A010-ジャーナリスト

四季を失う日本、異常気象は私たちが作っている

 この日本列島はなにか変だ。このところの異常な災害から、多くの人が本能的に感じているだろう。「人間はいつまでも、この地球に住み続けられない生物でないか」という危惧がある。いたずらに恐怖心をあおることは、よくないとは思うが、誰もが潜在意識として、心の奥底にあるかと思う。

 日本列島にすむ純粋な日本人は、まちがいなく減っている。一方で、世界規模では人間はやみくもに増えている。現在の77億人から2050年の97億人へ、と。この矛盾は何か。

 私は近所の一級河川「中川」を歩きながら、なぜ、こうも河岸の大樹が切られていくのか、と嘆くことが多い。『枯れ葉が住居の敷地内に飛んでくる』と、住民・個人が役所に苦情をむける。それに対して、「異議申し立てがない場合は、期限を定めて伐ります」、と伐採予告の張り紙がだされる。一本、また一本と伐られていく。

「枯れ葉くらいだ、すこし我慢できないのかな」
 住民エゴだとわかっていても、役所はうるさい苦情から逃げたくて伐ってしまう。樹木は空気をきれいにする炭酸同化作用で、とても重要な存在だ。苦情を言う人間も、伐ってしまう役所も、その認識が欠如しているからだろう。

 わが国の高学歴化は、偉そうぶって、物申す人間(クレーマー)を多く作りだした。「和」の精神は激減し、「おたがいさま」という言葉すら死語に近くなった。
 一人っ子が泣いて帰れば、学校に校長を出せ、と親は怒鳴りこむ。スーパーでは、人間のやることに手落ちがあるのに、髪の毛一つにも、鬼の首をとったように激怒する。賞味期間は腐る日ではないのに、1日過ぎたといい、人体被害のごとく、メチャメチャ文句をいう。
 
 落ち葉はたしかに迷惑だろう。けれど、苦情を言うあなたは、自分が生きていることが、どれだけ炭酸ガスを放出していることか、と考えたことがある、と問いたい。

 24時間にわたる吐く息そのものが、炭酸ガスを出している。日常のガスコンロの炎、電気器具や照明でつかうエネルギー、乗り回す自動車の排気、冷暖房の排出エネルギーは、みな地球を汚しているのだ。
 それら炭酸ガスを綺麗にしてくれるのが、樹木だ。落ち葉には文句をいうが、自分が汚す空気には無頓着で、批判をむけない。認識の欠如、他人事かもしれない。

 東京23区には、「ゲリラ豪雨」の発生が増している。23区内の人間が出す炭酸ガス、それにたいする樹木の数が不足しているのが主要な原因の一つだろう。大都会の東京の炭酸ガスが、中部日本の山岳地帯の樹林で、浄化できず、間に合わず、「ゲリラ豪雨」の発生となっている。
 それなのに、大樹は伐って切りまくれば、大気はいっそう異常な現象になる。

               *

 アマゾンの森林が大量に伐採されている。ブラジル人に物申す、という類のものではない。森林は激減し、地球の人口は増えている。この矛盾は何をもたらすのだろうか。地球は砂漠化し、高温・高熱の地表となり、民族の分布図がごく自然に変わってくるだろう。


 太平洋の海水温が2度高くなり、巨大な台風が発生する。ことし(2019年)は台風15号、19号という超大型の台風が関東地方を襲った。江戸川、葛飾区では風速47メートルだった。千葉では家屋の屋根が壊れた。
 私のすまいの近くでも、中高層マンション13階の最上階でガラス窓が割れて、破片が路上に散乱していた。

 海水温が4度も高くなれば、発生した台風の最大瞬間風速が70-80メートルになるだろう。(一度上がるたびに、エネルギーは10の14乗ふえるという)。一級建築士に聞けば、こうした風圧に耐えるには、いまの窓ガラスの厚さを3倍にしないと割れるだろう、という。

 中高層マンションの割れたガラスから、烈風が部屋を通り抜け、家族がさらわれて空中に投げ出される。こんな光景は数年後には現実になるかもしれない。

 2010年を境にして、日本列島から日本人の数が減少している。核家族化、さらに晩期結婚、結婚率の低下、少子化などが加速化している。さまざまな理由が挙げられている。所得、保育所、住居、それは一見して正しくもあり、違っているかもしれない。
 150年前、江戸時代は長屋で一間で10人が暮らしていた。100年前、農業地は大家族制で、祖父母からひ孫までが一軒屋で暮らしていた。そう考えると、科学や理屈で解き明かせない、なにか特殊な要因が潜在していると思う。

 人間は環境に順応して生きている。気候の変化が大きく左右する。

 日本人は春夏秋冬の列島になじむ民族である。地球温暖化から、日本は亜熱帯化している。4シーズ(春夏秋冬)が薄らぐことで、日本民族は、亜熱帯に適合性がなくなったのかもしれない。

 私は小学生のころ、米作といえば九州・四国・近畿が中心だった。少なくとも、北海道は寒冷地で、米作に不向きだと学んできた。やがて、東北・仙台産のササニシキが一世を風靡(ふうび)し、現代では北海道産のお米が美味しいとされている。

 サンゴ礁が沖縄から日本列島の九州へと北上している。動植物が温暖化で、北上している。亜熱帯化してきている。季節外れの花が咲く。シカやイノシシが異常繁殖し、膨大な数になり、農作物を食い荒らす。
 
 亜熱帯性の気象・季節に、日本人が順応できず、科学では解明できないが、ごく自然に人口減、少子化になってきている。それは動物特有の本能かもしれない。
 国境という概念を無視すれば、いまでは北上した、アリューシャン列島あたりの環境に順応できる民族かもしれない。
 
 かたや日本列島にはフィリッピン、タイ、ベトナム、インドネシアなど亜熱帯の人たちが、北上してきている。かれらは日本の亜熱帯現象が進むほどに、順応しやすい民族かもしれない。

 実証的にみれば、東京・23区が真っ先に亜熱帯化している。土、日曜日の23区の街なか、山手線などの電車はアジア系のひとが目立つ。さらに、外食レストラン、コンビニ、サービス業で働くのは大半がアジア・アフリカの若者たちだ。

 日本は有史以前、大陸からきた民族が和人と同化し、日本人が生まれた。やがて約二千年前から近年においてアイヌ民族、琉球民族と同化しながら、いまの日本人民族となった。
 しかし、2010年をピークとなり、確実に純日本人の人口が減少している。

 20~30歳代の若き年代層は、他民族の青年、新たな混血民族が多くなるだろう。
  
 スポーツ界では、もはや混血日本民族がめざましく活躍をはじめている。今後、政治・経済・文化でも、活躍する混血日本人の人材が増えてくるだろう。
 
 アジア・アフリカ民族の若者が、肉体的労働から必然的に知的産業に移っていくだろう。かれらが日本国の労働を支える存在になる。かれらに自治権(選挙権)はどう与えるのか。

 外国からやってきた労働者が、日本の高年齢者の年金を支える、という比率が高くなるだろう。それら外国人、混血日本人たちがやがて受給者年齢になれば、どのように支払うのか。かれらが外国に帰っても、年金を払う必要がある。
 それは法の下の公平であり、頬かぶりとはいかないだろう。

 こうした問題にも、真摯に向き合う必要がある。

 日本は多国籍国家になっている。この国で外国人とともに生きる。それには「住民エゴ」、「クレーマー」、個人情報に名を借りた「秘密主義」、「民族主義」などは取り除いた、むかしからの「和」の日本社会を取り戻す必要がある。
 
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 中川の川べりで、死んだ大きな鯉をみた。物言えぬ鯉は死に逝く。川の水は腐ってきている。樹木、森林、川は一対である。

 四季のメリハリがある日本を失わず、災害の巨大化を防ぐにはどうするべきか。私は自分に結論を求めてみた。

 環境の健全化は大樹を伐っても、芝生やサツキを植えれば、緑化率は同じだという。それは緑化率であって、炭酸同化率ではない。それは貧弱な考え方だ。
 
 樹木は人間のいのちの共有財産である。それがたとえ私有地、公共の土地でも、人間の命にかかわる重要な存在だ。樹木を育てるには、数10年かかるのだから。
 日本国領土は国民のものだ(憲法)。古(いにしえ)から続いた私有財産だからといい、好き勝手に土地をつかう、樹木は伐採する。そうした利己的、私有財産制が通用しない時代になってきている。

 私たちは自分が排出する炭酸ガスに見合った、樹木を植えて育てて守る。東京ならば、一千万都民が、一千万本の樹を。都民税を使っても、ひとり「一本の樹木」の配布から始まる。
 
 親子四人家族ならば、四本の樹を植える。私有財産制の法から外れるだろうが、日本国領土の意識から、樹木を育てる土地提供も必要不可欠だろう。
 そこまで地球は深刻化してきている、と思う。

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