A030-登山家

一等三角点を訪ねて(Ⅰ) 関本誠一

三角点というと以前は単なる地図上の記号としか見ていなかったが、最近は登頂の証しとして山頂でタッチするようになってから親しみを持つようになってきた。
登山者にとって登山者にとって馴染み深く、とても大切なものであることから本コラムを書くことを思い立ったのでお付き合いください。

一等三角点 1.jpg
 三角点は等級毎に一等から四等(...五等三角点は沖縄県・ハテ島、神山島の2か所のみ)に区分され全国に設置されているのは知られております。では一番最初の基準となっている一等三角点からひも解いてゆきますが、その前に疑問が浮かびます。
 その一つが三角点のおおもと(原点)です。さて、それはどこにあると思いますか?そこで、今回は『原点』のお話し。

 まずそのうちの一つ、標高の基準(水準点)のおおもとが日本水準原点(Japanese datum of leveling)ですが、東京都千代田区にある国会前の庭園(憲政記念館敷地)内の日本水準原点標庫という建物の中にあります。
 東京湾の海水面を基準に作られており、1891年(明治24年)旧参謀本部陸地測量部(現・国土地理院)があった場所に設置されました。普段、水準原点は非公開でそのものは見ることができませんが、年に一度、測量の日(6月3日)近辺で一般公開されるそうです。
 
 次に経緯度の基準(三角点)のおおもとが日本経緯度原点(Japanese origin of longitude and latitude)ですが、水準原点設置の翌年、1892年(明治25年)に旧東京天文台(現・国立天文台)の子午環を日本経緯度原点として定めました。しかし1923年(大正12年)の関東大震災により子午環が崩壊したため、その跡地に金属標(写真中央部の黒点)を設置し、今日に至っているそうです。
 その場所とは東京都港区にあるロシア大使館の裏側の敷地で、そこに記されている原点数値(緯度・経度)は【3.11】東日本大震災による地殻変動に伴う修正も行われ、現用の施設であると同時に史跡として港区指定文化財にも指定されています。

 因みに、この原点から一番近い一等三角点(東京・大正:25.4m)ですが、隣接のアフガニスタン大使館(旧国交省分室)の敷地内にあります。残念なことに現在は立ち入ることはできないため塀の外から黄色三角標識(写真)を眺めるだけである。

一等三角点 3.jpg

 最近はGPS計測による電子基準点が全国に1300か所ほど設置されており測量技術も時代の流れとともに変わりつつあります。

 写真は東京・練馬区に設置してある電子基準点(高さ5m)です。
 
 次回は三角測量に関するお話しです。(続く)


   ハイキングサークル「すにいかあ俱楽部」会報№219から転載

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