A030-登山家

豪雨の合間の、大菩薩・登山

 長野県はこのところの豪雨から、土石流が発生し、数多くの死傷者を出している。前日の7月19日のJR中央線は小淵沢駅から松本駅の間は不通だった。目ざす山梨県・大菩薩はその手前にある2000メートル級の山だった。
 家族の心配を押し切って20日、ITコンサルタントの友人(33)とふたりして大菩薩に登った。

 前日の19日の午前中まで、東京は激しい雨だった。「どうするかな? 登山歴の浅い友人に万が一のことがあってはまずいし……、取りやめるべきかな。高山植物はぜひ見せてあげたい」と心には迷いがあった。
 天気予想は19日夕方に雨がやみ、20日午後まで曇天だった。その後も雨だった。わずか半日の豪雨の切れ間を狙い、山行を決定した。内心は『気象庁の予報は外れ、例年並に20日から梅雨明けになるのではないか』という期待があった。

 塩山駅からタクシーに乗った、上日川峠までたのむと「えっ、道路は開通しているのかな?」と運転手が首をひねった。無線で本社を経由し、陸運局に道路事情を聞いてくれた。昨日までは通行止めだったが、今朝から開通したという。

 蛇行をくり返す山道だった。約5000円の料金。下車すると、大菩薩峠(1897m)に向かって登りはじめた。
 高山植物は一本も咲いていなかった。大菩薩嶺(2056m)、丸川峠まで同様な景色で、一面が熊笹だった。大菩薩といえば、色彩豊かに咲く高山植物の宝庫だけに、愕然とした。大菩薩の魅力を失ってしまった。
 丸川山荘の小屋番から、事情を聞けた。それをPJニュースに書いた。『地球はなにか変だぞ? 高山植物が全滅した』

 9月2日には、丸川荘で『山小屋の演奏会』が開かれる。同行する友人は中学生時代から吹奏楽で活動し、トランペットを吹く。いまもジャズ活動をする。かれに飛び入りを進めたのは、小屋番だった。それが実現すれば、取材で登りたい。

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