A040-寄稿・みんなの作品

【孔雀船102号 詩】 アナザー ワールド 苅田 日出美

ふと見上げると夜空に星が いつになくきらめいていて私の体にふりそそぐのだ。

目にうつるすべての星がキラキラとして 私のところに集まってくる。そんな日には 面白い詩に出会う。

釈迦.jpeg
筋肉少女帯・大槻ケンジの『リンウッド・テラスの心霊フィルム』という詩集のなかに「釈迦」という詩があって私は釈迦というヒトが好きだったし 仏教の世界も般若心経も好きなので 最初に「釈迦」という詩を開くと いきなり トロロの脳髄 トロロの脳髄という言葉があって

トロロの脳髄というのは間違いで あのアニメのトトロの脳髄じゃないのかしらと考えていると

シャララシャカシャカ

という合の手まではいるので 私はもう 釈迦という詩を頭で理解しようとしてはいけないと感じてしまって

ただもう シャララシャカシャカ というリズミカルな言霊の世界にどっぷりと浸かることにした。

それでも詩人は真面目ですから

「詩の読者は詩人の仲間だけになり、一般の知的社会は詩を読まず詩人を相手にしなくなった」― 加藤周一という文章などあちらこちらで引用されたりするのだがでも「ドーシテ」という前に 大きな風呂敷とかシーツとか カーテンとかで この「言葉」でしかものを見られないヒトの前にあるものを梱包してみようじゃないですか。クリストというアーティストがしたように梱包したり巨大な傘を立てたりして景色を一つ変えてみよう

  シャララシャカシャカ
  シャララシャカシャカ
  詩人だからって深刻がらなくてもよいのだと そう思うわけ。

ふと見上げると 月は満ちて 私の体にまぶしいほどの光のプラナをふりそそいでいた

アナザーワールド(アナザー ワールド 苅田日出美 PDF縦書き

【関連情報】
 孔雀船は102号の記念号となりました。1971年創刊です。
「孔雀船」頒価700円
  発行所 孔雀船詩社編集室
  発行責任者:望月苑巳

 〒185-0031
  東京都国分寺市富士本1-11-40
  TEL&FAX 042(577)0738
  メール teikakyou@jcom.home.ne.jp


イラスト:Googleイラスト・フリーより

「寄稿・みんなの作品」トップへ戻る