A020-小説家

第46回・元気100エッセイ教室=文章の若返り

 文章にも老齢化がある

 文章には呼吸とリズムがあります。それが句読点(くとうてん)です。
 句点(。)は平均して45文字ていどが、最も読みやすく、読者の理解をスムーズに運んでいきます。

 
句点が少なく、センテンスが長くなると、主語と述語の関係が乱れてきます。一つのセンテンスのなかに、意味が2つも、3つも、ひどいときは5つぐらい入り込みます。そうなると、作者は一体なにを言っているのか、と解らなくなります。必然的に読むのが嫌になります。


 読点(、)は文脈を考え、わかりやすい文章にさせるものです。読点(、)は平均的に15字前後が最も読みやすい文章のようです。


 年配者ほど句読点(くとうてん)が少なくなる傾向があります。それは文章の老齢化です。読者側は、一読で文意がつかめず、もう一度読み直す。そのくり返しが多くなると、そのうち読むのが嫌になり、途中で放棄してしまいます。


 とくに読点の打ち方は大切です。名作の情景文は、句読点が短いものが多いようです。それは若さと文体(個性)を作ることにつながります。

 
 読点を打つ場所

 ①文章の主題を示す、主語を強調するとき
     蛇を見た娘は、悲鳴を上げて後ずさりした。
 ②文が中止するところ
    ベッドの上で、私は一日のできごとを振り返った。
 ③語句を対等に並列するとき
    わが家の庭は春になると、ロウバイ、ボタン、レンギョウなどが咲く
 ④接続詞のあと。
    しかし、そして、だから、さらに、ところで
 ⑤条件や理由をあげたりするとき
    金と暇があれば、かえって無駄な日々を過ごすものです。
 ⑥助詞を省略したところ
    私、彼が嫌いになったから会いたくありません。
 ⑦誤解を避けるとき
    ここで、はきものを脱いでください。 ここでは、きものを脱いでください。
 ⑧倒置したところで
    京都に行ってきました、私たちは婚前旅行で。
 ⑨前置きの節や語句を区切るとき
    終戦記念日に、私は沖縄に訪ねてみた。

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