A040-寄稿・みんなの作品

【孔雀船100号 詩】 青へ翔ぶ 高島清子

野鳥 1.jpg郭公や鶯や名も知らぬ鳥の声が満ちている朝

私は窓の奥に逃げてジャマイカのコーヒーを淹れ

ひと時の安らぎを飲みながら

危険な隣人となったコロナのことを思った


テレビにはIQ240だという

台湾のオードリー・タンの大顔が映り

私は心は女性なのよと言っている
 
救世主となった今はそのどちらでも差し支えは無いだろう

あの時いち早く世界中のマスクを買い集め国民を救った

超天才の次の言葉を待ちながらテレビは消せない


私は香しいカフェインのせいで詩的脳になる

地球が首に巻いている青い紗のスカーフは

バンアレン帯でありそのまた奥は漆黒の宇宙で

正体不明の暗黒物質だと知ったのだが

そこまでで夢は終りなのだ


私の夢の先のそのまた遠くで

静かにサイコロを振っている者がいる

ひとまず神とすればイメージしやすいので神とすると

台湾の天才も釈迦もキリストも私たちも

神の手が振るサイコロの目で

この世界は神の遊びの庭であると思えば

なんだか嬉しくはないか

君の運命も私の今日も設計図の点に過ぎないとすれば


北半球に六月の匂いが満ちているのに

この頃は人たちの心の枠が少しづれて

無いものをかき集めて無理やり(幸福)と言ったり

当たり前のことにやたら(ありがとう)と言うのには

うんざりである


今朝私の窓を掠めて飛び去った一羽の鳥が

澄んだ声で歌いながら

碧の中へと落ちて行くのを見た

PDF・縦書き 青に翔ぶ(高島.pdf

【関連情報】

 孔雀船は100号の記念号となりました。1971年に創刊されて40年以上の歴史がある詩誌です。

「孔雀船」頒価700円
  発行所 孔雀船詩社編集室
  発行責任者:望月苑巳

 〒185-0031
  東京都国分寺市富士本1-11-40
  TEL&FAX 042(577)0738

イラスト:Googleイラスト・フリーより

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