A010-ジャーナリスト

小さな一歩が世界を変える=TBS・秋沢淳子さん

 TBSアナウンサー・秋沢淳子さんは報道、情報番組を中心に活躍している。他方で、個人的なボランティア活動を行なう、異色の人材である。
 彼女は埼玉県・飯能市の出身で、高校時代にはAFS交換留学生(すべてボランティアで成り立つ)として、ニュージーランに一年間留学し、そこでボランティア精神を磨いた。
 入局後において、「国際交流団体SPUTNIK JAPAV」を立ち上げ、主にスリランカとガーナに教育支援を推し進めている。

 7月12日、HRM協会「心の経営」実践フォーラムで、秋沢淳子さんは講演した。タイトルは「誰にでもできる~小さな一歩が世界をかえる」で、場所は東京・千代田区のアタックスグループ東京事務所5階セミナールーム。参加者は47人だった。

 なぜスリランカか。
 AFS留学の同期で、スリランカ出身のエシャンタさんが母国の大学を卒業後、日本の大学に留学していた。スリランカは内戦(昨年、やっと停戦)で、多くの子どもたちは教育の機会を奪われていた。現地の学校には図書館がない、本がない。

 日本のほうは少子化の影響で小学校が次々に廃校になっている。エシャンタさんはそれら学校から図書を集め、身銭を切って母国・スリランカに送っている。秋沢さんはそれに共鳴し、ボランティア活動に取り組んだという。

「日本のODA(国際協力 政府開発援助)は、気前よく1億円をぽんと出して学校を作ります。しかし、運営費は出ないのです。箱物(建物)だけを作って、教師や教材がなければ、意味を成しません。だから、日本の援助は感謝されないのです」と明かす。


 ボランティア活動は千差万別で、時に疑わしいものもあるようだ。
 某TVで、アフリカの難民を救うキャンペーンを華々しく展開した。募金は現地に一円も送られていない。その活動団体の人件費や他の経費に全部使われてしまった、という事例を明かす。
「主催者はキャンペーンが目的であり、援助募金の活動ではない、という答弁です。がっかりしました」と彼女は語った。

 同会場には、その活動に寄付した人もいた。
「アフリカに届いていないのか」と、ため息とか、落胆とかが聞かれた。
 TVを利用した、見せかけの善意で、その実、金儲けに利用されていたようだ。視聴者とすれば、TVがバックアップだから、アフリカに届いている、と信じこむ。TVだから大丈夫だ、と鵜呑みにしない姿勢も大切だ。

 秋沢さんは活動の一つとして、スリランカには孤児院を設立した。子供たちが書いた絵「南の島のブルワン」(1000円)を日本で発行し、その収益も現地に送っている。ブルワンとは、やればできる、という意味である。法大生、早大生などの協力を得て、日本文化の習字なども教えたりしているという。

「小さな一歩を積み重ねる。一歩ずつ理解者を増やしていく。最終目標は世界平和です」と彼女は信条を語った。

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