A020-小説家

11月26日は「ペンの日」。著作権違反で、犯人不詳で告訴も

 日本ペンクラブは創立74周年を迎えた。毎年11月26日は「ペンの日」として、創立の祝賀の宴が行われる。今年も、東京会館(千代田区)のローズ・ルームで開催された。
 森みどりさんのピアノ演奏とバス・バリトン歌手の清水宏樹さん(ブタペスト国際声楽コンクール入賞)の歌からはじまった。

会場の一角には、日本ペンクラブ歴代会長の顔写真パネルが置かれていた。初代会長は島崎藤村、2代正宗白鳥、志賀直哉、川端康成と続いてくる。近いところで、前会長(14代)は井上ひさし、現在(15代)は阿刀田高とならぶ。


 阿刀田高会長は挨拶で、「来年9月下旬に開催される、国際ペン・東京大会があと一年を切りました。準備は順調に進んでいます。そういうと、吉岡忍さん(実行責任者のひとり)などは、まだまだ大変だ、というでしょうけど」と話す。吉岡さんの顔を見ると、苦笑していた。

(注)国際ペン・東京大会は1957年(川端康成会長当時)、1984年(井上靖会長当時)につづいて、25年ぶり、3回目。

「今年の国際ペン大会はリンツで開催されました。70カ国、140人の参加。そのうち、日本人が28人で最大でした。来年の東京大会をアピールしてきました」と述べた。

 浅田次郎専務理事が乾杯の音頭をとった。「日本ペンクラブは特殊な団体です。ふつう団体の理事といえば有給ですが、当クラブは無給、交通費も自前。会員が(それぞれの懐で)団体を支えています」とユーモアの口調で語った。浅田さんは酒が飲めない。それなのに、いつも乾杯の音頭。今回は飲めない話しはなかった。

 パーティー会場では恒例の福引が行われた。壇上では進行役が大きな声で当選番号を読み上げる。呑む人はそちらを横目で見るだけだ。


 山本澄子さん(立正大学名誉教授)から声をかけられた。彼女とは委員会仲間。「吉本孝明(りゅうめい)さんの宅に行ってきたのよ。穂高さんも誘ってあげればよかったわね」という。その写真を見せてくれた。
「次回はよろしく」
 山本さんはボストン大学卒で、同大学東京事務所(港区・麻布)の寺岡満紀子さんが紹介された。明るい女性だった。

 推理作家の新津きよみさんとは、先の「新津きよみさんを囲む会」が楽しかったことや、年が明けたら2回目を、と話し合った。
 広報委員会の鈴木康之さん(副委員長)とは終始一緒に飲んでいた。他方で、次回の各委員長インタビューの日程などを確認した。総合司会で忙しい高橋千劔破さん(常務理事)とは軽い挨拶ていど。他にも、大勢の方々と駆け足的に語らった。


 小中陽太郎さん(理事)から、「これが終わると、数寄屋橋のいつものところにいこう」と声がかけられた。「よたろう会」メンバーが居酒屋に集合した。常に新しい顔がある。小中さんの人柄の良さと、顔の広さだろう。

 大原雄さん(理事、元NHK報道局・幹部)と隣り合って飲んでいた。そのさなかに、NHK(記者)から大原さんに電話が入ってきた。明日、放映する記事内容の一部確認だった。
 日本ペンクラブ電子文藝館の作品が、氏名不詳のHPに無断掲載されている。「あした警視庁・中央警察署に告訴する。きょう記者発表してきた」と大原さんが教えてくれた。「NHKの7時のニュースで放映されるから、穂高さんも見てね」、といわれた。


 翌朝、それをすっかり忘れていた。午後、目黒カルチャースクールに「小説講座の書き方」の講師として出向いた。受講生からいきなり、「朝のNHKニュースで見ましたよ」といわれた。一瞬、なんの話だろう、と思った

 同ニュースでは、日本ペンクラブが著作権違反、商標権違反で告訴する、という内容が伝えられた。そのなかで、同電子文藝館のサイト「小説」が順送りで、映し出されていた。そして、最後のところで「穂高健一、潮流」が出ましたよ、と教えてくれた。

 最近の(新着)作品として、森鴎外「普請中」、穂高健一「潮流」、立松和平「山へ帰る」と掲載されている。そこでカメラが止まったから目立ったのだろう。
 NHK・ニュースを観ると約束した、大原さんには悪いことをしたな、と思った。それだけに、複数の新聞を見、同記事を丹念に読んでみた。

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