A020-小説家

西日本豪雨で、広島県・坂町の「芸州広島藩の幕末史」講演会が延期

 平成30(2018)年7月16日(海の日)に、坂郷土史会25周年記念講演会として、講師・穂高健一【広島藩の幕末史と神機隊】が予定されていました。
 主催:坂郷土史会、共催は同町教育委員。講演:広島テレビ、中国放送、広島ホームテレビ、中国新聞、幕末芸州広島藩研究会である。
 同町を挙げて、つよい意気込みの下で、150人の入場整理券が6月末の段かいにはすでに配布されていた。


 ことし七夕の日に、猛烈な豪雨が西日本を襲った。広島県下は甚大な被害をだした。同県だけでも、死者・行方不明は53人余り。全国の被害者は死者128人、行方不明者79人であり、平成時代にで最大の自然災害となった。(7月9日10時現在)
 とくに、広島県が甚大である。


 TV報道の西日本豪雨の災害報道で、広島県・坂町が各局のともトップで報じられはじめた。同町内に流れる河川の氾濫、山崩れなどで、坂町に被害者が出ている、という。
 しかし、まだ災害は進行形であり、ぼう大な豪雨の数値がうなぎ登りだ。どこの河川も深夜の真っ暗闇で、水位の状況の掌握が出ていなかった。
 

 私は固唾(かたず)をのんでいた。私はかつて3・11東日本大震災で、岩手、宮城、福島に、二十数回の取材した経験がある。作品は『3・11小説 海は憎まず』で発表しています。


 この経験より、災害被害者たちの苦境、現地の混乱のイメージできる。町の方々はいま、生死を分けた苦闘中である。
 おおかた情報の混乱、情報不足によるつのる危機感、家屋喪失の絶望感、死傷者を出した気持の動転、将来への失意などが、わたしには目に見えるようにわかる。


《災害報道の教訓》

 災害を知れば、だれもが身内・知人の安否を知りたいものだ。ただ、遠隔地・東京などからケータイ、スマホによる電話、パソコン通信が一斉に発信されると、有限の電波回線が浪費されてしまう。
 これは最大の迷惑であら、現地の通信を不能にされて、緊急対応ができない、罪悪である。


 いま、現地の災害救助関係者(消防、警察、自衛隊)が、倒壊した家屋内に取り残されたたちに、「おい、無事か。応えてくれ。妻と子は無事か。連絡してくれ」と懸命にケータイで呼びかけている最中だ。

 東京・大阪など遠隔地から、被災地に飛んでいける場所でもないのに、「皆大丈夫かい」というのんびりした電波消費などは論外である。
現地が知りたくても、電話を掛けない
 これが3・11大震災から日本人が学んだ教訓である。電話を掛けない、被災地への最大限の現地協力になる。

 むろん、私は坂町の講演の行方も気になるが、TV情報だけに押しとどめていた。


            *


 7月7日の深夜21時52分。講演会主催者の事務局から、SNSで『ニュースでご存知かと思いますが、坂町が甚大な被害が発生しています。講演会の会場〈SUNSTARホール〉(坂町立町交流センター)が避難場所になっています』と一報が届いた。

 続けて、『避難場所の同会場は、氾濫した濁流が流れ込んでいます。まだ、豪雨が継続しています』と補足情報が寄せられた。

 これは即返答しないと、坂町郷土史会の方は、私に連絡が届いたか否かの不安が生じる。その精神的な摩耗を避けるために、SNSで「大きな災害のなかで、講演会の気づかい大変なことだったと思います。講演会は臨機応変で臨まれて、皆さまは災害救助、復旧活動に取り組んでください」と発信した。


 同日22時13分には、TVで死者が確認できたので、「被災者の1日も早い回復と、お亡くなりになられた方には、哀悼申し上げます」SNSを入れた。

 同7日深夜22時52分に、坂町郷土史会きから『お見舞いありがとうございます。講演会は一段落したら、ご連絡します』


 翌8日夕方17時53分に、『さきほど、郷土史会の会長から、開催は困難なので、延期となりました』。
 それを受けた私は、大災害のなかで、町の関係者が「講演会」の行方を心配してくれていたたと熱い感慨をおぼえた。

 7月8日(8日)22時02分、私からは「講演の延長の件、了承しました。被災者の方々に心痛し、1日も早い回復を願っています」
 
 7月9日(月)の真夜中の0時17分、『お見舞いありがとうございます。災害復旧の目処がどのくらいかわかりません。時期は、また相談させてください』

 こうしたリアルタイムなやり取りで、講演会は7月16日は中止し、順延になりました。同講演会は、災害復旧の目処が立った時に検討されます。きまりましたら、ご連絡いたします。


【補足事項】

① 7月17日(火)18:30に開催される『幕末芸州広島藩研究会』は予定通り実施されます。

 場所は:port.inc(ポートインク)
   住所:広島市広島市中区本川町3丁目1ー5
   シーアイマンション2F 

 連絡先、同研究会・広報室 090-6416-9518

② 8月11日「山の日」・大崎上島。神峰山大会で、午後【広島藩の幕末の活躍について」が予定通り講演されます。

  問い合わせ先「NPOかみじまの風事務所」0846-67-5530

③ 平成7(1995)年度・第42回 地上文学賞受賞「千年杉」が、テーマとして山津波を取り扱っています。同作品は日本ペンクラブ・電子文藝館『小説』に全文掲載されています。

 千年杉は、選考委員が満場一致による受賞作です。23年経った今でも、穂高健一のなかでも、優れた作品のひとつと評価されています。


 

「小説家」トップへ戻る