A010-ジャーナリスト

インタビューから、人生を学ぶ

 日本ペンクラブ『ペンの人』、PJニュース『よこ顔』などで、シリーズものとしてインタビュー記事を書いている。ほとんどが人生経験の豊かな人たち。それだけに、単なるインタビュアで終らず、相手の話から生き方、考え方など学ぶ点が多い。

 PJニュース『よこ顔』の場合は、地位や名誉など関係なく、ちょっとした縁、ユニークな人だな、と思うと取材を申し込んでいる。大学関係者、歌手、元タカラジェンヌ、路上ライブ、ボランティア活動、シニアの講師、下町の職人など幅広く求めてきた。


 斉藤善久(ぜんきゅう)さんは元電通マンで、獨協大学で教鞭(きょうべん)を取っている。同大学では人気講師だ。
 2年ほどまえ、シニア大樂の講師・ノコギリキング下田さんから、「ユニークな方がいますよ」と紹介された。二人は早稲田大学の後輩・先輩の関係だった。 さっそく善久さんにインタビューし、教壇での指導方法に感銘した。タイトル『こんなユニークな教え方の講師がほしい! うちの大学にも』で、PJニュースに取り上げさせてもらった。

 善久さんはことし1月、NHKラジオ深夜便に出演し、タイトル『カタイ頭をやわらかく』で語った。好評で、3月には再放送があった。そこで、PJニュース『よこ顔』としてインタビューをお願いした。
 北千住で会って取材中に、双方の合意から、学生向けの記事に切り替えた、という経緯がある。

(写真提供:斉藤善久さん)

 日常生活のなかで、「柔らかい頭」、「硬い頭」はよく使う。その定義となると、曖昧だ。「やわらかい頭とは、アイデアが簡単に出せる人です」と善久さんから説明を受けた。なるほどな、と思った。「話題が豊富な人」、それも頭脳の柔らかさに結びつく、と思いながら聞き入った。

 硬い頭とはその逆。旧来のやり方だの、従前の方式だの、ルールだの、規則だの、それらに拘泥した、融通が利かない人だろう、と私は思う。

 中高年齢層は加齢とともに、おなじ話が多くなり、頑固になりやすい。「柔らかい頭」を意識して、「同じ人におなじ話題は避ける」とか、話題づくりの努力は欠かせない、と自戒をこめて、そんな思いをもった。


 PJニュースの【よこ顔】シリーズで、「理系出身者の公認会計士、異色のプロ歌手」として、にし孝二さんを取り上げた。にしさんは50歳初で、その生きかたには感銘させられた。

 かつて「人生は50歳、いまは80歳」。にしさんは60歳を公認会計士の定年と決めている。その先にもう一仕事できる20年間がある。そこのエイジゾーンでは、プロ歌手に専念する、という。
「60歳までに人前で歌える、プロになっておく」
 そう決めたにしさんは、多忙な身だが、毎週欠かさずにレッスンに通う。6年にしてプロ歌手になった。公認会計士の受験勉強もそうだが、目標に対する執念というか、執着心というか、凄まじいものがあった。

 多忙のなかで、いかに時間を作るか。そのノウハウは参考になる。

①時間の隙間を有効に使う。24時間が30時間に化ける。移動時間はうまく活用する。むかしは本を読んでいた。いまはメールや電話の対応。アポの処理など、ちょこっとで片付くものをおこなう。移動中に寝ていることはほとんどない。

②考えても結論が出ないこと、わからないことは考えをやめる。無駄な考えは打ち切る。他のこと、次のことをやる。

③仕事はテーマの切り替えが大切。一つのことにこだわると、24時間が10時間になってしまう。

④お金で、自分の時間を買う。スタッフの活用、外注の利用など。

 インタビュアとして常々、学ぶ点が多い。未知の人に対するインタビューは、個人的にも話題づくりの素材の入手になる。今後とも、根気よく続けて行きたい。

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