A030-登山家

立ちはだかる月の輪熊を想像させられた、丹沢・檜岳 =岩淵美枝子

 檜岳(ひのきだっか)(1167m)
 平成26年12月10日(水) 曇り時々晴れ
 参加者:L関本、武部、佐治、岩渕(4名)
 コース:寄沢登山口8:30~雨山峠10:30~檜岳11:40(お昼~12:30)~下山口14:00~寄バス停14:45

 今日は、渋沢駅8:00集合だった。目覚まし時計は4:00にセットし、5:00に家出る。渋沢駅から登山口まではタクシー。途中、薄っすらと白く霜の降りた茶畑の中をいく。運転手さんが近道を通ってくれたのだ。有難うございます。

 出だし、幸先いいなぁ。料金も3250円と、リーダーの予想していた金額より安かったし。
 さあ、身支度を整え、登山計画書をポストに入れてから、樹林帯の中へ。看板が、この森の紹介をしてくれる。色鮮やかな木々の写真、鳥、花、観ると、ここは豊かな森のようだ。
「成長の森」と表示された看板だった。なるほど手入れの行き届いた森である。バックには企業の応援あるのだろうか、トヨペット、タカナシ乳業の他、保全林の看板があった。ほんと嬉しくなる。

 森が豊かであれば、水も綺麗なんだろうなぁ。いいな、西丹沢って。以前は何年か前に行った。丹沢の大山三峰では、赤土で石ころを抱いたスギ林があった。思いだすと、あのスギの木たちが可愛そうになった。

 ここのスギ林は葉も緑も黒々として、下草も豊かに生い茂っている。
「いいな!いいな!」
 こんな所を、今日は歩けることに、幸せを感じる。

 先月21日、熊本から帰り、飛行機の中から富士山がみえた。ふわーっと白い衣を纏った日本一の富士山を、スマホでパシャり。何枚も撮りながら、山に行きたいと思う。9月の剱で捻挫して以来、、この頃は山らしき山は行ってなく、帰ったら絶対行こうと思った。
 鍋割山、棒の嶺、そして今日の檜岳、雨山峠コースを行く。

 雨山峠までは4.2キロ、2時間ぐらいかな。川原に出た、ここから渡渉が始まる。水かさは、殆んど無く、渡りやすい。大きな石ころの上を、バランスよく飛んでいく。

 7から8回くらい渡渉があったが、面白い。両岸を見上げると、ブナの落葉樹が、すっかり葉を落とし、我々4人にむけて、ここまで上って、登ってこれるかなぁと、上から見守っている。

 あまりの静寂さに、さっきゲートのところにあった、大きな月の輪熊のイラストの看板を思い出した。目の前に、がオーッと立ちはだかる熊の顔を想像すると、背筋がぞぞぉーとする。皆には教えなかったが、あきらかに熊の糞が墜ちている。
 糞は時間経っており、黒く涸れていた。だが、あの糞は熊にまちがいない。野犬の糞だよ、と自分に言い聞かせたが、怖い……。鹿の糞、ウサギの糞みたいなのも墜ちていた。

 これだけ自然豊かな森だもの、何がいてもおかしくはない。山はひのき林だった。しかし、行った時期が良かった。風もなく、絶好の丹沢日和。やっぱり、冬は丹沢が面白い。

 恐怖のヒルはいないし、私の大嫌いな長く動く縄みたいなのもいないし、最高の富士山を真正面に見ながら、進んでいけた。
 下山は道を探すのに、すこし手こずった。もう一度さっきの古い標識まで戻り、仕切りなおし。4人で落ち着いて探すと道が出てきた。これだと確信した。ここからは、道なりに下山していく。
 豊かな森は、落ち葉の量が半端ではなく多い。足元がふかふかして、心地よい。登山客とは、二人だけ頂上であった以外は、誰とも会わないで、降りてきた。

 今14時で、予定より早かった。登ってきた山を振り返り、さぁーバス停まで、アスファルトの道を45分間も歩きつづけた。ちょうどタイミングよく、すぐにバスに乗って新松田駅まで。
 お疲れ様でした。

        記録・岩淵美枝子

ハイキング・サークル「すにいかあ倶楽部」会報№187から転載

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