A030-登山家

斜里岳はスリル満点で北海道随一の景観だ=関本誠一

 2014年、北海道山行、帯広でレンタカーを借りて『トムラウシ~雌阿寒岳~羅臼岳』をまわり、最終目的地・斜里岳の麓に到着した。

 阿寒と知床連山の中間にそびえる斜里岳は知名度低く目立たないが独立峰なので、近づくにつれ徐々に大きくなるその姿に一種の感動を覚える。


 登山ルートはいくつかあるが、最もポピュラーなのが清里町からの「清岳荘(せいがくそう)」ルート。当日は土曜日だったせいか、早朝5時で駐車場はすでに満車だった。


 登山道は林道のつきあたりから始まり、沢沿いに10ヶ所以上徒渉を繰り返すうちに、やがて新道と旧道の分岐である下二股に到着した。登りは沢(旧道)を、下りは尾根(新道)を通るよう推奨されており、ためらわず旧道を行く。

 沢沿いに進むと最初に水蓮の滝が現れる。さらに登って行くと溶岩流の上を流れるナメ滝状の羽衣の滝、そして万丈の滝と続くが、鎖などがあり助かる。
 雨が降ったあとなどは足元をさらわれないよう特に注意したい。

 この先、滝は流れの幅を小さくし、階段状の岩場となる。

 見晴らしの滝、七重の滝、霊華の滝、竜神の滝と続き、やがて傾斜が緩くなり流れがみえなくなると新道と旧道が合流する上二股だ。
 沢沿いに進む旧道は次から次へと現れる滝を楽しんでいくと、自然に高度を稼いでくれて疲れを感じさせないが、ところどころ滑りやすくとても危険だ。

 一応危険個所には鎖やロープが設置されており心配ないが、赤ペンキやピンクのリボン・テープ目印をよく確認しながら、ルートを外さずに進むことだ、と自分に言い聞かす。


 上二股を過ぎると、ダケカンバなどの低木のトンネルとなり、降雨時や融雪期に土砂や岩が流れる道だ。
 やがて胸突八丁の標識が見えると、視界が開けるとともに傾斜が増し、馬の背直下のガレ場の登りを落石に注意しながら、慎重に登る。
 南斜里岳への分岐となる馬の背は、見晴らしの良い休憩ポイントだ。

 山頂は左手の急な尾根を行き、岩礫の登りから斜里岳神社を過ぎ、そこから右側が深く切れ落ちた細い稜線を進み、岩と砂の礫地帯を一気に登ると、お花畑がある広い頂に出る。
 展望にいたっては知床の山並みから阿寒の山々までもが望め(晴れていれば国後島も!)
 オホーツク沿岸景観は、道内一と言っていいほど壮大な眺だ。


 下山は往路を戻る。上二股からは尾根道の新道を経由、ハイマツ帯の中を緩やかにアップダウン繰り返しながら熊見峠に出る。

 斜里岳や下界の景観を楽しんだ後、疲れた足にはこたえるが、ジグザグ道の急斜面を下り切ると旧道(下二股)に合流する。徒渉を繰り返し駐車場(清岳荘)まで戻る。

 網走でレンタカー返却、道東5日間・600Kmに北海道の広さを改めて感じた。翌朝、急遽予定変更して倶知安(後方羊蹄山)に向かう電車のなか…(北海道山行は続く)(旧道・ナメ滝側道を行く)


                        関本誠一・記

『関連情報』

 山行 : 斜里岳(1545m・個人山行)
                           
 日時:2014年7月中旬  晴れ時々曇り

 コース:清岳荘~下二股~(往路:旧道・復路:新道)~上二股~斜里岳 (歩行時間:5時間30分)

 ハイキング・サークル「すにいかあ倶楽部」会報№183から転載。

「登山家」トップへ戻る