A065-東京下町の情緒100景

東京下町の情緒100景(レスキュー 011)

 江戸時代から昭和の半ばまでは、本田、川端、原、という地名が存在していた。田んぼの蛙、ドジョウ、メダカを覗いたあぜ道の田園風景が画のように地名から連想できていた。いまはどれも洒落た地名にt変わってしまった。

 だれかが無味乾燥な名前に変更した、蛇行した中川に沿った町に残されたものはなにか。あぜ道を拡大した曲がりくねった道路だ。奥深くなるほどに細まっていく。

ひとたび火災が発生すると、消防車が進入するのにずいぶん手間取る。路地に駐車する車でもあれば、難儀で、立ち往生する。ちょっとしたボヤが大火になり、老人の死傷に及ぶ。

 本田警察署は葛飾警察署になった。官公庁で残されたのは本田消防署。ここのレスキュー隊は、火災や事故のときは人命救助のために出動する。日夜訓練に励んでいる。高所に登る隊員の背中には、『生命の大切さ』が汗とともに浮かんでいる。

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