A045-かつしかPPクラブ

『せっぺとべ』400年続くお田植え祭り(上)=郡山利行

2014(平成26)年6月1日(日)に、鹿児島・日置市日吉町の八幡神社(はちまんじんしゃ)で、祭りが行なわれた。泥にまみれて豊作を願う。

 せっぺとべは、1595(文禄4)年、当時の日吉地域の領主だった、日置島津三代常久が、八幡神社を日置総鎮守社と定めて、御神田を寄付した頃から、この地に伝わる「お田植え祭り」である。

 ちなみに、「せっぺとべ」とは、「精一杯跳べ!」の鹿児島弁である。

 八幡神社は、神田から約300m離れた所にある。祭りに参加する町内各地の、自治公民館ごとの集団は、それぞれの「団旗竿」と「しべ竿」とともに、まず神社に参拝する。

 竿の長さは十数メートルの唐竹である。今年は5つの集団が、「せっぺとべ」に参加した。


≪しべ≫とは、材料はクロマツで、長さ85cm、幅3cmの角材をカンナで薄くすき起こしたもの。

 竹へらで反りを取り、先端15cmほど食紅で染めている。

 祭りのあと、人々はこれを3、4枚手に入れて、家の床の間に飾る。

 しべには、五穀豊穣と家内安全と書いてあるが、昔から「蛇が家の中に入ってこない」と云われている。



 午前9時半になると、神社拝殿では、祭典が始まる。境内では同時進行で、各集団別に、笹踊り、虚無僧踊り、棒踊り、鎌踊りが奉納された。

 踊りの種類は、各集団ごとに決まっており、今年は8つの集団が奉納した。


 昔は15歳の元服の成年男子で、それぞれ編成して踊っていた。近年は過疎や少子化の影響で、小学低学年から中学生までの編成になっている。 

 現在では、集団によっては少女も編成に入っていた。

 祭典終了後、各集団はそれぞれ、町内の主要な商店や民家をまわって踊りを披露し、祝儀をいただく。

 午前10時半になると、神田での祭典の始まる。

 祭壇では、厳かに神事が行われている。その向こうの神田では、団旗竿と、しべ竿とがみえる。

 到着した各集団が順番に、選ばれた若者が田んぼの中で、一人で竿を立てて持つ。その距離は約50mである。
 決められた場所までの運びの技を競っていた。

 神社での奉納踊りが終った少年たちが見つめる。

 成年になったら、ほとんどが白装束を着るという。


 日置市商工会のメンバーで、地元日吉町を中心にした各種官庁民間の、若い職員達で構成されていた。
 役所、会社、学校、警察など。

 人数は圧倒的に多かったが、集団ごとの伝統的な製作作業が必要とされる、しべ竿はなかった。

【つづく】

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