A020-小説家

38回「元気エッセイ教室」・文章の上達法

 いくら読書しても、多くの名文を読んでも、自分で書かなければ、文章は上達しない。

 文章の上達法は、できるだけ数多く書くことである。ただ、数多く書いても、推敲をくり返さなければ、文章は磨けない。書きっぱなしではダメである。

 推敲の重要性を認識することが第一歩である。文章上達への坂道は「書いて、書いて、書きまくる」、「推敲のくり返し」、この両輪で登っていくことができる。

 日記はいくら書いても、数十年書いても、推敲しないから、文章力は磨かれない。エッセイは読者を対象とするから、推敲が必要であり、文章の修練になる。

 書き上げたばかりの原稿は、自分に甘えている。(独りよがりの面が多い)。読者に通じず、不正確で、流れが悪かったりする。

 一度書き上げたら、大きな声を出して読む。そして、読みながら文章を修正する。ていねいに直したつもりでも、翌日にあらためて見れば、不備があるものだ。2、3日してから、ふたたび推敲する。

 文章の流れ、誤字、脱字など、完璧にできたら、次は「読者に読みやすく、わかりやすく」という面で、推敲する。時間をかけるほど、推敲は完全になる。 

 文章の上手な人ほど、文章の厳しさと恐ろしさを知っている。一字一句も疎かにしない。だから、語彙に対する、注意力が増してくる。

「小説の神様」志賀直哉は、原稿を書き上げてから、いかに催促されても、一ヶ月は手元においていた。推敲をくり返してから、編集者に渡していた。

【演習】 HPの読者も文章を作ってみてください

 豊富なボキャブラリーは、作品に厚みを増します。
一つの情景でも、語彙(ボキャブラリー)を数多く使えば、読者の心を惹きます。
雨にしても、小雨、大雨、糠雨、土砂降りの雨、斜雨……、

 富士山の情景も同様です。美しい言葉がたくさんあります。辞書や類語辞典、過去の名作などからことばを選び出し、写真の情景を文章で描いてください。タイトルも。


(写真提供:滝アヤさん)

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