A045-かつしかPPクラブ

隙間植物 = 須藤裕子


植物の「生きる力」は強く、しぶとく、そして、面白い。隙間に咲く植物は、私たちの周囲のそこかしこに生きている。人間の足音を聞きながら。

「生物」の仲間として・・・・・・。


このひび割れた隙間に、仲間で入れた「ヨウシュヤマゴボウ」はラッキーだ。



「さぁ、出た。これからは、もっと葉を伸ばすぞー」と、思った矢先、不法投棄で置かれていたこの板は、間もなく取り去られた。

隙間植物には、過酷な運命だった。



歩道の端に、「アオギリ」が80センチほどの高さまで育っていた。だが、悲しいかな、そこは雑草としての性。

ほどなく、根元を残してバッサリ切られてしまった。しかし、その根元のアスファルトは、力強くこんもりと盛り上がっていた。

きっと、また、新しい木が伸びてくる。



隙間植物の「ミニアイランド」ができていた。周囲は青い海原ではなく、ごつごつした石の交じった歩道。しかも、堂々と歩道の真ん中だ。

ここまで育つと、踏みつけられるどころか、人が避けて通ってくれる。
「ありがたい。存在感を示したぞ」。

次に目指すは、「ビッグアイランド」だ


「ナガミヒナゲシ」は日本に帰化してから繁殖が著しく、今では、あちらこちらで見かける。


日影でできる湿り気と、この場所の踏まれにくさとが、「こけ」の住み心地を伸ばしてくれた。


街のあちらこちらで見かける「ネコジャラシ」

「正式名は「エノコログサ」といい、語源は「犬ころ」からきている。雑穀の粟の原種で、穂の部分は炙(あぶ)ると食える。」と、『雑穀手帳』 東京書籍にあった。

こう密集していると、もう立派なネーチャーガードレールだ。


確実な雨水の水源確保。背景よし、人に踏まれる心配なし。



隙間植物の分譲が終了。区画整理も済み、住み分け、生育良好。

こんなこともあるが、引き抜かれるよりはましだ



毎朝、水をかけてもらい、気にかけてもらっている
「ナデシコ」。
大切に育てられている隙間植物がいた。


【筆者の感想】

コンクリートやアスファルトの隙間に生える植物たちがいる。土の上に生えていないことが不遇で、「こんな厳しい環境では、生きていくのが大変だろうなぁ」と想像していた。

だが『スキマの植物図鑑』中公新書:塚谷裕一著」によると、『「スキマ植物」にとっては、周囲には競争相手はいないし、水も養分も十分あり、また、通風も適度にあり、お日様にも十分当たっている幸せな状況の中にいる。』とあった。

それを知ってから見る「スキマ植物」たちは、実に逞しく、のびのびと生きているように見えてきた。


撮影: H26年4月~7月 青砥周辺

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