【孔雀船106号 詩】 春になっても 一瀉 千里
更新日:2025年9月 7日
亀は いつのまにか
いなくなった
いついなくなったのか
なぜいなくなったのか
人でも 物でも
予告もなく
突然いなくなるのは 寂しい
いてつく冬には
いつも池をみつめていた
姿はみえなくても
ーーここにいるんだよね
池の中の 泥の中
亀は
冬眠していたはずだ
桜の花が満開になり
花びらが 池の表面を桜色に彩るころになっても
亀は あらわれない
冬眠したまま
そのまま死んでしまう亀もいる
そんな覚書が
ふと 脳裏をかすめた
ーーそういえば甲羅の大きさが
ずいぶん大きかったよね
自分の役目は もう終わった と
人知れず 姿を消したのかな
海まで出向いて きっと
竜宮城へ 帰ったんだな
【関連情報】
孔雀船は105号の記念号となりました。1971年創刊です。
「孔雀船」頒価700円
発行所 孔雀船詩社編集室
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