A030-登山家

梅雨入りしたけど、雨は降らず、御岳山・登山=奥多摩

御岳山だ、奥多摩だなんて、甘い考えはダメだぞ。

今年の夏登山は、北アルプス「白馬」だから、低山でも猛特訓で行くぞ。

「なんだ、いきなりケーブルカーか。この中のだれだ、登山計画を立てたのは」


ケーブルカーで山頂駅に着けば、直ぐ寄り道だ。

メダカの水槽をのぞき込んでも、登山知識の足しにはならないだろう。

「何だって、童心に帰ってだと」



この家は茅葺の年代物だな。

誰か、住んでみたいものはいないか。

まだ遁世の心境にならない。そうだろうな。


山菜料理に、川魚料理だ。

食べたいだって、まだ御岳山の山頂にすら、着いていないんだぞ。

 歩け、歩け。

天然記念物の楠だぞ。巨木だぞ。巨樹だぞ。

誰も感心なしか。

後から来る中高年のパーティーに追い抜かれそうだ、と。

ならば、立ち止まって樹を見ることはない。

「どうせ、機を見て、敏捷に動く、お前らじゃないしな」


神社の手水は、飲み水じゃないんだ。口を清めるんだ。

もう飲んでしまっただ、と。仕方ない。

なんだ、次はうがいか。

まあ、心身を清めたところで、性格が変わるわけじゃないしな。



この花は何の花だ?

「インストラクターは知っているんですか」

わからないから、訊いているんじゃないか

「先に行きましょう、こんなところでモタモタしないで」

俺の言うセリフだ


神社に来た時ぐらい、お賽銭はあげよう

「だって、ご利益がないんだから」

なんのご利益を期待しているんだ?

「山ガールです。ここまで1人もいないし。この先、さい銭をあげて現れるんなら、出しますよ」

「梅雨入りしたから、期待ゼロだ」

「でしょ」


神社の壁画の『龍』を真似ているのか。


天狗岩に登った。まあ、山らしい、山登りだ。

得意げな顔しているけど、落ちるなよ。

山岳保険はかけていないし。

ヘリを使えば、大損だからな。

おい、荷物を背負っていないで、そんなへっぴり腰で、どうする。

北アルプスが思いやられるな。

美しい滝の前で、撮影休みだ、と。

なにかと休憩が多いな。

「滝を見て心にとどめ、感動は写真で」

感動が多すぎるんだ。



また、次の滝で休憩か。

腰を落として、地図で、ルートを確認だって。

歩きながらでも、見れるだろう。

「けつまずいて、倒れて骨折すれば、背負ってくれますか」

じゃあ、じっくり見て行け。


大岳山の山頂で、昼食だ。

ただ食べるだけの者、料理を作る者。


性格が出るな。


鍋料理か。それとも、しゃぶしゃぶか。

「ラーメンです」

そうだろうな、登るまえから、そんな予感がしていた。



ヒノキ林だ。


整列して、しっかり歩くんだぞ。迷子にならないように。

「新緑の奥多摩はぜいたくだな」

景色の感動ばかりだな。

きびしい鋸山の尾根を外したから、今回は楽な登山だったな。

「早く下山して、もえぎ野の湯に早く入りたいな。そして、ビールを飲みたいな」

走って降りても良いぞ。

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