17回・作家たちの歴史散策:桜の名所なる哲学堂から新井薬師へ
日本ペンクラブの歴史が好きな作家たち7人が、ごく自然にグルーブができた。2017年3月1日の歴史散策は、こんかいで17回目となった。
西武新宿線の新井駅(中野区)に、午後1時に集合だった。
写真は中野区内にある、皇室にちなんだ「プリンセス・雅」という桜である
清原康正さん(会報委員長・文芸評論家)、山名美和子さん(歴史小説作家)である。ともに、歴史は精通している。豪華な案内人である。
林芙美子記念館にでむく。彼女は「放浪記」「浮雲」が名作として、現代でも読まれている。
同館には、彼女の書斎、日常の部屋、さらに林芙美子資料室がある。
手入れがしっかりなされた庭園である。
新津きよみさんは、推理小説作家で、売れっ子である。今回の歴史散策は、どんな作品で登場するのだろうか。
なにしろ坂道が多い街である。
階段の先頭で、井出勉さん(PEN・事務局次長)は慎重に下る。
中井御霊神社は、文化・文政の頃の、「雨乞い」に用いられたむしろ旗が1枚残っている、と明記されていた。
歴史資料に接すると、作家たちはすぐさま話題が多岐にわたる。
相澤与剛さん(広報委員長・ジャーナリスト)は、哲学堂に詳しい。
哲学堂の池淵にくると、静寂な雰囲気のなかで、作家仲間たちは文学を語る。
新井といえば、なんといっても、この薬師だろう。
「たきび」の歌」の発祥地である。
かきねの かきねの まがりかど
「子どもの頃は、たき火をこんなふうに、当たっていたわよね」
山名さんが身振りで説明する。
訪問先が、世の東西を問わず、どんな宗教でも、ふたりはていねいに手を合わせたり、香炉の煙を浴びたり、賽銭を入れたりする。
ご利益はふたりにあれ。
哲学堂や新井薬師の界隈は、川沿いの道が多い。
かつて大雨が降ると、坂道が沢になり、泥流があふれていたらしい。いまは、遊歩道である。
さて、夜の部は中野駅前の陸蒸気(おかじょうき)である。どんな雰囲気の居酒屋化、どんな話題が出るか、楽しみである。