寄稿・みんなの作品

【孔雀船97号 詩】   この単純さで = 坂多瑩子

「カタチをかかえていくしかないんだよ
私たち にんげんって」
なんという詩的なことばと
耳を傾けていたら
「昨日さ あちこがね」


あちこ と聞こえ
ちがうかな
なんかぐじぐじしながら
空白の輪郭が
あいまいになり
彼らの話は
とつぜん小声になり
よくある愚痴が続いている
よくあると思ったことに
ちがう
なにかが違うはずだ
ときれいにまとめようとすると
あちゃこ
花菱アチャコ あちゃこが出てきて
にぎにぎしい風が吹き
こみあげてくる愉快さに
バスの窓をたたく
バスが走っている
その正当性に笑いをこらえる
どうしてかね
にんげんらしい
そう聞こえたかどうか
にんげんたちはちゃんと歩道の上をあるき
あたしもあとを追う この単純さで
夕飯の支度にとりかかり
家族で
豆ご飯をたべる


縦書き この単純さで


【関連情報】

孔雀船は1971年に創刊された、40年以上の歴史がある詩誌です。

「孔雀船」頒価700円
発行所 孔雀船詩社編集室
発行責任者:望月苑巳

〒185-0031
東京都国分寺市富士本1-11-40
TEL&FAX 042(577)0738

イラスト:Googleイラスト・フリーより

「寄稿・みんなの作品」トップへ戻る