A030-登山家

コロナ禍の城南五山めぐり 市田淳子                          

日時:2020年12月13日(日)
コース:花房山~ねむの木の庭公園~池田山公園~島津山~雉子神社~高輪南児童遊園八つ山~御殿山庭園

 この春、新型コロナウイルス感染症が流行してから近所の友だちと実行している活動の一つがウォーキングだ。
 家から出かけて戻るまでたいていの場合、交通機関を使わない。

 今までの最長記録は目黒の自宅から神代植物公園の往復だ。この日は、紅葉を楽しみながらゆっくり歩くことを目的とした。コースは城南五山めぐり。花房山・池田山・島津山・八つ山・御殿山を城南五山と呼ぶ。五山はそれぞれが近くにある。
 つまり、山あり谷ありの地形というわけだ。

 ところで、東京スリバチ学会という名前を聞いたことがあるだろうか。ブラタモリでもお馴染みだが、凸凹地形に着目した、東京の楽しみ方を教えてくれている。
 目黒駅周辺は急な坂が多く、坂を下ると例えば目黒川のような川やスリバチの底に行きつく。アップダウンの多い散歩コースで、絶好のスリバチ散歩だ。

 まず目黒駅前の花房山からスタート。今ではただの高台だが、目黒から花房山通りを下り五反田駅に至る。
 五反田に下りずに池田山の高台にある「ねむの木の庭公園」に向かう。ここは上皇后陛下のご実家・正田邸の跡地を整備し、2004年に開園した区立公園だ。公園の中央にはネムノキがあり、庭にはプリンセスミチコが上品に咲いていた。

 次は池田山公園。坂道の下から入っていき池の畔を歩き、山を登りながら紅葉を堪能した。上から池を望むと、地形がよくわかる。
 公園を出て国道1号を渡ると、島津山、清泉女子大学がある。中にある重要文化財「旧島津家本邸」を見学したかったが、現在は見学ができないようだ。その島津山の地域にある雉子神社をお参りした。

 慶長年間に徳川三代将軍家光公が、この地に鷹狩りに来られた時、1羽の白雉がこの社地に飛び入ったのを追って社前に詣でられ、珍しいこの地を「雉子宮」と称したとのことだ。

 島津山から坂道を下る途中、高輪南児童遊園に立ち寄り、高低差を利用した公園であることを感じた。そして、八つ山を通り最後の御殿山庭園へ。
 東京マリオットホテルの南側にあり、江戸時代は桜の名所だったそうだ。ここも高低差を生かした庭園で、モミジの紅葉が素晴らしい。
 山を下りていくと水の音がし、人工的な流水は池に注ぐ。四季折々の自然が楽しめる庭園だ。こうして城南五山散歩のゴール。遠くの山に行かなくても1日楽しむことができる。これもコロナのおかげと言ったら言い過ぎだろうか。


 ハイキングサークル「すにいかあ倶楽部」会報255から転載

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