A045-かつしかPPクラブ

かつしか区民大学・特別講演会「福島からのメッセージ」=PPクラブ

 福島は3.11で大地震、大津波、原子力被害、さらには風評被害という四重の被害を受けています。暮らし、健康、仕事などあらゆる困難に直面しています。
 2011年(平成23年)8月に、福島県は復興ビジョンを策定しました。


 かつしか区民大学は2月5日(日)午後2時から、講師・鈴木浩さん(福島大学名誉教授)を招いて、ウィメンズパル4階で、特別講演会が開催された。
 鈴木さんは福島県復興ビジョン検討委員会座長である。テーマは「福島からのメッセージ~福島県の復興の取り組みに学ぶ」。手話通訳も行われた。約70人の熱心な受講生たちが参加した。

 事務局が用意した配布資料が間に合わないほど、多数の受講生だった。会場で声を聞くと、「実際に福島で苦労している人の声を聴きたい」「風評に惑わされない、自分を創出したい」というものが多かった。

 鈴木さんの講演内容の柱として
⑤福島県復興ビジョン
①東日本大震災の時代的特質
②震災があぶりだした生命・生活の軽視
③セーフティネット論と居住権保障
④なぜ「原子力に依存しない社会」をめざすのか
⑥災害救助法と応急仮設住宅問題
⑦福島県における応急仮設住宅
⑧大地震にしなやかに立ち向かうということ
⑨地域社会・地域経済再生の課題
⑩まとめ
 
 基本理念として『原子力に依存しない、安全・安心で継続的に発展可能な社会づくり」である。鈴木さんは、福島県内の現場をくまなく調査し、作成した資料をを基に理路整然と説明した。

【福島県復興ビジョン(全編)】はこちらをクリックしてください

 かつしかPPクラブの区民記者は講演後に、鈴木さんからお話を伺いました。主たる内容としては、  

 ・ 福島からのメッセージでは、魂の叫びと受け止めてもらいたい。 

 ・  復興計画を推し進める段階で、知事への答申を繰り返していて、役所の計画が具現化してくると、住民とかけ離れてしまうという焦りを感じた。

 ・ 絆という字句にはピンとこないものがある。身の回りを素通りしてしまう気がする。

 ・  頑張れの言葉は、発する人と聞く人とのあいだに時間をかけて醸成された信頼関係が存在しているのなら使ってもいいが、具体性を欠いたまま使わない方が良いと考える。

 ・ 女川漁港地区の防災計画策定の際、漁師が持つ海に対する強い思いにふれ心を打たれた。

   長い歴史に支えられてきた漁場を大雑把に集約されては困る。漁法、技術、漁具、漁船等の問題と漁業権がある。
   住居を海から遠い高台に移し安全に生きるより、仲間が共有してきた海があるじゃないかの言葉に従って生きたい。

 ・  今回の原子力発電所災害による汚染を全て完璧に除染するには、国の財政では賄いきれない。従ってポイントを決め、優先順位をつけて可能なことから着手すべきだ。

 ・  再生可能エネルギーのためなら、国家予算を積極的に使うべきだという国民の意識が強いドイツに再度出発したい。

  鈴木さんは講演の疲れもものとせず、約30分間も語ってくださった。講演とインタビューを通して、「この歴史豊かで平和な葛飾を少しでも良くして次世代に残したい」という意志に結び付いた。


 インタビュアー=浦沢誠
 文       =葭田忠正
 写真      =郡山利行 
                      

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