影 平成27年1月25日

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