A030-登山家

高橋千劔破(ちはや)さんの「名山シリーズ」三部作の完結を祝う会

 表題の出版記念会が7月17日の夕刻から、東京・千代田区の如水会館で盛大に行われた。発起人は阿刀田高、浅田次郎、新井満、加賀彦、黒井千次など各氏、あわせて12人。世話人は版元の河出書房である。

 
 高橋千劔破(ちはや)さんは日本ペンクラブの常務理事である。かつて歴史物の出版社の名編集長で、歴史物の著作に関しては第一人者だ。と同時に、著作には、『歴史を動かした女たち』『赤穂浪士』『江戸の旅人』『忠臣蔵銘々伝』など多数ある。

 立教大学時代には山岳部に所属し、登山のエピソードは多い。高校時代も修学旅行をすっぽぬかして、奥多摩・川苔山に登った、と私に教えてくれたことがあった。まさに学生時代から山男だ。


 今回の作品は、「北海道から九州まで、名山の歴史と文化と民族を掘り起こした、名山シリーズである。三部作で、百名山が完結した。それを祝う会である。


  (写真・右:高橋千劔破さん。09年6月の日本ペンクラブ・年次総会で)


 当日、私は東京写真美術館のプレスギャラリーツアー「旅・第2部 異郷へ」と重なり、そちらを回ってきたために、パーティーには1時間ほど遅れた。高橋さんのスピーチは聞けず、残念だった。

 同パーティーは300人ほどの参加者だろう、会場は透き間がないほど盛況だった。と同時に、高橋さんは大勢の人たち挨拶などの対応で忙しい。私とはわずか握手しながら、「次の著作の構想は持っているよ」という一言、二言にとどまった。

 高橋さんは私の日本ペンクラブ入会の推薦者(伊藤桂一さんと2名)であり、広報委員会の委員長(6月度まで)として、2年間は一緒させてもらった。活動はともにするので、いつかゆっくり著作について聞く機会があるだろう。

 同パーティーで、日本山岳会のメンバー・上村信太郎さんに会えた。彼は若いころ海外の処女峰の初登頂をいくつも成し遂げている。現在は「すにいか倶楽部」の主幹で、中高年の登山・ハイキングの指導を行う。
 近況のやり取りはあるが、久しぶりの再会だった。彼はここ数年、病気で、登山ができず、酒も飲めなかったという。他方で、山岳雑誌「岳人」などの執筆活動に傾注していたようだ。
「秋には、二人で、山に登りましょう」と約束ができた。
 
 同パーティーには、望月苑巳さん(映画評論家)も参列されていた。私に「剱岳」の映画を勧めてくれた人だ。
「試写会に行きましたよ」と感想を述べた。雪稜の急斜面に、古風な登山道具で登る。俳優はさぞかし大変だったと思う。だが、映画の上で、足元は隠しているので、登山靴にアイゼンを装着し、登っていたと思う、そんな推量も語った。

 高橋さんの「名山シリーズ」のパーティーにおいて、私は少なからず刺激を受けた。私自身はひさしく山岳小説に遠ざかっている。なにかしら山関係の執筆をしたいという気持ちに駆り立てられた。

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