A010-ジャーナリスト

2人の大正演歌・歌手に出会う=岡大介、神川仁

 かつしか区民大学の『区民記者養成講座』は、記事の書き方、報道写真の撮り方、取材の仕方を3本柱としている。2014年度の同講座の5回目で、課外活動「取材の仕方」だった。9月7日、東京理科大学葛飾キャンパス(同区・金町駅より徒歩8分)で開催されていた『第30葛飾区産業フェア』に出むいた。活動時間は10時~16:30まで。

 
 東京理科大学での同フェアは初めての試みである。
 テント村で、受講生がまず取り囲んだのが、「ノンキ節」を歌うカンカラ三線の大正演歌歌手の岡大介さん(36)で、「船頭小唄」など歌っていた。三線じたいがとてもユニークで、受講生の目を惹いたらしい。


 受講生のインタビューがはじまる。
「カンカラとはなんですか?」、
「業務用の豚肉を詰めた缶詰の、空き缶です。手作りで作りました」
 岡さんは三線のボディーを指して説明する。

 受講生が経歴を聞く。岡さんはかつて流しギター歌手(ストーリー・ライブ)だった。新宿とか、葛飾では亀有の飲食街を流していたと話す。
「オッペケペー節」で一世を風靡(ふうび)した川上音二郎(かわかみ おとじろう)の大正演歌に魅させられ、26歳で、この道に進んだ。


 ギターで大正演歌は歌えない。いろいろな楽器でチャレンジしてみた。カンカラ三線にたどり着いた経緯について、
「沖縄の小学校で、児童が手作りで、このカンカラ三線を作っているのを見たのです。これだと思いました」
 弦はパラシュートの糸を使った。岡さんは沖縄の素朴な楽器を、プロの音楽界に持ち込んだ。それが人気となった。

 この独創性の楽器と美声が買われて、
「現在では浅草木馬亭をはじめとする、都内の演芸場、イベント出演など、年間350を越えています」
 と岡さんは語る。つまり、毎日、どこかで大正演歌で、観客を魅了している。

「大正時代の古き、良き曲を今に伝えたい」
 岡さんは活動への熱意を語った。

 
【関連情報】

HP:岡大介のお酒のめのめブログ
 

 第11回シニア演芸団『演多亭』(えんたーてい)が、9月10日午後1:30~、文京区シビックホールで開催された。第1部は前半は寄席、第2部はバラエティだった。主催はNPO法人シニア大樂で、後援は文京区。入場者は311人だった。

 第2部で、大正時代の大学生スタイルで登場してきたのが、「ヴァイオリン演歌」の神川仁(かみかわひとし)さん(57)である。
 神川さんは元高校・国語教師である。教師を辞めてから、17年間はこの道に入っている。
 
 舞台ではバイオリンを弾き、大正時代の数々の名歌を披露する。ユニークだったのは、替え歌の『スカイツリーの唄』だった。
 さらには女性の超高音で歌う「宵待ち草」で、会場が驚きでどよめいた。男性がこうも高音が出るのか、実に不思議な気がした。施設、イベントの演奏では女学生スタイルで出演するという。
 観てみたかったと思う。きっと似合っただろう。

 舞台後、神川さんには、私がかつて親しくしてもらった大正演歌の福岡詩二さんの消息を訊いてみた。
「元気ですよ、現在も活躍されています」
 と教えてくれた。妙に、懐かしくうれしかった。
 
 大正演歌が今週、2カ所で聴けた。そこになにかしら偶然を感じた。


【関連情報】

 著作「トンデモ採点漢字テスト」(講談社出版サービスセンター・2009年)

HP:漢字教育・バイオリン演歌

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