A010-ジャーナリスト

大東京の空を飛翔する、鷹の訓練士が語る=葛飾

 中川の護岸をジョギングちゅうに、手にとまらせた鷹に骨付きの餌を与えている男性がいた。
 大自然とはほど遠い葛飾である。自然界の猛禽類などが棲める環境ではないと思っていただけに、めずらしいなと横目で見、振り返りながら、10メートルほど行き過ぎた。そして、私は戻ってきた。

「鷹匠ですか」と問うと、「それを職業としていないので、鷹の訓練士です」と答えられた。

 東京・葛飾区にすむ中里貴久さん(45)である。大都会では、鷹を飼いならすのは大変そうだ。話を聞いて撮影もさせてもらった。

 いまは何の訓練をされているのですか。「この子(鷹)を連れまわし、人慣らしの訓練中です」。 鷹がこの大都会の空に慣れる、人間に慣れる、その訓練だとわかりやすく補足してくれた。

 私が話しかける。それだけでも、鷹は人間に慣れていく訓練になるという。

 ふだんの練習場所は平和橋の下流だが、きょうは中川の上流に来てみたという。左岸は犬がノーリール(紐を結ばない)が多くて、練習場所には不向きだと判断し、いましがた右岸にきたと話す。

 ジョギングの時にも思うが、紐をつけていない犬が多くて、実に迷惑だ。マナーがないというよりも、都条例違反だ。走っているとき、吠えられてとっさには止まれず、からだを傾けて横跳びしたこともある。危うく捻挫寸前の経験もある。

 そんな人は犬を飼ってもらいたくない、と思いながら話を聞いていた。

 鷹の餌は、飛翔の消費エネルギーに応じて、鳩の胸肉、鶉(うずら)の肉と、与える内容を分けているという。

 2009年生まれの3歳の鷹だと聞いて、子どもですか、と質問すると、「鷹は1年で大人になるんです」と羽根をなでながら説明してくれた。

 中里さんの家では、鷹が二羽、白フクロウを一羽飼っている。もう一羽の鷹は2005年生まれの5歳だという。

 逆光なので、ラッシュを焚いてみたが、鷹はまったく動じなかった。それには驚かされた。

 狩りの解禁日は11/15-2/15の間である。この前後を挟んで、鷹の訓練は年間で約6か月ほどである。夏場は羽根が抜け変る季節だから、練習には適していないと説明してくれた。

 5月半ば、かつしかPPクラブ(メンバー15人)の課外活動がある。中里さんにはその時の取材をお願いした。快諾してくれた。同メンバーから角度を変えた質問が出て、内容に厚みをつけてくれることだろう。
 

「ジャーナリスト」トップへ戻る