A010-ジャーナリスト

【歴史から学べ】  広島の県議、市議、市長が毒されたのはなぜなのか。(中)

 6月はくちなしの甘い香りがただよう。政治の甘い香りはお金であろうか。政治とは庶民、民の豊かな生活と安全を与えるもの。
 しかし、政治家になれば、とかく民に奉仕を忘れて、甘い香りに群がるものだ。
 国政から町政まで、真面目な政治家もいる。
 それだけに、『政治家』と一括りにされると、不愉快だろう。それを承知のうえで、広島県の破廉恥(はれんち)な体質を糾弾せざるを得ない。同県人として、恥部の構図をさらけ出す。


 虚偽(きょぎ)の言い訳をした政治家は、おおむね虚偽を重ねるものである。広島の県議、市議、一部の市長は記者会見で、開き直って、「潔さ(いさぎよさ)」を演じている。

 安芸高田市の児玉浩市長(57)は、丸刈りで演出し、記者会見していた。河井代議士から60万円を受け取っていますと明かす。
「かっこつけるなよ」
 多くの日本の人は、不愉快におもったことだろう。

          *

 政治家は庶民の声を聞くのがしごとである。
 政治家の栄養分は歴史にある。『歴史の声を聞け』。どんな事象も掘り下げるほど、政治エキスがある。広島の多くのひとは、毛利元就の崇拝者だ。
「仲謀多くして勝つ。戦国時代の3悪(謀将・ぼうしょう)はだれでしょうか。見方によれば、諸説あるでしょう。安芸国の毛利元就(もとなり)、備前国の宇喜多 直家(うきた なおいえ)、美濃の斎藤道三です」
 わたしが広島の歴史勉強会、講演会で、そう語ると、不愉快な顔をされる。

           *

 安芸高田市には、毛利家の先祖伝来の郡山城(こおりやまじょう)がある。毛利家が江戸時代に「郡山をそっくり買い取った」経緯から、広島浅野家は「毛利家以外の立入禁止」として保護地にしてきた。
 現代も、たぶん毛利家の土地(大半が墓地)だろう。

 毛利家はかつて安芸吉田荘の国人領主だった。

 毛利元就は家督を継いだ時点では、小規模な安芸高田の国人領主に過ぎなかった。一代で、元就は山陽・山陰の10か国を領有する、巨大な大名の雄にまで成長させた。
 戦国時代に勢力争いの戦争に勝つだけでなく、これでもか、これでもか、と非現実的な策謀・策略をおこなってきた。
 政略結婚、毒殺、身内を裏切った殺戮なくして、元就が一代で総石高112万石はとうてい達成できないものだった。

「三つの矢がまとまれば折れない」
 広島人はその元就の故事を崇拝する。

 この故事は、同族の結束を強めるもの、同族会社は三代目で危ないように、3代目の 毛利輝元(てるもと)は安芸高田に生まれ、関ヶ原の戦いで西の総大将にもちあげられて、敗北した。
 德川家康から「毛利氏は改易し、領地は全て没収する」とした。石高がゼロとなった。(現代流にいえば、毛利家の倒産である)

 岩国の吉川 広家(きっかわ ひろいえ)が、110万石の毛利家が改易とは気の毒だと言い、「周防・長門2ヶ国は輝元に与えるように」と嘆願した。29万8千石で安堵されて、広島から萩に移封された。
 その吉川に対して、毛利家は冷たく、明治になるまで、大名として認めていない。冷徹な冷たい仕打ちである。

           * 

「広島人の多くは、あたまから毛利元就を広島の英雄だと信じ込んでいる。歴史上の正義・勝者だと見なしている」
 そこから学び取る政治哲学とはなにか。政治権力の座、英雄の賛美である。

 広島は核兵器反対・平和と叫びながら、その実、戦争史観で毛利元就を賛美する。自己矛盾の世界である。

政治は民のためにおこなうものである。私欲・私益のためではない

 明治時代からは長州閥を中心とした政治である。長州とは毛利そのものである。毛利元就からの歴史だといっても過言でない。

 発祥の地、安芸吉田市長の丸坊主の懺悔(ざんげ)は陳腐(ざんげ)で、あしたから『庶民にために政治に尽くします』というものではない。
 それは単に自己防衛の演出にすぎない。金で、選挙民のみならず、国民を裏切った悪質な人物である。毛利元就の大胆さよりも、金額が少ないと思っているかもしれない。
 
 長州閥の政治家が明治時代の初期から現代まで、政治におおきく関わってきている。それだけに、郡山城下の安芸高田市の市長は、なおさらきちんと襟(えり)を正すべきである。
 僧侶になって寺院で記者会見を演出した方が、まだ信ぴょう性があると思える。。

                      『つづく』

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